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“藤本健のDigital Audio Laboratory”に載っているオーディオデバイスの性能ってどうやって調べてるの?

 この窓の杜の姉妹メディアであるAV Watch。その創刊の2001年から毎週月曜日の連載で“藤本健のDigital Audio Laboratory”という記事を書いています。5月22日に掲載された記事が第723回となるので、かなりの長寿連載なわけですが、この連載でよくテーマにしているネタの一つがオーディオインターフェイスのチェックです。

オーディオインターフェイスの性能を自動でデータ化してくれる「RMAA」

 オーディオインターフェイスが何であるかについては、ここでは割愛しますが、この連載で注意していることの一つが、主観的感想より、客観的なデータを記載することです。そしてどの製品に対しても同じテストを行うことで、比較ができるようにしているのですが、ここで使っているのが「RMAA(RightMark Audio Analyzer)」というロシアのWindows用フリーウェアです。最新バージョンは6.4.1となっていますが、これが非常に便利なのは、自動でオーディオ性能をデータ化してくれるという点です。『高域が澄んだ伸びのあるサウンドで……』といった詩人のような言葉を使わなくても、データでバシっと評価してくれるのが最大の魅力なのです。

 まあ、本来オーディオ機器の評価は入力側と出力側を別々にチェックするべきものではありますが、ここではあえて、入力と出力を足し合わせた結果を評価するというソフトになっているのです。

インストーラーを右クリックして[管理者として実行]を選択

 使い方はとっても簡単。まず、オーディオインターフェイスの入力と出力をケーブルで直結してしまいます。もちろん、普通はそんな使い方は絶対しないのですが……。その上で、「RMAA」を起動するのですが、その前に、インストールにおいて一つ注意点が。ちょっと古いソフトであることもあり、そのままインストーラーを起動すると途中でエラーとなってしまいます。そのため、インストーラーを右クリックして[管理者として実行]を選択してください。

 さて、起動すると、ちょっと難しそうな画面が出てきますが、左上に2つあるデバイスの入力と出力の設定において、目的のオーディオインターフェイスのASIOドライバーをそれぞれ指定します。さらに測定したいサンプリングビット数、サンプリングレートを指定してください。

起動時の画面
目的のオーディオインターフェイスのASIOドライバーをそれぞれ指定
測定したいサンプリングビット数、サンプリングレートを指定

 準備ができたら、左下の赤丸の中にスピーカーの絵が描かれたアイコンをクリックします。するとレベル調整の画面が現れるので、基本的に入力レベルはラインレベルに抑えた状態(マイクプリアンプを効かせない状態)にした上で、出力レベルを上げていきます。すると、“Recorded level”が徐々に上がり、[SUMMARY]が緑に点灯して“The levels are OK”と表示されるところまでもっていきます。

左下の赤丸の中にスピーカーの絵が描かれたアイコンをクリック
出力レベルを上げると“Recorded level”が徐々に上がる
[SUMMARY]が緑に点灯

 これで準備完了なので、[Start test]というボタンをクリックすると、測定が開始されます。

左下の赤丸の中にスピーカーの絵が描かれたアイコンをクリック
測定中の画面

 しばらく測定をしていますが、もしヘッドホンなどを接続していると、ピーとかガーといった音がいろいろと鳴り続けているはずです。1分程度測定すると、完了したことが示され、そのまま[OK]ボタンをクリック。これによって測定結果が簡単に表示されますが、ここでレポート出力ボタンをクリックします。すると、[HTML report options]というダイアログが表示されますので、そのまま[OK]ボタンをクリック。

測定が完了したら[OK]ボタンをクリック
レポートの出力ボタン
[HTML report options]ダイアログで[OK]ボタンをクリックすればレポートが出力されます

 これによって、いつもの連載記事にもあるHTMLデータがレポートとして生成されるのです。レポートをどう評価するかはユーザー次第ではありますが、これまで多くの機材でのテスト結果を連載に掲載しているので、自分の結果と見比べてみると面白い発見があるかもしれません。

藤本 健

 リクルートに15年勤務した後、2004年に有限会社フラクタル・デザインを設立。リクルート在籍時代からMIDI、オーディオ、レコーディング関連の記事を中心に執筆している。以前にはシーケンスソフトの開発やMIDIインターフェイス、パソコン用音源の開発に携わったこともあるため、現在でも、システム周りの知識は深い。著書に「コンプリートDTMガイドブック」(リットーミュージック)、「できる初音ミク&鏡音リン・レン」(インプレスジャパン)、「MASTER OF SONAR」(BNN新社)などがある。またブログ型ニュースサイトDTMステーションを運営するほか、All AboutではDTM・デジタルレコーディング担当ガイドも務めている。Twitterは@kenfujimoto

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