クリエイターが知らないと損する“権利や法律”
無断転載を逆に利用する
~第8章:作品がパクられた!どうしよう?~
2016年9月30日 07:20
オンラインソフト作者に限らず、あらゆるクリエイターが創作活動を続けるために、著作権をはじめとして知らないと損する法律や知識はたくさんある。本連載では、書籍『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』の内容をほぼ丸ごと、三カ月間にわたって日替わりの連載形式で紹介。権利や法律にまつわる素朴な疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えする。
前回掲載した“イラストが勝手に抱き枕にされた”の続きとして、今回は“無断転載を逆に利用する”というテーマを解説する。
無断転載を逆に利用する
先生! ぼ、僕の描いた漫画が、勝手にアップロードされてるんですけど、どどどどどうしたらいいでしょう? 紙でしか出してないのに! くそお、印刷会社が横流ししたのかな……。
まあまあ、まず落ち着いて。
どれどれ……恐らくこれは、紙からスキャンした画像ですね。
ほらこの画像、少し斜めになっていて、裁断したような跡が見える。
あ、ほんとだ。
ということは、同人誌即売会で買ってくれた人の中に犯人がいるわけか……ちくしょう、誰だ。
購入した人からもらった人が犯人かもしれませんよ。
まあ、その辺りはともかくとして、どうしたいですか?
えーっと、まずはこのアップロードされてる画像ファイルをすぐに削除してもらって、犯人には謝罪してもらいたいです!
画像の削除は無断転載の場合と同じで、正攻法は相手に直接要請するか、アップロード先のサービス事業者への通報ですね。
ただ、どうやらここは匿名のアップローダーです。悪質なケースなら摘発して徹底的に反省していただく方法はありますけれど、ここでは詳しい方法は書けません(ニコッ)。
ぐぬぬ……。
どれ、ちょっとGoogle画像検索してみましょうか……すでにあちこち転載されていますね。すごい数です。
犯人の摘発はともかく、画像をオンライン上から消すのはもう無理かもしれませんね。
そんなあ。
紙だけで発行していても、こういう事態が起こり得るということなのですよ。
むしろ、デジタルで手に入らないから、スキャンされてしまったのかもしれません。
残念ですが、良い勉強になったと思いましょう。
ふえぇ……。
しかし、これだけ転載されるとは、すごいですね。大人気じゃないですか。
犯人をかばう気はありませんけど、『いい宣伝になった』と前向きに捉えた方が精神衛生上いいと思いますよ。
うーん、でもなんか悔しいなあ。
幸いこの同人誌は二次創作ではなくオリジナルですから、自分だけの意思で販売できますよね。
もっといい画質の加筆修正版をデジタルで販売したら、それなりに売れると思いますよ。
本当ですか!? 先生にそう言ってもらえるなら頑張ってみようかな。
続編を描いてもいいでしょうね。
せっかくですから、何もしないで泣き寝入りするのではなく、転んでもタダでは起きない方法を考えましょう!
……わかりました、頑張ってみます!
連絡
書籍『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』の内容をほぼ丸ごと、三カ月間にわたって日替わりの連載形式で紹介いたしました。残るは、まえがき、目次、付録だけとなりますので、窓の杜での集中連載はひとまず終わりとなります。
“見て歩く者 by 鷹野凌”のブログでは、フリーライターの鷹野凌が、見て、歩いて、興味を惹かれたことや、気になったことについて書き綴っています。特に「電子出版」「Google+」「著作権」といった分野のことを扱っていますので、ご興味があればぜひブログの方にもお越しください。
原著について
『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』
(原著:鷹野 凌、原著監修:福井 健策、イラスト:澤木 美土理)
クリエイターが創作活動するうえで、知らないと損する著作権をはじめとする法律や知識、ノウハウが盛りだくさん! “何が良くてダメなのか”“どうやって自分の身を守ればいいのか”“権利や法律って難しい”“著作権ってよくわからない”“そもそも著作権って何?”といった疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えします!