#モリトーク
第74話
Windows的時計論
(2013/9/24 14:23)
Windows内蔵の時計は、ファイルのタイムスタンプを記録するときに利用されるなど、重要な役割を担っている。ところが、人間が時刻を確認する目的では使いにくいというか、あまり配慮されていないように思える。
まず、その配置がタスクバーの隅に固定され、小さいフォントサイズも基本的に変更できず、これでは視線の移動が大きくなってしまう。また、Windows XPやWindows Vistaのタスクバーでは通常、時と分だけしか表示されない。Windows 7やWindows 8ではタスクバーの幅が標準で広がったため、時と分に加えて日付も表示されるようになったものの、それでも時計としてはまだ使いにくい。
ただし、Windowsの時計が機能的に不十分というわけではない。Windows Vista/7/8の場合、タスクバーの時計をクリックすることで、月間カレンダーとアナログ時計を表示できるほか、タイムゾーンが異なるアナログ時計を追加することも可能だ。本当は充実しているのに、それが実用に結びついていない。
もしかすると、Windowsユーザーはデスクトップ上で時刻をそれほど確認しないのかもしれない。いや、そんなことはないだろう。かつて、タスクバーの時計をカスタマイズするソフト「TClock」が大ヒットした。これは、そのカスタマイズ性が魅力的だっただけでなく、上述したような欠点を補うためでもあったはずだ。
また、先週の“記事アクセスランキング”に目を向けてみると、偶然にも時計ソフトの記事が2本もランクインしている。「TVClock」と「Dexclock」は変り種の時計ソフトだが、その価値や評価が見直されつつあるのかもしれない。というのも、Windows Vista/7のデスクトップガジェットをはじめとする、時計ソフトには最適だったガジェットエンジンが事実上消滅してしまったからだ。2009年の“窓の杜大賞”で銀賞に輝いた「TTClock」もまた、再評価されるにはよい時期だろう。
時計ソフトといえば、その機能は普遍的なものであり、地味な存在ではあるが、Windowsの使いにくい部分を改善するという、オンラインソフトの原点でもある。その一方、機能が普遍的な分だけ、その見せ方にオリジナリティを見出す時計ソフトは多く、使う楽しさや選ぶ楽しさはそのほかのオンラインソフトと変わらない。
たとえば、先に挙げた「TVClock」「Dexclock」「TTClock」はいずれも見せ方にこだわっており、個性もさまざまだ。ほかには「美人時計デスクトップガジェット」などもあり、あまり注目されるジャンルではないが、種類は意外に充実しているので、実用と彩りの両面で自分に合った時計ソフトを探してみてはどうだろうか。