使ってわかるCopilot+ PC
第20回
「以前見たアレって何だっけ?」をAIがあいまい検索してくれる「Recall」プレビュー版を試す
Windows Insider ProgramのDevチャンネルに導入
2024年11月29日 10:28
Insider PreviewビルドにRecallが登場
前回の記事でSnapdragon X搭載PCにInsider Previewビルドを導入する話をしたら、待望のAI機能である「Recall(リコール)」のプレビュー版がDevチャンネルに導入された。
Recallはその特性上、短時間で真価を発揮するものではないのだが、導入されたならば試してみるしかない。できる範囲でどんなものかを見ていこう。
スナップショットを保存して情報を蓄積
Recallは、ユーザーのデスクトップ情報をスナップショット、いわゆるスクリーンショットのような感じで保存・蓄積し、そこから過去の情報を検索できるようにする機能。
デスクトップ上を自動撮影するという仕組みなので、業務やプライベートで表に出せない情報も含まれることになる。ローカルで動作することは大前提にしても、ハッキングのターゲットとなることは容易に想像できる。
元々は「Copilot+ PC」の花形機能として発表されたものだが、実装が見送られ、開発に戻されることになった。そしてセキュリティ対策を万全にした上で、今回、Insider Previewビルドに再登場したという流れだ。
Recallを使用するには、まずスナップショットの記録を許可する必要がある。デフォルトではオフになっているため、Recallは機能しない。設定は[プライバシーとセキュリティ]の[Recall&Snapshots]にある[Save Snapshots]で行う(一部はまだ未翻訳状態)。
許可を与えたら、Recallのアプリを起動する。Recallアプリを起動する際には、Windows Helloによるサインインが必要。PCを起動したまま離席した他人のPCを勝手に触り、Recallを起動してプライバシーを覗く、ということができないようにする対処だ。
初回起動時には、『リコールはスナップショットを保存しています』という文言があるだけ。スナップショットを撮影されていない状態なので、何も検索するものがないということだ。
この後、PCを使えば使うほどスナップショットが蓄積されていき、検索できる情報が増えていく。スナップショットが撮影されている状態にあるかどうかは、通知領域にあるアイコンをクリックすればわかる。撮影状態であれば『Saving snapshots』と書かれている。ここではスナップショットの撮影を明日まで止める([Pause until tomorrow])設定も可能だ。
スナップショットに使うストレージ容量は、筆者が使用している「Surface Laptop 13.8インチ(第7世代)」のストレージ256GBモデルだと、10GBか25GBのどちらかを選べた。
またスナップショットの保存期間を、30/60/90/180日と無期限の中から選べる。日数制限をした場合、その日数が経過したスナップショットは自動で削除され、それ以前の情報は検索できなくなるということだろう。さらにスナップショットは手動で削除もできる。
AIが画像を読み取り、テキストと視覚情報の両方であいまい検索
しばらくPCを使用した後、再びRecallアプリを起動すると、スナップショットが貯まって過去の情報が見られるようになった。上部にあるバーのようなものを左右に動かしてみると、過去にあったデスクトップの情報が次々と出てくる。
ただここから見て過去の情報を探すのではない。上部にある検索ボックスに言葉を入力するのが基本だ。例えば『窓の杜』と入れてみると、弊誌をWebブラウザーで閲覧している場面のほか、弊誌でアップロードしたYouTubeの動画を再生している場面もヒットする。これらは画像の中に『窓の杜』というテキストを見つけて判断している。AIが画像を読み取って調べたものだ。
それとは別に、視覚的な一致という検索結果もある。『窓の杜』という言葉のイメージから連想されるスナップショットを見つけてきているようで、今回だと「NHKプラス」のログイン画面の外形に緑の山々が描かれているものがピックアップされた。欲しい情報の正確な名前がわからなくとも、『確かこんな感じの何か』という曖昧な検索でも、それらしいものをAIが見つけてきてくれるわけだ。
検索ワードは、テキスト検索も含めて完全な一致である必要はない。例えば『パソコン』と検索すると、パソコンやPCといったワードが含まれそうなスナップショットが[テキストにほぼ一致]としてピックアップされる。この曖昧さがAI検索の賢いところだ。
スナップショットで保存されるのはデスクトップに表示されたものの一部であり、どのタイミングでスナップショットが保存されたかは後で見返さないとわからない。一瞬しか表示されなかった情報は保存されていない可能性が高いので、過去の全てを覚えてくれている機能だとまでは思わない方がいい。
またフルスクリーン表示のゲームをいくつか試してみたが、スナップショットは保存されなかった。プレビュー版だからなのかもしれないが、いずれ対応して欲しいところではある。
Recallにはまだまだ色々な活用方法があり得るだろうし、正式リリースまでに修正もあると思われるので、また折を見て情報をお伝えしていきたい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/