NEWS(12/08/09 16:06)
「Google Chrome 21」では“PPAPI”を採用、Windows XP環境でもFlashが高速・安全に
サンドボックス機能やGPUアクセラレーションを活用したレンダリングが可能
米Google Inc.は公式ブログ“Google Chrome Blog”で、“An even more secure Flash Player for our Windows users”と題する記事を8日付け(現地時間)で公開した。それによると、「Google Chrome 21」では新しいプラグインアーキテクチャーが採用されており、Windows XPユーザーでもこれまでより安全に「Adobe Flash Player」プラグインが利用できるという。
「Google Chrome 21」の「Adobe Flash Player」プラグインでは、“NPAPI(Netscape Plugin API)”と呼ばれる従来のプラグインアーキテクチャーに代わり、それを拡張した“PPAPI(Pepper Plugin API)”が新たに採用されている。
“NPAPI”は、Webブラウザーとネイティブアプリケーションを結びつけるための仕組みで、ブラウザーだけでは表現できないコンテンツをサードパーティ製プラグインによって実現するために、Webの黎明期から活用されてきた。
しかし、サンドボックス、GPUアクセラレーション、マルチプロセスアーキテクチャーなどといった高度な機能がWebブラウザーに実装されると、次第にその設計の古さや機能不足が目立つようになった。たとえば、“NPAPI”では対応できない機能はOS固有の機能に頼ることになるが、それがプラットフォーム間で動作が異なる原因にもなるうる。また、セキュリティモデルが古いため、ユーザー権限の扱いなどに注意を要するのも問題と言える。
そこで同社では2010年より、Adobeと協力してプラグインの“PPAPI”化を進めてきた。“PPAPI”は、特定のプラットフォームに依存せずこれらの高度な機能を実現するために“NPAPI”が拡張されており、安定性・速度・セキュリティの向上が期待できる。
たとえばセキュリティ面では、Windows Vista以降に導入された“整合性レベル”を利用した保護モード機能や“ASLR(アドレス空間配置のランダム化)”によって守られていないシステムでも、サンドボックス機能を利用して安全にプラグインを実行できるようになる。
さらに、GPUアクセラレーションを活用したFlashコンテンツのレンダリング、スムーズなページスクロールが可能になるほか、“NPAPI”で利用されていた古いコードの除去によりプラグインのクラッシュが約20%減少するといったメリットもある。Windows XP環境で「Google Chrome」を利用するユーザーにとっては、大きな意義のあるアップデートと言えるだろう。また、Windows 8の“Metro”環境でも、あらゆるWebサイトでFlashコンテンツが利用可能になるというメリットがある。
なお、Linux版ではすでに「Google Chrome 20」で“PPAPI”への移行が完了している。また、Mac OS X版でも今後移行を進めていくとのこと。