使ってわかるCopilot+ PC

第21回

AIが写真を高画質化! 「フォト」アプリでNPUが超解像処理

「Copilot+ PC」のInsider Previewビルドで先行体験

検証に使用した「Copilot+ PC」、「Surface Laptop 13.8インチ(第7世代)」

NPUで処理する超解像度AI

 今回も「Copilot+ PC」のInsider Previewビルドを使い、NPUを用いる最新機能を見ていく。今回は「フォト」アプリの超解像度AIを試してみた。

 「フォト」アプリのAI超解像度機能は、今後Windows 11の標準機能として実装される予定。写真を高画質化するソフトは、これ以外にも最近増えてきているが、「フォト」アプリはWindows純正であること、そしてNPUを用いて処理できるところが長所と言える。

「フォト」アプリからすぐ使える

 使い方はとても簡単。画像を「フォト」アプリで開いた後、画面左上にある[編集]ボタンをクリック。すると編集画面が起動するので、右上にある[超解像度AI]をクリックする。

「フォト」アプリから起動

 右側に超解像度AIのウインドウが出てくるので、[スケール]のバーを動かして、2~8倍を選択。指定した倍率で画像が拡大されるとともに、超解像度AIが画質を高めてくれる。

[スケール]で拡大倍率を指定するだけ

 元の画像を縦横2~8倍にするという挙動なので、画像サイズが大きいものを処理しようとすると、メモリから溢れて処理にとても時間がかかる。試しに3,200×2,400ドットの写真で試すと、2倍は数十秒だったが、3倍だと数分かかった。

超解像度AIの実力は?

 実際にどんな感じで超解像処理をしてくれるのか、筆者の手持ちの写真を例に見ていこう。1枚目は猫の写真。解像度を244x187ドットまで下げたものを使い、2倍、3倍、4倍、8倍と見ていこう。

元画像
2倍
3倍
4倍
8倍

 2倍にすると細部がかなり緻密になり、ドットも綺麗に慣らされている。ただ4倍まで行くと、シャープネスをかけすぎたような部分もあり、逆にドット感が強くなるようにも感じられる。3倍辺りまでが実用的かなと思う。

 次は神社の鳥居周辺。こちらは解像度を512×341ドットに縮小したものを使う。同じく超解像度の倍率を変えて見比べる。

元画像
2倍
3倍
4倍
8倍

 こちらも2倍にすると精細さが上がるが、3倍からは背景のつぶつぶ感が強くなってくる。鳥居の表現は3倍くらいまでは素直に向上しているように思うので、AIの得意な部分が垣間見える。

 小さい写真をまるで大きく撮った写真のように美しく……という魔法ではないし、それは他社の高画質化ソフトも同じだ。それでも2倍まではかなりうまく超解像が効いているのではないかと思う。NPUを使うことで処理も早いし、アプリ自体の使い方がわかりやすいのもいい。

 ちなみに超解像度AIを適用した画像は、左右のスライドバーで処理前後の画像を比較できるようになっている。拡大して表示してみると、高画質化を実感できるはずだ。

処理前後の比較ができるようになっている

 今回テストした超解像度AIはまだ開発中のもので、実装までに修正が入る可能性はある。AI部分が強化され、より美しく超解像されるようになる可能性もあるので、「Copilot+ PC」をお持ちの方は楽しみにお待ちいただきたい。

 いつ正式実装されるのかはまだ不明だが、実装された際には古いデジタル写真を引っ張り出して、超解像度AIを試してみると面白いと思う。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/