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国産フルスクラッチLLM「PLaMo」に金融特化型モデル、オンプレミスで利用可能な専用AIエージェントの構築サービスも

日本の金融知識を追加学習、実務に即した回答を実現

国産LLM「PLaMo」に金融特化型モデル

 (株)Preferred Networks(PFN)は6月17日、PFNグループがフルスクラッチ開発する国産LLM「PLaMo」において、金融特化型モデル「PLaMo-Fin-Prime」を発表した。高いセキュリティが求められる金融機関向けに、各社特有の知識を追加学習させ、セキュアなオンプレミス環境で利用できる専用モデルをカスタム開発するサービスを開始する。

 「金融特化型PLaMo(PLaMo-Fin-Prime)」は、日本の金融知識を追加学習した「PLaMo-fin-base」(2025年1月発表)をベースに、よりユーザーの意図に沿うように動作するための学習(アラインメント学習)を施した、金融機関向け大規模言語モデル。金融の専門性を求められる業務での実用性が高められている。

金融特化型PLaMo(PLaMo-Fin-Prime)

 同社では、この金融特化型PLaMoを基盤としたAIモデルを企業ごとにカスタム開発する新サービスを提供。金融機関が求めるセキュアなオンプレミス環境で各社の独自データや商品情報、業務フローや社内ノウハウなどを追加学習した専用モデルを利用できるようにすることで、各社が持つ機密性の高い情報を安全に活用しながら、専門性の高い業務の効率化と顧客対応などの品質向上を支援していく。

 活用例としては、営業支援・顧客対応の高度化(AIチャットボットによる自社商品・サービスへの深い理解に基づく顧客対応、コールセンターでのオペレーター業務支援)、バックオフィス業務・リスク管理の効率化(定型フォーマットや過去の事例にもとづいた稟議書、契約書等のドラフト自動作成・レビュー支援、従業員向けQ&Aシステムなど)、投資分析・商品開発支援(投資判断基準やポートフォリオ戦略をふまえた市場分析、企業分析レポートの作成)等が想定されている。

主な特長

 今回のモデルおよび新サービスにおいて、国産フルスクラッチ開発で世界トップレベルの日本語性能を実現したと謳う「PLaMo」を活用し、金融機関での実務利用に向け、日本の金融知識の追加学習と人の指示や意図に沿った生成性能を高めるためのアライメント学習が実施されている。

金融機関の実務に即した高精度な回答と推論能力を実現

  • 金融業界独自の言い回しなどを理解して自然で実用的な回答を生成
  • 金融規制の解釈、リスク分析、顧客対応シナリオ作成など、専門性が求められるタスクの精度を向上
  • 金融分野における知識を問う日本語ベンチマーク「Japanese Language Model Financial Evaluation Harness」において、PLaMo-fin-base、PLaMo 2.0 Primeを超える評価を達成。またいくつかの指標ではGPT-4oも上回る評価に
Japanese Language Model Financial Evaluation Harness(オンプレミス環境で尤度(もっともらしさ)にもとづいた計測を実施)

各社独自のデータを追加学習させた専用モデルをカスタム開発

  • 業務日報、研修資料、マニュアル、顧客データベース、過去の稟議書、金融商品情報、投資に関するノウハウといった、各社独自の機密性の高いデータを安全なオンプレミス環境で追加学習
  • 各社の社内用語、金融商品、顧客情報、組織固有の判断基準、業務フローなどを深く理解した専用AIエージェントを構築可能
  • 課題の把握から技術やユースケースの検証、アプリケーション開発、導入、運用、継続的なモデルの改善までPFNの金融チームがトータルで支援

オンプレミス環境での利用

  • データを一切社外に出さないオンプレミス環境での利用が可能

PFNの金融チームが導入後の実務応用を支援

  • 追加学習によるパラメーターチューニング、機械学習・深層学習の最先端技術にもとづいたソリューション開発・提供実績多数
  • 国内外の学会・カンファレンスでも高い評価を受けるPFNの金融チームが実務応用を支援