週末ゲーム

第590回

前人未到の大地をゆく世界探索RPG「落葉の大地を走れ」

情報収集、推理、行動の流れが楽しいアドベンチャー要素の濃い作品

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、少年が“神様の国”を目指して世界を旅する探索RPG「落葉の大地を走れ」を紹介しよう。

神様の国を目指して世界を旅する、ADV要素の濃い探索RPG

猫が拾ってきた地図を信じて旅立つアドベンチャーRPG

 「落葉の大地を走れ」は、2D見下ろし画面のフィールド探索型RPG。プレイヤーはしゃべることのできない15歳の少年“フォン”となり、人には越えられない山の向こうにあるという“神様の国”までもが描かれた古い地図を手に、冒険の旅に出る。相棒となるのは、フォンをご主人様と慕い、なぜか人語を話すことができる猫。しゃべることができないフォンに代わり、街の人たちに質問したりと活躍してくれる。

 旅の最中には、アルバイトをしてお金を稼いだり、敵と戦ってアイテムを集めたり、テントを張ってご飯を作ったり、仲間を増やしたり、依頼やトラブルを解決したりと、さまざまなイベントが散りばめられ、冒険気分をたっぷりと味わえるのが最大の魅力。前人未到の大地を目指すため、登れそうな崖を探したり街の住人から情報を集めて先へ進む方法を推理したりなど、システム的にはRPGながら推理アドベンチャーとしての要素が多いのも大きな特徴だ。

 自宅に戻って母に話しかければいつでも旅を終えてエンディングを迎えることができるし、あてのない旅をずっと続けてもいい。その自由さも魅力だが、わかりやすい目的としては“世界一周”がある。この世界はいくつかの国に分かれており、それぞれを巡ってから自宅に戻ることであるイベントが発生する。それは世界に関わる重大なこと。フォンが世界の秘密に迫るかどうかも、プレイヤーの手に委ねられている。

知らない国を見つけるのが冒険の醍醐味だ
自宅に帰ればいつでも旅を終えてエンディングに突入できる

街の人たちへの質問が旅を進める鍵。野外ではテントで回復し、登山で道を拓いていく

 ゲームの基本的な流れは、街で情報を収集し、その中でイベントが起きたり、森や山を越えて先へ進むための手がかりを得て新しい場所へ到達していくというもの。ユニークなのが情報収集の方法だ。フォンはしゃべれないので相棒の猫が人物に話かけるが、この際に質問のキーワードをカタカナで事前に指定しておける。

 とはいえ、無意味な言葉を入力しても何の返答も得られない。人物の言動やその街での話題から、どの質問が有効なのか考える必要があるのが、このゲームの醍醐味。キーワードはちょっと情報収集すればわかることが多いので、難易度はそれほど高くはない。

質問内容を考え、街の人から新たな情報を引き出していく

 HPとMPのシステムも独特だ。このゲームには時間と曜日の概念があり、行動によって時間が経過していく。そして、HPも時間に合わせて減っていき、たとえば最大HPが100の場合、朝は満タンで、昼には90から40まで減り、夜遅くには1になってしまう。そのため夜に戦闘するのは非常に危険だが、特定の曜日の夜にしか起きないイベントがあるなど、ゲームの進行に時間が絡むことがある。寝て1日を終わらせる以外にHPの回復方法が存在しないのも特徴だ。

 MPは猫をだっこするといったさまざまな行動に使うほか、戦闘で技を発動するのにも必要となる。MPは満腹度という扱いで、歩くことで減っていき、何か食べることで回復。この際、レストランや自炊などによりしっかりとした食事をとることで、MP回復と同時に最大HPがアップすることがある。非常食といったアイテムでもMPは回復できるが、緊急時以外はちゃんとした食事で回復したいところだ。

 街の外での行動においては、テントを張ることも大切。テントを張るにはある程度広い場所が必要で、これを確認しながら進むとよいだろう。テントでは寝てHPを回復できるほか、食事をしてMPも回復できるが、料理をするには材料が必要だ。長旅をするときは、フィールドに落ちている食べ物を拾ったり、街であらかじめ材料を購入しておきたい。鍋やフライパンなどがあると、料理のメニューを増やすことが可能だ。

 まったく違う世界を目指すゲームだけに、道のない崖を登る必要があるシーンは非常に多い。そのため、登るためのロープはとにかく多く持っていた方が何かと便利。ここはお金を惜しまず買っておきたい。また、高い崖を登るには高い“登山レベル”が求められる。登山レベルは崖を登ったり、降りたりすることでアップする。

