杜のAndroid研究室
第222回
コンボが熱い!ドットキャラクターが画面中を舞う王道RPG「クロスサマナー」
必殺技を繋げるコンボと攻撃の見切りが重要なリアルタイム・パーティバトル
(2014/12/24 12:29)
『杜のAndroid研究室』では、スマートフォン向けOS“Android(アンドロイド)”をテーマに、窓の杜スタッフが厳選したアプリなどを紹介していく。今回は、必殺技・奥義でコンボを繋げるのが楽しいRPG「クロスサマナー」を紹介しよう。
なお本作は、基本プレイ無料・アイテム課金制のオンラインゲームとして提供されており、ゲーム内でガチャなどに利用するアイテム“召喚石”が有料販売されているが、召喚石はゲーム内でも入手可能だ。
ポケットに詰め込める正統派RPG
「クロスサマナー」は、タッチ操作で技を繰り出して戦っていくファンタジーRPG。描き込まれたドットグラフィック、2Dキャラクターと3Dエフェクトが合わさったアニメーションによる派手なスキル演出、さまざまなキャラクターがリアルタイムに行動するサイドビューのパーティバトル、謎めいた少女との出逢いから始まるストーリーなど、スーパーファミコンからプレイステーション初期の王道RPGのテイストを、スマートフォンの画面サイズとタッチ操作へコンパクトに落とし込んだような作品だ。
今年9月のリリース前にファミコン・スーパーファミコンの裏技を入力することでゲーム内のアイテムを入手できるキャンペーンを行い話題となった作品だが、ゲーム自体は戦ってキャラクターを育て、世界を旅していくという正統派の作りとなっている。
舞台となるのは魔導大陸“エインガルド”と、そこから繋がるさまざまな異世界。大陸では異界の魔力を扱える魔術師が社会を支配してきたが、突如現れた“黒鉄の魔術師”が銃や鉄道、そして魔導生命体“機神”を生み出したことで技術革新が起こり社会が一変。しかしその後、黒鉄の魔術師は姿を消し、機神はその機能を停止した。それから月日は流れ、エインガルドの中心にあるフォーセイン神聖王国から物語は始まる。
主人公は炎の魔術と、契約を結んだ相手を召喚して戦う“召喚術”を得意とする青年。この召喚術によりさまざまな人の力を借りながら(ゲーム的にはガチャなどで入手したユニットでパーティを組んで)戦う。主人公は記憶喪失の少女“ララ”と出逢うが、時を同じくして突如機神が復活。機神との関係が疑われたララを庇うため、主人公も追われる身となってしまう……というのが序盤の展開だ。
目指せ300コンボ!攻撃も防御もタイミングが重要なリアルタイム・パーティバトル
戦闘はあらかじめ編成した4人+戦闘前に選んだ別プレイヤーのユニット1人の5人パーティで戦う。通常攻撃はオートで行われるがこのダメージは微々たるもの。時間経過で使用回数が補充される必殺技や、敵を攻撃すると落とす“オーブ”により溜まるゲージがフルになると使える奥義を、各ユニットのボタンをタップやフリックして発動するのが戦闘の基本だ。描き込まれた2Dドットキャラクターとボイスによる、ド派手な技の演出が本作の一番の見所となっている。
また、コンボも重要な要素となっており、1体の敵へ必殺技・奥義を続けて叩き込むことで、コンボ数(ヒット数)がそのまま%としてダメージに上乗せされる。しかし闇雲に必殺技を連打しているだけではすぐに必殺技の回数が尽きてしまうので、別のユニットの必殺技のフィニッシュに繋がるよう次の必殺技を出したり、奥義で時間を稼いだり(奥義の演出中も必殺技の回数が補充される)、画面のタップで特定の敵をターゲティングする機能も活用して、テンポよく確実に攻撃を繋げるのがポイントだ。
さらに、範囲魔法を使うユニットは必殺技のボタンを押してから発動まで詠唱タイムラグが発生するといった要素もあり、タイミングを合わせてコンボ数を稼ぐのが醍醐味となっている。コンボ数が上がるとオーブも出やすくなるため奥義でさらにコンボを重ねることができ、例えば100コンボならダメージ2倍、200コンボなら3倍とその威力は絶大。爽快感も抜群だ。
一方で、敵もボス級になると一撃でパーティ全体のHPを数割削るような、必殺技にあたる攻撃を仕掛けてくる。ここで重要となるのは聖職者系のユニットだ。RPGで聖職者というとHP回復やステータス強化・弱体化といった支援役の印象が強いが、本作における聖職者は必殺技がバリアとなっており、敵の攻撃に応じてバリアを張るというアクティブな立ち回りが要求される。
敵の必殺技の前には赤いオーラが出るため、これを見極めるのがポイントだが、敵によって“技の出が早い”“攻撃前の溜めが長い”“最後の一撃が重い”など違いがあり、ただ赤く光ったら即座にバリア、では対処しきれない。また、敵の必殺技は奥義で確実にキャンセルさせることもでき、これはコンボを継続させたい場合は必須のテクニックとなる。奥義で封殺するか、バリアで防いで奥義を温存するか……といった咄嗟の判断が勝敗を分ける。
