#モリトーク

第133話

原点回帰に挑むOperaの決断

 OS化した近年のWebブラウザーはその機能追加をサードパーティ製の“拡張機能”に頼る場合が多い。ユーザーが好みに応じて自由に機能を選択・追加できる反面、その組み合わせによってWebブラウザー全体の動作が重くなったり、メモリ消費が増えるといったデメリットも。

 「Vivaldi」の共同創設者である冨田龍起氏によれば、拡張機能に任せず標準搭載することでの最適化や、純正機能であることの安心感も重要とのこと。実際、「The Great Suspender」や「Opera」が先行していたタブ休止機能は最終的に、大元の「Google Chrome」へと還元される形となった。

「Opera」の開発版に実装されたアドブロッカー

 先日、Opera社が興味深い決断を発表した。これまでサードパーティ製拡張機能として提供され、人気も需要も高いアドブロッカーを標準搭載する計画だ。インターネット広告を撲滅したいわけではなく、それが原因で遅くなっているWebページの描画環境を改善することが最大の目的だと説明している。

 筆者が注目したいのは、「Opera」純正のアドブロッカーがインターフェイス上での表面的な搭載に止まらず、レンダリングエンジン部分へ深く実装されたこと。拡張機能で実現した場合と比べて、Webページの描画が45%も高速化するという。

 「Firefox」がその拡張機能を「Google Chrome」互換へ切り替え、ライバルソフトとの共通化を図ろうとする中、人気の拡張機能を標準で実装する「Opera」の方針はまさに対照的。しかも「Vivaldi」の冨田氏が示したように、より優れた結果を生み出している。便利な機能のパフォーマンスを純粋に突き詰めるという、原点回帰的な試みに期待するユーザーも少なくないはずだ。

(中井 浩晶)