#モリトーク

第66話

セッション式ブックマーク法

 先週の第65話では、新生「Opera」がブックマーク機能を搭載しなかった理由を取り上げた。Opera社の分析によれば、多くのユーザーがお気に入りのWebサイトを常に開いたまま、それらをセッションとして一元管理するため、ブックマーク機能はそれほど使われてないとのことだ。セッションでブックマークを管理する手法は「Opera」に限らず、ほかのWebブラウザーでも活用できるため、もう少し掘り下げて説明してみよう。

次回起動時に直前のセッションを復元させる設定(「Google Chrome」の場合)

 この場合のセッションとは、現在開いているタブの状態のことだ。主要なWebブラウザーには、次回起動時に直前のセッションを復元する機能が搭載されている。そこで、頻繁にアクセスするWebサイトは1つのタブで切り替えながら表示させるのではなく、個別のタブで同時に開いておく。そして、それらのタブをウィンドウごとまとめて閉じるようにすれば、Webブラウザーを再起動したときに、お気に入りのWebサイトを一気に開けるという寸法だ。

 大量のタブを同時に開くことになれば当然、メモリの消費が増え、Webブラウザーの動作が不安定になる可能性もある。しかし、それは過去のこと。64bit版が当たり前になったWindows 7以降のOSでは4GB以上のメモリを搭載できるようになり、マルチプロセスで動作するWebブラウザーも増えたため、動作面については心配しなくてもよいだろう。

 複数のWebサイトを同時に開くだけなら、ブックマーク機能のフォルダや“ホームページ”機能を活用する方法もあるが、Webサイトを追加・削除する場合はその都度編集しなければならない。その点、セッションで管理すれば操作が自動化される上、“戻る”“進む”などの履歴も残り、中断した作業をすばやく正確に再開できる。

 もちろん、よいことばかりではない。復元できるセッションが1組に限られるほか、何らかの操作ミスでセッションのデータを失う恐れもあるので、保険としてブックマーク機能も必要だろう。ただし「Opera 12」には、複数のセッションパターンを保存・復元する機能が搭載されており、複数のウィンドウを開いている場合にも対応する。

 「Google Chrome」や「Firefox」でも、拡張機能を導入することで「Opera 12」のそれに勝るセッション管理機能を手に入れることが可能。「Google Chrome」用拡張機能である「Session Buddy」がとくにオススメであり、セッション状態の履歴を随時記録してくれるだけでなく、ユーザーが任意のタイミングで現在のセッションを保存できる。また、各セッションに含まれるWebページを個別に開くことも可能なため、それはまるでセッション管理を融合したブックマーク機能といったところだ。

「Opera 12」のセッション管理機能
「Google Chrome」用拡張機能の「Session Buddy」

 前回お伝えしたように、Opera社は新シリーズの「Opera」にブックマーク機能を復活させる予定だが、先日公開されたばかりの次期バージョン「Opera Next 16」には間に合わなかった。もしOpera社が新たな形のブックマーク機能を模索しているのであれば、ブックマークとセッションの概念を融合した「Session Buddy」が同社の理想に近いのではないかと、筆者は想像している。

(中井 浩晶)