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国産フルスクラッチLLM「PLaMo」に新モデル ~サイズを抑え、世界トップクラスの日本語性能を実現

コンテキスト長を4倍に拡大、RAGにも対応した「PLaMo Prime」

国産LLM「PLaMo」のフラッグシップモデル「PLaMo Prime」

 (株)Preferred Networksは12月2日、子会社の(株)Preferred Elementsがフルスクラッチで開発する国産LLM「PLaMo」において、フラッグシップモデルとなる新モデル「PLaMo Prime」の提供を開始した。

 同日より、PLaMo Primeのクラウド型API製品「PLaMo API(プラモ・エーピーアイ)」の発売と、PLaMo Primeを利用したアシスタントチャット「PLaMo Chat」の期間限定無料トライアルも実施する。

フラッグシップLLM「PLaMo Prime」

 「PLaMo Prime」は、GPT-4を超える日本語精度を記録した「PLaMo β版」トライアルのフィードバックを受け、PFEが新たに開発した大規模言語モデル「PLaMo」のフラッグシップモデル。

 文章生成・要約・翻訳・テキスト分析まで、幅広い自然言語タスクを解決するために、高品質な学習データセットを構築し、さらに日本語タスク向けの追加学習が行なわれた。

 これにより、モデルサイズを抑えた上で世界トップクラスの日本語性能を実現。また、今回の最新モデルでは、以下の機能を実装・改善しているという。

  • コンテキスト長を拡大
    「PLaMo β版」の4倍にあたる約16,000トークンの長文を扱えることで、より複雑な文脈に対応できる。より長い文章の要約や分析が可能になり、システムログなどの大量のテキストから必要な情報を抽出することも可能。
  • RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)の精度向上
    長文処理の際に、あらかじめ用意した外部データベースから関連情報を参照して文章を生成するRAGにおいて、より多くの文章に対応し、かつ与えられた文章を正しく解釈する性能が向上。
  • 日英翻訳性能の向上
    扱えるコンテキスト長の拡大に加え、高品質な日本語と英語のデータセットを追加学習させたことで、長文の日英翻訳性能が向上。
  • Function Callingによる外部システムとのスムーズな連携
    PLaMoと外部システムとをよりスムーズに連携できるようになった。PLaMoと連携することで、既存のシステムに自然言語で指示を出すことが可能に。前後の文脈を判断し、必要となる外部システムのAPIを呼び出すことができる。

 利用料金は、入力トークンが300円/100万トークン、出力トークンが1,000円/100万トークン。リリースキャンペーンとして期間限定で1,000円分のクレジットが付与される。

 また、今回発売されたクラウド型API製品「PLaMo API」では、Web APIを通じて、あらゆるシステム・アプリに「PLaMo」を組み込むことができる。OpenAI APIと互換性のあるインターフェイスを採用し、openai-pythonやLangChain等のLLM向けライブラリ群を利用できるため、既存のコードをそのまま再利用可能となっている。

対話型AIアシスタント「PLaMo Chat」

 「PLaMo Chat」は、最新の「PLaMo Prime」モデルを利用した対話型AIアシスタント。一般ユーザー向けに設計されたチャットサービスで、質問への回答、創造的な文章作成、プログラミングの支援など、幅広いタスクをこなすことができる。

 その自然な対話能力と広範な知識ベースにより、教育、カスタマーサポート、コンテンツ制作など、さまざまな分野での活用が期待できるとのこと。

 こちらもリリースキャンペーンとして、期間限定の無料トライアルが実施されている。「PLaMo API」および「PLaMo Chat」は、いずれも公式サイトより利用申込が可能だ。

PLaMo Primeを利用したアシスタントチャット「PLaMo Chat」

 なお、PFNグループでは、今後とも継続的に「PLaMo」の開発を行ない、性能向上や、オンプレミス対応、業務用途に応じたソリューション提供などを通じて、多様な業界でのAIソリューションの活用を支援し、企業の競争力強化に貢献していくとしている。