#モリトーク

第73話

スタートアップと管理者権限

 前回、前々回、電源プランの機能や特性を知ることで、「Full Throttle Override」の用途が広がることを解説した。それと同様に、Windowsの機能や仕様を理解すると利便性が向上したり、新たな用途を見出せるオンラインソフトは珍しくない。また、知識やテクニックが必須となる場合もあり、それがオンラインソフトの楽しさ、魅力であろう。

 そこで今回は、「Full Throttle Override」にも関係する、オンラインソフトを使いこなす上での汎用的なテクニックを紹介したい。

管理者権限での起動を必要とする「Full Throttle Override」

 「Full Throttle Override」などのように、Windowsのシステムへ深く入り込むオンラインソフトの起動は、Windows Vista/7/8などに搭載されている“ユーザー アカウント制御(UAC)”を経由しなければならない。これは、その動作に管理者権限を必要とするためであり、そういったソフトを起動したときにはUACのダイアログが必ず表示される。そして、このUACがオンラインソフトにとって面倒な存在となってくる。

 オンラインソフトをスタートアップで起動させたいとき、通常ならスタートメニュー内の[スタートアップ]フォルダに対象ソフトのショートカットファイルを手動で作成すればよい。ところが、管理者権限を必要とするオンラインソフトがスタートアップ起動の対象となる場合、同様の方法ではUACによって起動が一時停止したり、正常に起動しないこともあるのだ。

 そのため、スタートアップ起動を前提としたオンラインソフトであれば、多くの場合、そのインストーラーがスタートアップ登録を自動で処理するようになっており、「Full Throttle Override」はその一例だ。また、ソフトの設定画面でスタートアップ登録を手軽に選べることもある。

“タスク スケジューラ”

 問題となるのは、スタートアップ登録の手段がソフト側に用意されていないときであり、上述したように[スタートアップ]フォルダも使えない。ここで必要となるテクニックが“タスク スケジューラ”の活用だ。“タスク スケジューラ”は、アプリケーションの起動を自動化するWindowsの機能であり、コントロールパネルなどから呼び出せる。

 “タスク スケジューラ”にはさまざまな条件を指定できる機能が用意されており、任意のアプリケーションをログオン時に管理者権限で起動させることができる。タスク作成の画面では、[操作]タブでアプリケーションを登録、[トリガー]タブで起動のタイミングを指定する。そして、[全般]タブにあるオプション[最上位の特権で実行する]が、管理者権限での実行を意味している。

 最後に、筆者の経験もテクニックとして伝えておこう。ログオン時にビジー状態が長く続く環境では、“タスク スケジューラ”に登録したアプリケーションがスタートアップ起動に失敗することがある。それを避けるために、タスク作成画面の[トリガー]タブで、30秒または1分の遅延時間を設定しておくのがオススメだ。

タスク作成画面の[全般]タブ
タスク作成画面の[トリガー]タブ

(中井 浩晶)