杜のAndroid研究室

第246回

Androidタブレットで本格的なマンガ制作ができる「メディバンペイントタブレット」

コマ割りやスクリーントーン貼りを簡単に行え、クラウドを介して共同制作も可能

 『杜のAndroid研究室』では、スマートフォン向けOS“Android”をテーマに、窓の杜スタッフが厳選したアプリなどを紹介していく。今回は、PCで人気のマンガ制作ソフト「MediBang Paint Pro」(旧「CloudAlpaca」)のAndroid版「メディバンペイントタブレット」に焦点を当て、その使い方と機能を紹介しよう。

人気マンガ制作ソフト「MediBang Paint Pro」のAndroid版

「メディバンペイントタブレット」
[ギャラリー]画面の右上にある[+]ボタンから新規ページを作成可能

 「メディバンペイントタブレット」は、Androidタブレットで本格的なマンガ制作ができるアプリ。無償のマンガ制作ソフト「MediBang Paint Pro」(旧「CloudAlpaca」)のAndroid版となり、PC版の機能をほぼ網羅している。多彩なペンによる描画のほか、コマ割りやスクリーントーン貼り、セリフの入力など、マンガの制作を一通り行える。また、クラウドを介して複数端末で原稿を同期したり、複数人で共同制作することも可能。

 起動時に表示される[ギャラリー]画面で右上にある[+]ボタンをタップすると、新規ページの作成が可能。表示されるポップアップで原稿のサイズとDPIを指定し、背景色を白または透明から選択して、[OK]ボタンをタップすれば、編集画面を表示することができる。

多彩なペンや塗りつぶし・選択ツールなどで描画できる

ツールバーや“コマンドバー”“ショートカットパネル”からツールを選択して描画できる

 編集画面は、一般的なペイント系グラフィックソフトとよく似たわかりやすいインターフェイスとなっており、画面最上部にペンや消しゴムなどのボタンを配置したツールバーが、画面左端にツールの設定などを補助する“コマンドバー”が表示される。なお、タブレットを縦画面に切り替えると、画面最上部にツールバー、最下部に“コマンドバー”が表示される仕組み。

 そのほか、画面下部にはよく使うツールや機能のボタンを並べた“ショートカットパネル”が表示される。“ショートカットパネル”は右端をドラッグして画面内を自由に移動でき、さらに本アプリの設定画面でパネルに配置するボタンをカスタマイズすることも可能だ。また、キャンバスはピンチアウト・イン操作で拡大・縮小でき、2本指でタッチしたままドラッグすることで上下左右に移動できる。

 たとえば、ペンツールで描画する場合、ツールバーでペン型ボタンをタップし、キャンバスをなぞることで線を描ける。線の色や太さ、ペンの種類などは、“コマンドバー”のパレット型ボタンをタップして表示されるメニューで設定可能だ。また、ツールバーの下側に表示されるメニューから、“手ぶれ補正”を設定して線の乱れを補正したり、“スナップ”機能を利用して、定規のようなガイドに沿って縦横斜めの平行線や集中線などを引くこともできる。

 なお、一部の対応端末では、筆圧に応じて線の太さを変える“筆圧感知”機能を利用可能。あらかじめ設定画面で“筆圧ペンを使用する”を有効化しておくことで同機能を利用でき、紙に手書きするような感覚で線を描ける。

 ツールバーでは、ペンや消しゴムのほか、塗りつぶしツールや矩形・自動選択ツール、移動ツールなどの各ボタンを選択して描画を行える。なお、画面左上にある[HELP]ボタンをタップすると、選択中のツールの説明を表示して使い方などを確認することが可能だ。

“コマンドバー”のパレット型ボタンをタップすると、線の色や太さを設定できるメニューが表示される
画面左上の[HELP]ボタンをタップすると、選択中のツールの説明が表示される

簡単にコマ割りができるほか、素材を取得してスクリーントーンを貼れる

 ページをコマ割りしたいときは、画面上部のツールバーで右端から3番目にある[コマ割り]ボタンをタップしよう。ツールバーの下側に表示されるメニューで枠線の間隔や太さを指定でき、最初に[+]ボタンのメニューから[追加]ボタンをタップして、コマの外枠を作成可能。以降は、コマの端から端まで縦横斜めにスワイプすることで、自由自在にコマ割りしていくことができる。

 また、スクリーントーンや背景画像などの豊富な素材をダウンロードして、簡単に貼り付けることも可能。“コマンドバー”の下から4番目にある円形ボタンをタップすると、画面右側にメニューが表示され、下部の雲型ボタンから[素材のダウンロード]画面を表示して素材のダウンロードを行える。画面はタブ切り替え型となっており、[トーン]タブからは背景・建物のイラストやスクリーントーンを一覧してダウンロード可能。

