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Mozilla、「Firefox 22」ベータ版を公開

“WebRTC”が初期状態で有効化されたほか、“OdinMonkey”でJavaScriptがさらに高速化

「Firefox」v22.0b1

 Mozillaは16日、Webブラウザー「Firefox」の次期バージョン「Firefox 22」のベータ版を公開した。本バージョンでは、“WebRTC”に関する機能が初期状態で有効化された。

 “WebRTC(Web Real-time Communication)”とは、ブラウザー同士でテキスト・音声・動画をP2Pで直接リアルタイムにやり取りするための標準規格の総称。「Firefox」ではすでにカメラやマイクへアクセスする“getUserMedia”(MediaStream)APIなどが利用できるが、今回のアップデートでは残りの“PeerConnection”や“DataChannels”といったAPIも有効になっており、初期状態で“WebRTC”がフル活用できる。開発者による利用が本格化することで、より一層の普及が見込まれる。

 また、JavaScriptの高速化技術“asm.js”をサポートした“OdinMonkey”がJavaScriptエンジンに搭載されたのも、本バージョンにおける注目すべきポイント。

 JavaScriptは実行時に型を特定し、必要に応じて型変換を行いながら処理を進める“動的型付け”言語だが、型変換の記法(たとえば“|0”で整数型へ変換)を活用することで、実行前に型を特定した書き方が行える。“asm.js”はこのような記法をもとに事前に型を特定し、実行前に最適化したコンパイルを行う。そのため、型のチェックと変換のロスを省き、ネイティブコードと遜色のない実行速度を得ることが可能。

 “asm.js”向けに書かれていない既存のコードがそのまま高速化するわけではないが、将来的にライブラリなどが対応すれば、JavaScriptの枠組みを壊すことなく(非対応ブラウザーでも動作可能)大幅な高速化が見込める。

 そのほか、“Social API”対応サービスを管理するためのユーザーインターフェイスがアドオンマネージャーに追加。また、WindowsのDPI設定に応じたレンダリングに対応したほか、HTML5の“audio”“video”要素で再生速度が変更可能になるなどといった改善も盛り込まれている。

“Social API”対応サービスを管理するためのユーザーインターフェイスがアドオンマネージャーに追加
“audio”“video”要素で再生速度が変更可能に

ソフトウェア情報

「Firefox」Windows向けベータ版
【著作権者】
contributors to the Mozilla Project
【対応OS】
Windows XP/Server 2003/Vista/7/8(64bit版を含む)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
22.0b1(13/05/16)

(柳 英俊)