#モリトーク

第75話

突然やってきたChromeの新しいタブ

 Google社は先週、「Google Chrome」の“NPAPI(Netscape Plugin API)”プラグインを将来的に廃止するという、大きな決断を発表した。その代替となる“PPAPI(Pepper Plugin API)”プラグインについては、本コラムでも以前に取り上げているので参考にしてほしい。その発表の裏でほかにも、「Google Chrome」ユーザーに直接関係するアップデートがひそかに実施されている。

 それは、1カ月前に告知されていた“新しいタブ”のデザイン変更であり、一部の「Google Chrome」ユーザーに向けて試験的な導入が開始されている。筆者の環境にもその変更が突然やってきたので、全ユーザーへの本格的な実装に備えて、変更点や注意点などを確認しておきたい。

 今回のデザイン変更は主に、“新しいタブ”を開いたあとのGoogle検索を改善するものだ。新デザインの“新しいタブ”には、Google検索のトップページを模した画面が表示され、その検索ボックスと「Google Chrome」のアドレスバーがリンクする仕組みになっている。また、記念日などに公開される特別なデザインの“Google Doodle”も“新しいタブ”画面で楽しめる。

試験的に実装されている新デザインの“新しいタブ”

 それに伴い、“新しいタブ”の使い勝手が多岐に渡って変更されている。たとえば、これまでの“新しいタブ”は“よくアクセスするページ”と“アプリ”の2画面構成になっていたが、“アプリ”画面が単体の機能として生まれ変わり、それを呼び出すためのボタンがブックマークバーの左端に追加された。

 新デザインの“新しいタブ”にはブックマークバーが常に表示されるため、“アプリ”画面をスムーズに呼び出せ、その使い勝手は機能面も含めて以前と変わらない。なお、“アプリ”呼び出し用のボタンは非表示にすることも可能だ。

 画面中央に表示されていた“よくアクセスするページ”の一覧は“新しいタブ”画面に残り、検索ボックスの下へ移動した。ただし、そのサムネイルが小さくなり、視認性や操作性が以前よりも低下しているため、多用していた人は不便に感じるかもしれない。

 また、“最近閉じたタブ”機能が“新しいタブ”画面からメインメニューへ移動しており、開いているタブをデバイス間で同期するための“その他のデバイス”も“最近閉じたタブ”と同じメニューに統合されている。そして、筆者がもっとも不満を感じているのはこの点だ。

 メニューの場所が移動しただけなら慣れの問題に過ぎないが、“最近閉じたタブ”は機能そのものも変更されている。現行の“最近閉じたタブ”機能は、「Google Chrome」やパソコンを再起動しても直近の履歴を保持してくれるが、新仕様のそれは再起動のたびに履歴をリセットするようになった。

 筆者はこれまで、“最近閉じたタブ”機能をセッション保存の目的で利用することがあった。直前のセッションを保存・復元したいなら、起動オプションを切り替えればよいが、それが不要なときには「Google Chrome」の起動が遅くなってしまう。そこで、必要なときだけ“最近閉じたタブ”機能を活用し、同時に閉じた複数のタブを再起動後に復元するようにしていたのだが、それが不可能になってしまった。

現行仕様の“最近閉じたタブ”機能
新しい“最近閉じたタブ”機能のメニュー位置
現行の“新しいタブ”へ戻す上級者向けオプション

 新デザインの“新しいタブ”は今のところ、「Google Chrome」本体のアップデートとは別にユーザー単位で適用されており、とくに告知されることもないので、その対象に選ばれたユーザーは使い勝手の変更に戸惑うだろう。自己責任となるが、現行の“新しいタブ”へ戻すこともできる。

 まずアドレスバーに“chrome://flags/”と入力し、上級者向けの設定画面を呼び出す。そして、オプションのひとつである[Instant Extended API を有効にする]を無効化すればよい。ただし将来的には、現行の“新しいタブ”が完全に廃止されるようだ。

 Google社が運営するプロダクトフォーラムでは、新デザインの“新しいタブ”に関する意見や感想を募集しているので、不満を抱いた人は本実装の前に要望を投稿しておくとよいだろう。また、拡張機能で補える場合もあるので、事前に探しておこう。

(中井 浩晶)