フィールドではテントを張ることでHPとMPの回復ができる
崖を登るシーンが多いのでロープの数と登山レベルのアップは非常に重要
仲間が住んでいる土地を離れ、旅へ出るにはそれだけの理由がある

 ゲームを進めていると、仲間になる人物との出逢いも。その人物が何を求め、何をしてほしいのか考えながら行動することで、一緒に旅をできるようになる。ただ、仲間にするには日数の経過が必要な場合もあり、気長に行動するのもこのゲームを進める上では大切だ。

戦闘はシビア。必要最小限にした方が進みやすい

 戦闘は、フィールド上の敵に触れると開始されるシンボルエンカウント方式。そのため、まったく戦闘しないで進むことも可能だ。戦闘が始まるとフォンを中心とした7×7マスが通常のフィールドから戦闘フィールドとなる。すばやさの高いキャラクターから順番に行動する方式で、敵を指定して攻撃したり、一歩ずつ移動しながら戦闘が進行する。7マス×7マスの外に出ると戦闘から離脱となり、仲間が全員離脱した場合は敵から逃げられる。

 戦闘で面白いのは猫の存在だ。“能力目算”コマンドで敵の強さを表示したり、“励ます”コマンドで指定した仲間の攻撃力を1回だけアップさせたりと、サポート的な役割をしてくれる。いつも抱っこしてくれているフォンから降りて、フォンのすばやさをアップさせつつ猫自身が戦闘に参加することも可能だ。

戦闘は敵に触れるとスタート。7×7マスのフィールドで戦う

 基本的に戦闘はシビア。HPは少なく、敵に囲まれると高確率でやられてしまう。さらに、フォンがやられるとゲームオーバー。救済措置はないため、敵が居る場所に行く時は必ずセーブをしておきたい。戦闘に勝利すると経験値が得られ、一定値まで溜まると攻撃力とすばやさがアップするが微々たるもの。強さはほぼ装備品で決まるといっていい。

 このほか、戦闘を有利にするには“特殊技”を覚えるといい。覚える方法は誰かに話しかける、特定の行動をするなど、キャラクターや技の種類によって異なる。その特殊技の中でもフォンが覚えられる“身構えながら攻撃”は、そのときの攻撃力は半減するが、その次からは防御力が2倍になるという強力なもの。これがあるだけで、倒される確率がグッと減る。かなり初期の時点で覚えられるので、ぜひとも見つけておきたい。

お金稼ぎの方法を見つけるのも冒険には重要

アルバイトではお金に加えてスキルが得られることも

 強力な装備品は金額が高いほか、ロープや食材など冒険に必要そうなものを不足なく揃えようとするとお金はかなりかかる。お金を稼ぐ方法は色々あり、アルバイトはスキルを身につけながらお金が稼げるのが便利だ。このほか、敵を倒して得られるアイテムを売ったり、フィールドに落ちているアイテムを集めて売るといった方法もある。高額で売れるアイテムを持つ敵もいるので、それを探すのも面白い。

 また、この世界には“神の落し物”と呼ばれるレアなアイテムがあり、それを入手して売るとかなりの金額になる。フィールドで発見できることもあるので、これを探すのもお金稼ぎのひとつの手だ。

 なお、筆者のプレイ中には、何度か不具合に遭遇したのが気になった。パソコンの環境による可能性も当然あるが、ある場所にはまって抜け出せなくなったほか、戦闘中にゲームが強制終了したことも。不具合に関してはバージョンアップのたびに対応されているので、今後もより改善していくことを期待したい。

就寝時に挿入される猫の過去も見所のひとつ

 神様の国を目指すという壮大な冒険のようだが、どこかのんびりした雰囲気が流れている本作。知らない場所へ行きたいという漠然とした目的を果たすため、どうすればいいのか探索しながら推理、行動して見つけていくのが楽しい。猫の過去や、それぞれの仲間が旅に出る理由など、フォンが行動することで進行するストーリーも見所となっている。ゆっくりと世界を回る冒険を味わいたい人にはピッタリの1本だ。

ソフトウェア情報

「落葉の大地を走れ」
【著作権者】
NAN 氏
【対応OS】
Windows(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.32(15/02/25)

(芹澤 正芳)