#モリトーク

第134話

WebExtensionsへ舞台を移す先駆者Firefoxの挑戦

「Firefox」が対応したWebExtensionsのAPIを確認できる特設サイト

 Mozillaが「Firefox」用アドオンの動作環境・仕様を“WebExtensions”へ変更すると発表してから約9カ月、正式版でも旧仕様と新仕様の共存が内部で進み、8月2日公開予定の「Firefox 48」で正式採用される見込み。同時に、Webブラウザー本体とアドオンのプロセス分離も導入される。

 WebExtensionsへの対応状況旧仕様との互換性をチェックする特設サイトなど、開発の移行を促すサポートも充実。「Google Chrome」用の拡張機能を「Firefox」へインストールするためのアドオンまでも登場した。しかし、柔軟性に優れた旧仕様から移行することへのネガティブな印象は根強く、「Firefox」用のアドオンをむしろ「Google Chrome」で使いたいという声も目立つ。

 そこで今回は、Mozillaの開発ブログをさかのぼり、「Firefox」がWebExtensionsを採用した本当の狙いを探ってみたい。発表当初は主に「Google Chrome」や「Opera」との互換性やパフォーマンスの向上を利点として挙げていたため、クローン化を危惧する開発者やユーザーが多かった印象だ。

 その後、MozillaはWebExtensionsのAPIを積極的に拡張し、「Google Chrome」以上のカスタマイズ性を目指すと約束。実際、人気アドオン「NoScript」や「uBlock Origin」にとって重要なAPIを本家「Google Chrome」よりも先に導入した。

 また、開発支援コマンドラインツール「web-ext」を「Google Chrome」と「Opera」にも対応させたいとしている。これらのことから総合的に推測すれば、MozillaはWebExtensionsという同じ土俵で先駆者の経験を活かし、拡張機能の発信基地として「Firefox」を改めて育てたいのかもしれない。