こうしたリアルタイムのユニット操作を敵味方が入り交じる乱戦の中で行っていく、アクション性の高いバトルが本作の魅力だ。適当にボタンを押していてもある程度コンボが繋がるお気軽さもある一方、クエスト中の最高コンボ数や戦闘不能ユニットを出さずにクリアといった条件によるクリア評価も用意され、やり込みがいがある。
ステータスと物語によって表現される魅力的なキャラクター達
ユニットは課金アイテムの召喚石や、出撃により比較的容易に溜まる“サモンポイント”で召喚し、仲間にするというスマホRPG定番の方式。レアリティは★1~★5だが★1はモンスターなので、実質的には★2が最低ランクだ。
レアリティの低いユニットがどの程度使いものになるかはゲームによりけりだが、本作の場合は同一ユニットの入手により4回まで限界突破(レベル上限上昇・ステータス向上)が起こるほか、必殺技・奥義は使い込むことで熟練度が上がりダメージが増加するため、召喚されやすい(=限界突破しやすい)という利点のある★2ユニットは大事に育てれば最前線でも十分通用する。気に入ったユニットを長く使い続けられるのはうれしいところだ。
ユニットには近接・遠隔といった攻撃タイプの違いや火・水・風の3すくみに光・闇の対立というおなじみの属性相性、状態異常への耐性といったステータスに加え、鎧装備のユニットは敵の攻撃にひるみにくいなどステータスとして明示されない特徴もある。必殺技も敵を打ち上げて無力化させやすいもの、敵を遠くに吹き飛ばせるもの、コンボ数が稼げるもの……などさまざまで、色々なユニットを試してみたり、使い分けるのが楽しい。
また、ユニットが一定レベルに到達すると、ユニットごとに用意されたストーリークエストが解放。クリアすることで特定属性の攻撃力上昇といったユニットスキル(パッシブスキル)を入手できるのもメリットだが、何より主人公達との掛け合いにより、ユニットの紹介文だけでは伺えないキャラクター性を垣間見ることができ、より愛着が沸いてくることだろう。
また、ユニットにはいくつかの傭兵団や教会といった所属勢力があり、紹介文やストーリークエストからユニット同士の関係が垣間見えることも。ユニットスキルや、パーティのリーダーに設定することで発動するリーダースキルには、特定勢力のユニットの攻撃力上昇といった効果を持つものもあり、キャラクターを理解することが効率的な戦力運用にも繋がる。システムと物語の両面でキャラクターを表現しているというわけだ。
別の国、異世界へと広がる冒険の舞台。往年のRPGらしい“寄り道”も充実
各種クエストはフィールドマップから街やダンジョンなどを訪れて選択する方式だが、メインのストーリーとは直接関係ない地域へも行くことができ、さまざまな敵が登場するフリークエストをこなしてユニットを鍛えたり、召喚石などのアイテムを得ることができる。寄り道してマップを踏破し、メインストーリーより難易度の高いクエストをこなしてアイテムを稼いでいくのも往年の2D RPG的な趣がある。
また、初めて行く街やダンジョンなどへ向かう道でもバトルが発生するほか、道中にある宝箱から召喚石を含むアイテムが手に入ることも。ただ歩いているだけで課金アイテムが手に入るというのはなかなか太っ腹だ。筆者の場合、ガチャ用に召喚石は購入せず、クエストや宝箱、ログインボーナスなどで入手したもののみ召喚に使っているが、ここまで2カ月ほどのプレイでイベントでの入手も含め★5ユニットが3体、★4が8体揃っており戦力としては十分以上だ。
ストーリーを進めると、フォーセイン神聖王国を離れ別の国や別世界へ訪れることも可能に。BGMも変化するなど世界の広がりを感じられる。召喚も異世界のものが用意され、エルフや妖精、獣人族などのユニットが登場する。
世界と少女のために戦う王道ストーリーが展開。JRPGファンにオススメ
本作は前述の裏技キャンペーンをはじめ全プレイヤーの累計コンボ数カウントなどプロモーション面でも目を惹くものがあるが、筆者がとくに注目しているのはメインテーマなど一部楽曲を非営利であれば自由に利用できるライセンスで公開していること。これを利用した作品もいくつか公開されており、本作の世界観を表現した独自の歌詞付きのメインテーマ曲ボーカルアレンジなどは、非公式ながら本作の主題歌とも言えるようなアツい楽曲だ。
執筆時現在、メインストーリーは3章まで配信済み。追い詰められ半ば成り行きで旅を続けていた主人公だが、ある存在から使命を託され、自らの意志でまだ見ぬ異世界への旅立ちを決意する。行く先々の人々を助けつつ、機神と黒鉄の魔術師をめぐる謎に触れていく旅路は王道でわくわくするものだ。かつての師匠との対決など燃える展開もあり、物語の行く末も気になるところ。いわゆるJRPGと呼ばれるような和製の王道RPGが好き人、なかでもとくにドット絵に思い入れがある人はぜひ触れてみてほしい作品だ。
ソフトウェア情報
- 「クロスサマナー」
- 【著作権者】
- (株)ポケラボ
- 【対応OS】
- Android 2.3以降(4.0以降推奨、iOS版も配信中)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(アイテム課金あり)
- 【バージョン】
- 1.4.0(14/12/20)