REVIEW（10/09/07）

　「Air Video Server」は、PC内の動画をiPhone/iPod touch/iPad用の専用クライアントアプリ「Air Video」向けにストリーミング配信できるメディアサーバーソフト。Windows XP/Vista/7などに対応するフリーソフトで、作者のWebサイトからダウンロードできる。

　「Air Video Server」および「Air Video」を利用すれば、LAN内のPCの動画をiPhoneやiPadで視聴できる。ネットワーク越しにストリーム配信される仕組みなので、わざわざ「iTunes」を利用して動画を同期する必要がない上、iPhone/iPadの空き容量を気にする必要もない。

　さらに、FLV/DivX/MKV形式など“iOS”では再生できない動画を対応形式へ変換しながらストリーミング配信する“Live Convertion”機能を搭載。あらかじめ動画変換を行わなくても、その場ですぐにどんな形式の動画でも楽しめる。ただし、“Live Convertion”を利用するには、それなりのスペックのPCが必要なので注意。作者によると、“Intel Core2 Duo”以上の処理能力をもつCPUがお勧めとのこと。なお、スペックの低いPC向けに、あらかじめサーバー側で動画変換を行う方式もサポートされているので安心してほしい。

　利用するにはまず、Javaランタイム（JRE）や「Bonjour」といったサーバーソフトの動作に必要なソフトをPCへインストールしよう。「Bonjour」は「iTunes」のインストーラーに含まれているので、「iTunes」を導入済みであれば必要ないだろう。

　サーバー側の設定は簡単で、基本的に［Shared Folders］タブで公開するフォルダを登録するだけでよい。「iTunes」ライブラリのプレイリスト単位で公開する動画ファイルを指定することも可能だ。

　次に、iPhone/iPod touch/iPadへクライアントアプリ「Air Video」をインストールして起動しよう。「Air Video」は価格350円（税込み）の有償アプリで、iPhone/iPod touch/iPad向けアプリケーションの配信サービス“App Store”からダウンロードできる。無償版「Air Video Free」も用意されているので、あらかじめ動作確認を行いたい場合はこちらを利用するとよいだろう。なお、「Air Video Free」はフォルダの内容を表示する際に、3つ以上のフォルダ・ファイルを表示できないという制限が設けられている。

　クライアントアプリを利用するには、まずIPアドレスまたはPC名を指定してサーバーPCを追加する必要がある。サーバーPCを追加すると、公開フォルダ内のフォルダやファイルが画面左側に表示され、画面右側で動画を視聴できるようになる。

　動画の再生画面では、“iOS”で再生可能な形式であれば［Play］ボタンが表示され、そのまま再生が可能。未対応の場合は、［Play with Live Convertion］ボタンを押せば、“Live Convertion”機能を利用した再生が可能だ。再生前に動画をタップすると、音声や字幕、ズームといった再生に関する設定を調整できる。

　また、［Convertion］ボタンを利用して、変換作業のみを行うことも可能。変換作業はサーバーPC側で行われ、iPhone/iPadを接続していない場合でも作業は継続される仕組み。変換済みの動画にはファイル名の横に小さく“Converted”と表示され、iPhone/iPadでの再生に適した品質で“Live Convertion”の場合よりも低負荷でのストリーム再生が可能になる。

　なお、DRMつきの動画は再生できないので注意。また、本ソフトは基本的にLAN内での利用がメインではあるが、ベータ版としてインターネット経由での再生機能も用意されている。ネットワークの設定やトラブルが生じた際に自力で対処できるユーザーであれば、試してみてもよいだろう。