杜のVR部

第79回

VRゲームだけでなくVR周辺機器にも注目!(E3レポート:後編)

Oculus RiftやHTC Viveのデモが会場のさまざまなところで開催

 米ロサンゼルスで6月14日(現地時間、以下同)から16日まで開催された世界最大のゲーム展示会“E3 2016”。会期に合わせて開催されたプレスカンファレンス、そして本番のエキスポではVRに関する話題が非常に多く飛び交った。

 先週に続く後編となる今回は、会場で実際に見かけたVRの展示について振り返ってみたい。筆者の感想としては、VRゲームが非常に自然にゲーム業界に受け入れられつつあるということだ。

Oculus Touchを使ったデモに大興奮

 Oculusは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)やマイクロソフト、任天堂のブースがひしめくゾーンに負けず劣らず大きな2階建てのブースを出展。Oculus RiftやGear VRのデモだけでなく、年内に発売を予定しているハンドコントローラー“Oculus Touch”向けのコンテンツを数多く展示した。今年のE3では、プレス向けのイベントを行わなかったものの、Oculus Touch向けのVRゲームのラインナップを事前に発表。“Oculus Touch”発売時には30本以上のローンチタイトルが揃うことが明らかになった。

Ouclusが今回出展したOculus Rift対応ゲーム(Oculus Touch対応のものを含む)
任天堂よりも巨大なOculusブース

 ブースは非常に混雑しており、筆者もかろうじて1作品だけ、Oculus Touchを使った魔法対戦ゲーム「The Unspoken」を体験することができた。中指や人差し指の握りをトラッキングできるOculus Touchはまるで自分の手がVRの中にあるかのように感じられるコントローラーだ。その特性を活かしたこの「The Unspoken」は手の動きでさまざまな魔法を詠唱し、相手との白熱のバトルを繰り広げる……というもの。基本攻撃となるファイアーボールは、「利き手を握ると発動し、握っている時間が長いほど威力が強まる」など、とても直感的に“魔法を使う”ことができる。

 特殊な魔法も数多く用意されており、“紙飛行機を折って投げると爆撃機になって敵を爆撃”、“鎚を叩いて強力な槍を召喚し投擲”などプレイヤーの遊び心をくすぐる魔法ばかりだ。

「The Unspoken」、見下ろすと自分の手が見える
手を握りこむとファイアーボールが発生

 対戦は5分程度で終了するものだったが、非常に完成度が高く、いつまでも対戦を繰り返したくなる未知の面白さに満ちている体験だった。E3では他にもホラー体験となる「Killing Floor: Incursion」や、サイバーなフリスビーゲーム「Ripcoil」などOculus Touchの特性を活かしたローンチタイトルが多くデモされていた。

「The Unspoken」のプレイ動画

 Oculus Touchは、このデバイスがあって初めて、Oculus Riftの本当の没入感を体験できるのではないかと思わせられるほどに圧倒的なVRの体験ができる。発売が非常に待ち遠しいデバイスだ。

モバイルVR、周辺機器など出展は多岐に渡る

 今年のE3では、Oculus、HTC、SIE、サムスンといったVRヘッドマウントディスプレイメーカー以外でも、各ゲームメーカーのブース等でVRゲームがデモされていた。会場を歩いていると、ちらほらとVRの展示を見かけるといった具合だ。使用されている機材はHTC ViveとOculus Riftで二分される。Oculus Riftは1月のCESや3月のGDCの時と比べると増えた。Oculus Touchを使ったコンテンツの展示が個別のメーカーのブースでも見かけられた。

 他にもこうしたVRデバイスとともに使う周辺機器も展示されていたので、いくつか興味深いものを紹介しよう。

 PCメーカーDellのゲーミングPCブランド“Alienware”は、HTC Viveなど歩くVRのための「背負えるゲーミングPC」を参考展示。ゲーミングPCメーカー各社が開発を行っているが、ひときわスタイリッシュなデザインのPCだった。

 また、レンズメーカーのカール・ツァイスはスマートフォン向けのVRヘッドマウントディスプレイ“VR ONE Plus”を展示。スマートフォンを挿して使用する、いわゆる“Google Cardboard”タイプのデバイスだが、広視野角などがウリだ。展示ではさらに、ソフトウェアを展開するメーカーとの開発協力により、スマートフォンのカメラを使ったルームスケールのポジショントラッキングができることを強調。HTC Viveで体験するSteamVRのゲームをスマートフォンとVR ONE Plusで体験できるとしていた。

Alienwareの背負えるゲーミングPC。実際に背負えなかったのが残念
カール・ツァイスのVR ONE Plus
Oculus Riftを体験中に現実で決めた境界線を越えそうになったら振動するVR Guardian(Nyko Technologies社)

 これまでの展示会では周辺機器と言えばコントローラーが多数を占めていたが、Oculus Riftで体験しているときに、動き過ぎると振動で知らせるVR境界システム“VR Guardian”など、周辺機器の用途もさまざまに増えてきた印象だ。

 Oculus RiftやHTC Viveなど製品版が発売され、盛り上がるVR。ゲームの中ではVRゲームという1ジャンルを築きつつあることが分かる今年の“E3 2016”だった。PlayStation VRが発売される10月に向けてさらにVRが盛り上がることは間違いなく、目が離せない展開が続く。