#モリトーク

第67話

Google クラウド プリントのススメ

 Google社は先週、同社のWebサービス“Google クラウド プリント”と連携するソフトを2つ同時にリリースした。同サービスは数年前からベータ版として提供されているが、今回公開された2つのソフトによって、多くの人にオススメできる段階にようやく到達したと言える。当然、同サービスを利用したことがない人にとってはピンとこない話なので、これまでの状況を簡単に確認しよう。

“Google クラウド プリント”

 “Google クラウド プリント”とは、手元にあるパソコンの印刷ジョブをクラウドサーバー経由で遠隔地のプリンターへ送信し、リモートで印刷を完了させるWebサービスだ。その仕組みはGoogleアカウントと「Google Chrome」が基本になっており、“Google クラウド プリント”に対応するプリンターの有無によって使い勝手が大きく変化する。

 “Google クラウド プリント”対応のプリンターを利用する場合、プリンターが印刷ジョブの受信から印刷までの処理を自動化してくれるため、同サービスの利点をそのまま体験できる。一方、プリンターが同サービスに対応していない場合は、プリンターと同サービスをつなぐためにパソコンと「Google Chrome」が必要となり、物理的な作業も含めて、手作業に頼る部分が多い。

 印刷ジョブを送信する手順もスマートさに欠き、Windows環境では基本的に「Google Chrome」をクライアントソフトとして利用する仕組みで、任意のソフトから手軽に印刷ジョブを送信できるわけではなかった。そのため、ほかのアプリケーションで作成したWebページ以外のファイルを印刷したい場合には、印刷というよりもファイルのアップロードに近い作業を強いられた。

 このように、これまでの“Google クラウド プリント”は動作環境が限定され、下準備や操作も複雑かつ難解であり、上級者向けのWebサービスであった。そして、今回公開された「Google クラウド プリント サービス」および「Google クラウド プリンタ」の両ソフトを利用すると、“Google クラウド プリント”対応のプリンターがない場合を中心に、操作が大幅に簡略化され、使い勝手も改善するというわけだ。

 「Google クラウド プリント サービス」は、“Google クラウド プリント”から印刷ジョブを受信する常駐型クライアントソフトであり、同サービスに対応しないプリンターを利用する場合に、プリンターと同サービスをつなぐ役割を果たす。従来は、「Google Chrome」がその役割を代行していたため、バックグラウンドで常駐する「Google クラウド プリント サービス」のほうが使い勝手はよい。

 もう1つの「Google クラウド プリンタ」は、印刷ジョブを“Google クラウド プリント”へ送信するクライアントソフトだ。仮想プリンターとして動作するため、あらゆるアプリケーションから印刷ジョブを送信できるようになる。つまり、同サービス対応のプリンターを所有する場合に「Google クラウド プリンタ」も利用すれば、理想的なリモート印刷環境を構築できる仕組みだ。

「Google クラウド プリント サービス」
「Google クラウド プリンタ」

 こうしてWindows環境での使い勝手が向上した“Google クラウド プリント”ではあるが、快適に利用するためには対応プリンターが不可欠であることに変わりない。最新のプリンターであれば、同サービスに対応している機種も多いので、一度確認してみるとよいだろう。

 ちなみに、“Google クラウド プリント”にはオマケの機能が搭載されており、印刷ジョブを送信する代わりに、印刷対象をPDFファイルに変換した上で“Google ドライブ”へ保存したり、認証済みのスマートフォンへ送信することができる。対応プリンターを所有していない場合は、クラウド型“PDFサーバー”として利用するのもアリかもしれない。

(中井 浩晶)