杜のVR部
第78回
世界最大のゲーム展示会“E3 2016”、VR対応の新作にゲームファン熱狂!(E3レポート:前編)
HTC Vive、Oculus Rift、そしてPlayStation VRで体験できる次世代のゲームが発表された
2016年6月21日 19:17
米ロサンゼルスで6月14日(現地時間、以下同)から16日まで開催された世界最大のゲーム展示会“E3 2016”。会期に合わせて開催されたプレスカンファレンス、そして本番のエキスポではVRに関する話題が非常に多く飛び交った。
ソーシャルメディアなどでもその話題は多かったが、本連載では2回に分けて、その盛り上がりをお伝えしたい。前編となる今回は、“大型タイトルのVR対応が相次いだ”という点を中心にお送りする。
Bethesda Softworks、HTC Vive向けに人気シリーズをVR対応
先陣を切ったのはBethesda Softworks。「Fallout 4」、「DOOM」、「スカイリム」などで有名なゲームスタジオだ。6月12日に開催されたプレス・カンファレンスではVRに参入することが表明され、新規事業の“Bethesda VR”として同社の既存IP、つまりは完全新作ではなく既存ゲームの知的財産を利用する作品を中心にVRゲームを制作していくことが明らかになった。そして実際にVR対応が発表されたのが「Fallout 4」、そして「DOOM」だ。
「Fallout 4」は、2017年中にHTC Vive向けに発売されるとのこと。核戦争後の地球を舞台に広大なオープンワールドを楽しむロールプレイングゲームだ。“E3 2016”では、この「Fallout 4」と「DOOM」の2タイトルが展示された。それぞれ5分程度の体験にも関わらず筆者が6月14日の入場後に並んだ際は、3時間半待たされたほどの人気ぶりだった。
筆者が体験したHTC Vive対応のVR版「Fallout 4」では、左手に「Fallout 4」でおなじみの情報端末“Pip-boy”、右手に銃を持っていた。世界観はまさに「Fallout 4」の世界そのものであり、ガソリンスタンドや相棒犬の“ドッグミート”など、原作を知っている人にはたまらない描写が続く。
左手でワープを繰り返しながら探索を続けていると、敵が出現して銃撃戦となった。ワープを使いながらの体験ということもあるが、ゲーム性がなくなってしまっていた点は非常に残念であり、今後の改善に期待したいところだ。
スター・トレックのVR作品を発表したUbisoft
「アサシン クリード」シリーズなどで知られるフランスのUbisoftは、Oculus Rift向けのゲーム「Eagle Flight」を既に発表しているが、6月13日のプレスカンファレンスで新たに開発中の作品を披露した。
それが4人で同時プレイする「Star Trek VR: Bridge Crew」だ。SFテレビドラマとして有名なスター・トレックシリーズに登場する宇宙船の乗組員となり、それぞれの役割に従って攻撃や航路のナビゲーションなどを行うという体験。
惑星の爆破を阻止するという緊迫した場面もあり、まさに手に汗握る展開となっている。VRで物を掴んだり投げたりできるグローブ型のモーションコントローラー“Oculus Touch”を使い、手と指の非常に直感的なトラッキング体験が印象的だった。
筆者はデモブースでの体験映像を観覧しただけだが、船長役の体験者が他のプレイヤーに指示を出すなど、まさにテレビドラマのキャラクターたちに成り切っているかのようなプレイが展開されていた。
FF15、バイオハザード7など大作のVR対応が相次いだSIE
PlayStation VR(PS VR)を開発中のSony Interactive Entertainment(SIE)は、6月13日のプレスカンファレンスで、PS VRの発売日を日本時間10月13日であることを明らかにするとともに、多くの新規タイトルを発表した。
その中でも期待の大作がVR対応することが明らかにされたことを歓迎したい。2016年9月末に発売の「ファイナルファンタジー15」(FF15)は、一部VRモードが実装される予定とのこと。また、シリーズ新作となる「バイオハザード7」は、ゲーム本編の始まりから終わりまでの全てがVR対応されるという。
また、海外で人気の映画を題材にした“バットマン:アーカム”シリーズの「Batman: Arkham VR」のほか、既存タイトルの「Star Wars バトルフロント」から宇宙戦のミッションを抜き出した「Star Wars Battlefront: X-Wiing VR Mission」など発表され、1作品が紹介されるたびに会場は大盛り上がりとなった。
筆者はSIEブースにてFF15のVR体験版を試した。武器が銃のキャラクター“プロンプト”の視点で、ベヒーモスとの戦闘を体験するというもの。ワープを駆使しながら、ベヒーモスの弱点を狙っていく。VRで特徴的なスケール感により、ベヒーモスが迫ってきた際のその巨大さにはかなり驚くが、銃という武器の特性上、“近づかれないように離れて戦う”が基本戦法となるため、VRならではの良さとの両立がなかなか難しかったのが印象だ。今後、どのような形で作品にVRモードが実装されるのかが楽しみになる体験だった。
今年の“E3 2016”では、これまで様子見の姿勢を見せていたAAAゲームスタジオ(大規模なゲームスタジオ)が次々とVRゲームを発表した。PS VRの発売となる10月から来年にかけて更に多くの大作ゲームタイトルの発売が見込まれるので、今後ともVRの動向に注目を続けたい。