縦横斜めのスワイプで直感的にコマを割ることが可能
画面右側に表示されるメニューの下部にある雲型ボタンから素材をダウンロードできる

 さらに、[素材のダウンロード]画面の他のタブからは背景の模様として使える“タイル”や、フキダシなどの“アイテム”のダウンロードを行うことができる。なお、一部の素材のダウンロードには、後述する“メディバン クラウド サービス”のログインが必要になる。このほか、印刷に適したA4用紙600DPI相当の解像度の素材も用意されており、画面右上の[標準]ボタンのメニューから一覧を切り替え可能だ。

 ダウンロードした素材は、“コマンドバー”の円形ボタンをタップした際に画面右側に表示されるメニューで各タブを選択することで一覧できる。たとえば、ページ全体にスクリーントーンを貼りたいときは、画面右側のメニューの[トーン]タブから貼りたいスクリーントーンをタップすればよい。また、特定のコマにだけスクリーントーンを貼りたい場合は、自動選択ツールなどであらかじめコマを選択した上で、[トーン]タブからスクリーントーンを選択することで貼り付けが可能だ。

[トーン]タブを選択すると、背景やスクリーントーンの素材を一覧してダウンロード可能
画面右側のメニューでスクリーントーンをタップして、コマなどに貼り付けられる

レイヤー機能を利用でき、セリフなどのテキストも挿入可能

 もちろん、レイヤー機能も利用できる。“コマンドバー”でひし形の[レイヤー]ボタンをタップすると、画面右側にメニューが表示され、レイヤーの追加・削除や並べ替え、表示・非表示の切り替えなどが可能。さらに、“レイヤーフォルダー”を作成して、複数のレイヤーをグループ化し、一括で操作することもできる。また、通常のレイヤーに加えて、線が黒1色になる“1bitレイヤー”や、濃淡のあるグレースケールの“8bitレイヤー”を利用することが可能だ。

 なお、[ギャラリー]画面右上にある[…]ボタンのメニューの[PNG/JPGをインポート]項目を選択すれば、端末内の画像を背景として取り込むことが可能。また、素材追加のメニューから端末内の画像またはその場で撮影した写真を取り込むこともできる。これらの画像にレイヤーを重ねることで、上からなぞるだけで背景や人物のイラストを簡単に描ける仕組みになっている。

“レイヤーフォルダー”で複数のレイヤーをグループ化して、一括で表示・非表示などを操作できる
取り込んだ写真にレイヤーを重ねて、上からなぞるだけでイラストを描ける

 また、ツールバーの一番右端にある[Aa]ボタンからは、セリフなどのテキストを挿入することができる。テキストを挿入したい場所をタップすると、テキスト入力用のポップアップが表示され、日本語入力アプリや音声認識でテキストを入力可能。さらに文字の色やサイズ、フォントなどを指定し、[確定]ボタンをタップすることでテキストの挿入を行える。なお、後述する“メディバン クラウド サービス”にログインすれば、フリーのフォントに加え、通常有償で提供されているフォントも無償で利用できるようになる。これらのフォントを利用したマンガやイラストは、商用利用することも許可されている。

日本語入力アプリや音声認識でテキストを入力し、サイズやフォントを指定して挿入できる
ログインすると、通常有償で提供されるフォントも無償で利用できる

原稿をクラウドに保存して、複数端末や複数人で同期できる

 マンガを描いたら、編集画面の左上にある[メニュー]ボタンのメニューから[保存]項目を選択してページをローカルに保存可能。保存したページは[ギャラリー]画面に一覧表示され、選択して描画を再開することができる。

 また、本アプリでは、開発元の(株)MediBangが提供する“メディバン クラウド サービス”にログインすることで、原稿をクラウドに保存して、複数端末や複数人で同期することが可能になる。[ギャラリー]画面の右下にある雲型ボタンをタップすると、ログイン画面が表示され、無料会員登録またはログインが可能。

 ログイン後、[ギャラリー]画面から雲型ボタンを再びタップすると、[プロジェクト一覧]画面が表示される。[プロジェクト一覧]画面では、[マンガ][イラスト]タブを切り替えられ、各タブの選択後、右上の[+]ボタンから新規プロジェクトを作成可能。

 作成したプロジェクト内で新規ページを作成したり、ローカルに保存してあるページをインポートすることで、クラウドにページを保存して、PCなどの他の端末と同期することが可能。また、チームを作成してプロジェクトを共有すれば、マンガの共同制作も可能だが、チームの作成やメンバーの招待はAndroidアプリ上では行えず、Webブラウザーで“メディバン クリエイターズ”のサイトにアクセスして行う必要がある。

 このほか、[プロジェクト一覧]画面からはマンガやイラストのプロジェクトを“メディバン クリエイターズ”へ投稿することも可能だ。

[ギャラリー]画面右下の雲型ボタンをタップして表示される画面から“メディバン クラウド サービス”への会員登録やログインを行える
作成したプロジェクト内でページの作成やインポートを行うと、クラウドに保存して複数端末で同期できる
「メディバンペイントタブレット」
【著作権者】
(株)MediBang
【対応OS】
Android 4.0以降
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.5(15/06/29)

(ライターズハイ:鈴木 友博)