レビュー
IMEで変換できる漢字を小学校の指定した学年で習う範囲内に限定「キッズIMEスイッチ」
筆記障害を抱える学生の受験機会を広げる“合理的配慮”のためのツール
(2014/8/8 13:37)
「キッズIMEスイッチ」は、日本語入力システムで変換できる漢字を、指定した学年までに修得する漢字のみに制限できるソフト。Windows 8/8.1に対応するフリーソフトで、“DO-IT Japan”のWebサイトからダウンロードできる。なお、ダウンロードの際はメールアドレスなどの入力が必要。
障害を抱えた生徒のなかには、PCに頼らなければ普段の勉強ができない生徒が少なくない。たとえば肢体不自由で鉛筆で文字を書くのが困難な場合、キーボードで入力が可能なPCは筆記具として必要不可欠だ。
しかし、普段の勉強でPCを利用することは認められていても、定期試験や入学試験となると『PCで不正ができてしまうのではないか』という懸念から受け入れられにくいのが現状なのだという。そうした問題を解決する一助としてリリースされたのが、「キッズIMEスイッチ」だ。
「キッズIMEスイッチ」は、Microsoftの協力のもと、東京大学先端科学技術研究センターで開発されたツール。タスクトレイアイコンのメニューで学年を指定すると、それまでに習う漢字のみが「Microsoft IME 2012」の変換候補に現れるようになる。学年は小学校第1学年から第6学年までが選択可能。
「キッズIMEスイッチ」の目的は、日本語入力システムの機能を制限することで、鉛筆で受験する一般の生徒と受験でPCを利用する生徒との不公平を改善し、受験でPCを筆記用具として利用することへの理解を得ること。「キッズIMEスイッチ」を導入するだけで公平な受験が実現されるわけではないが、『PCで不正ができてしまうのではないか』という疑念の一端を解消する効果はあるのではないだろうか。
そもそも試験とは知力・学力を計るのが目的であり、鉛筆で字が書けるかどうかは本質的な問題ではない。であれば、鉛筆で字が書けない生徒には、鉛筆以外の筆記手段が用意されてもよいだろう。そういった無理のない範囲で障害者への配慮を行うことを“合理的配慮(Reasonable Accommodation)”と呼ぶが、“DO-IT Japan”では「キッズIMEスイッチ」のそのほかにも、同様の目的をもつツールとして「Lime (ライム)」をリリースし、筆記をPCに頼らざるを得ない生徒たちに対する“合理的配慮”の実現をバックアップしている。
ソフトウェア情報
- 「キッズIMEスイッチ」
- 【著作権者】
- Barrier-free Research、RCAST、the Univ of Tokyo、DO-IT Japan
- 【対応OS】
- Windows 8/8.1
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.0