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「Google Chrome 32」がベータ版に。UIプロジェクト“Aura”の成果を盛り込む

マルウェアのブロック機能が搭載されたほか、サウンドを再生しているタブが一目瞭然に

「Google Chrome」v32.0.1700.6

 米Google Inc.は11日(現地時間)、Webブラウザー「Google Chrome」の最新ベータ版v32.0.1700.6を公開した。「Google Chrome 32」は“Aura”プロジェクトの成果が盛り込まれた最初のバージョンとなっている。

 “Aura”とは、GPUによるハードウェアアクセラレーションを活用したモダンでクロスプラットフォームなデスクトップ環境を提供しようという野心的なプロジェクト。

 たとえば、ボタンやツールバーといったユーザーインターフェイスコントロールを実現するために、Windows環境ではWin32 APIが提供するネイティブコントロール(同プロジェクトでは“HWND”と呼称)が利用されている。一方、ChromeOS環境ではオープンソースのユーザーインターフェイスコンポーネント“GTK”がその部分を担当する。そして、これらの差分を吸収するための中間レイヤーを設けることで、「Google Chrome」ではプラットフォーム中立な設計が保たれていた。

 しかし、「Google Chrome」はもともとWindows環境をターゲットに開発され、のちにほかの環境への移植が進められてきたという経緯をもつ。そのため、ユーザーインターフェイス部分にWindows環境固有のコードが残ってしまっていた。また対応プラットフォームが拡充するにつれ、中間レイヤーを設けるという設計そのものにも無理が生じていたようだ。各種ダイアログをタブに置き換えるなどしてHWND/GTKベースのネイティブコントロールへの依存を取り除くといった努力はこれまでのバージョンでも続けられていたが、抜本的な対策が必要とされていた。

“Aura”アーキテクチャー

 今回採用された“Aura”アーキテクチャーでは、プラットフォームに依存しないデスクトップマネージャーやシェル環境が独自に提供される。ブラウザー部品を司るブラウザープロセスは“Chrome Compositor(CC)”を介して“WebKit”のレンダリングプロセスと合成され、最終的にGPUによってまとめて描画される。これによりHWND/GTK依存が排除できるだけでなく、“WebKit”のレンダリング以外の部分にもハードウェアアクセラレーションが活用できるようになる。

 現在のところ、“Aura”ユーザーインターフェイススタックはWindowsでのみ利用可能。「Google Chrome 33」でLinuxのサポートも予定されている(Mca OS Xへの対応は未定)。Windows 8/8.1では、「Google Chrome」を既定のブラウザーにすると、“Immersive”モード(Windows ストアアプリの実行環境)でこの“Aura”が体験できる。

“Immersive”モードで実行した“Aura”。複数ウィンドウの表示(ウィンドウマネージャー)に対応するほか、アプリランチャーなどのユーザーインターフェイスを備えたChromeOS風の画面が現れる

 「Google Chrome 32」では、そのほかにもさまざまな改善が盛り込まれている。たとえば、サウンドの再生・カメラの利用・TVへの出力(Chromecast)を示すインジケーターアイコンがタブに追加された。どのタブで音が再生されているのかわからずに困るといったことがなくなりそうだ。

サウンドの再生・カメラの利用・TVへの出力を示すインジケーターアイコンがタブに追加

 また“セーフ ブラウジング”機能が拡充され、不審なサイトをブロックするだけでなく、マルウェアのダウンロードがブロックできるようになった。マルウェアと思しきファイルがダウンロードされると、ダウンロードトレイに警告が表示され、ファイルを安全に削除することができる。

マルウェアのダウンロードをブロック(同社ブログより引用)

 「Google Chrome」ベータ版はWindows XP/Vista/7/8に対応するフリーソフトで、編集部にてWindows 8.1での動作も確認した。現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Mac OS X/Linux版の最新ベータ版も用意されている。

ソフトウェア情報

「Google Chrome」Windows向けベータ版
【著作権者】
Google Inc.
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
32.0.1700.6 beta-m Aura(13/11/11)

(柳 英俊)