杜のVR部

第27回

Steamで早期アクセス中のVRダンジョン探索アドベンチャー「Crystal Rift」

Oculus Riftでの一人称視点の課題、酔いは解決されたのか

 Oculus Rift向けのPCゲームが徐々に増えてきている。世界最大のPCゲームプラットフォームSteamでは、以前紹介した「Time Rifters」のようにOculus Riftに対応もしくはVR用を謳ったゲームが増えつつある状況だ。

 使用する機器は現行の開発者版DK2にはなるが、これまでのゲームと異なるVRゲームの可能性をいち早く感じることができる。

Steam早期アクセス作品の実力や如何に

 今回紹介するのは、ダンジョンを探索する一人称視点のアドベンチャーゲーム「Crystal Rift」だ。2014年12月にKickstarterにて約4,800ポンド(約90万円)を集め、現在はSteamで早期アクセス版がリリースされている状況。

 海外メディアなどでは評価が高く、VRに向けた工夫を色々と凝らしているとのこと。一人称視点のVRゲームの場合、とくに酔いが課題となる。筆者は通常の一人称視点のゲームでは酔わないが、VRになった瞬間ほとんどのゲームで酔ってしまう。本作ではどのような工夫がみられるのか、厳しめに評価する気持ちでプレイしてみた。なお、キーボードとコントローラーのどちらでも操作できるが、手元が見えないためコントローラーをお勧めしたい。

タイトル画面。オプションから移動速度などを変更できる

VRで強調される“ダンジョンにいる”という感覚

 メニュー画面からゲームを開始すると、オープニングなどはなく早速ダンジョンにいるところからゲームが始まる。早期アクセスということで、まだ開発中であることにはご留意いただきたい。

 操作はXbox 360コントローラーの使用がお勧め。ダンジョン内では、アナログスティックで移動しRB、LBボタンでそれぞれ方向を90度回転、Bボタンでアイテムを拾う、仕掛けを動かすなどの操作をして進んでいく。探索アドベンチャーなので、鍵などのアイテムを集めながら、先にどんどん進んでいこう。

スタートすると目の前にはクリスタルが輝いている
近付くと格子が降りてきて道がなくなってしまう
振り返ると後ろに道がある(来た道なのだろうがそのあたりのストーリーは語られない)
鍵は部屋に落ちている

 本ゲームの特徴は、グリッドベースの移動になるということだ。1マスずつ前に歩いたり、横に歩いたりしていく。また、方向転換は90度ずつ可能になっている。自由に移動が可能な状態だと進行方向と自分が向いている方向が食い違ってしまい、酔いを引き起こすということからの工夫だ。グリッドベースにすることで敢えて、PCゲーム初期のダンジョン探索アドベンチャーに近い操作感になっている。

 また、ダンジョン内にはいたるところに罠が仕掛けられている。罠自体はかなりシンプルで、Oculus Riftを装着せずにプレイすると拍子抜けする単純なものばかりだが、VRで体験することで没入感が一気に上がり、罠が恐怖の対象へと変化する。想像してみてほしい、テレビの中で上から落ちてくる針天井を第三者的に見ることと、頭を上げるとまさに針天井が落ちてくることの恐怖の程度が全く異なることを。

針天井を避けながら進んでいく
進んでいくとおどろおどろしいエリアも現れる

 また、ダンジョンの中はかなり暗く、先に進まないと何が待ち受けているのかわからない。それゆえかなりホラーゲームをプレイしているのに近く、恐る恐る前に進むことになる。

天井が吹き抜けになり、開いているところ。天井に何かいるのではないだろうか……

一人称VRゲームにおける酔いの克服

 実際にダンジョンを息を潜めながら探検する感覚を体験できるのは間違いない本作。冒頭でも触れた一人称視点のVRコンテンツ特有の課題についてお伝えしたい。VRで一人称視点のゲームを作る際には、酔い対策が何より重要となり、各ソフトではさまざまな工夫が見られる。

 本作の場合は、自由に動けるわけではなく前後左右にしか動けないため、確かに移動する方向の予測はしやすい。方向転換をうまく使うことでびっくりするほど酔いが低減する。方向転換をせずに首振りだけで方向を決めて移動をしようとしてみると、操作もしにくい上にすぐ酔うので、気になる人は試してみるといいだろう。

 今回紹介した「Crystal Rift」は早期アクセス中とのことで、ステージの数は多くない。今後順次追加されていくようだ。グラフィック面でのクオリティ、比較的一本道な道中、語られないストーリーなどゲームとしてより面白くなるような改善もまだまだ期待したい作品である。

「Crystal Rift」プレイ動画
ゲーム最序盤のプレイ。そのままだとシンプルすぎるかもしれないが、ヘッドホンを装着し、VRで体験するとワクワクの体験になる

ソフトウェア情報

「Crystal Rift」
【著作権者】
Psytec Games Ltd
【対応OS】
Windows 7以降など
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK2
【ソフト種別】
ダウンロード販売 2,480円
【バージョン】
0.9.2

評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-NOTE i790SA1
【CPU】
Core i7-4700MQ 2.40GHz
【メモリ】
16GB(増設)
【グラフィックボード】
GeForce GTX870M
【fps】
75fps
【ヘッドホン】
Creative Sound Blaster EVO Zx

(もぐらゲームス:すんくぼ)