週末ゲーム

戦術シミュレーションゲーム「CRAUZEL」

ダークファンタジーを満喫できる硬派なシミュレーションゲーム

(09/08/28)

タイトル画面

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、歯ごたえ充分の戦術シミュレーションゲーム「CRAUZEL」を紹介しよう。

ダークな雰囲気が漂うファンタジー系SLG

主人公である髑髏面の魔道師をはじめ、登場人物はインパクト大だ主人公である髑髏面の魔道師をはじめ、登場人物はインパクト大だ

4人編成の兵士ユニットは用途に応じてバラバラに行動させることも可能4人編成の兵士ユニットは用途に応じてバラバラに行動させることも可能

 「CRAUZEL」は、髑髏(どくろ)面の魔道師“マルバス”を主人公とする同盟組織“ネオ・アカデメイア”の魔道衆“セント・レライエ”を率いて、“クラウゼル地方”で起こる四つ巴の戦いを制すべく戦うターン制のシミュレーションゲーム。主人公が髑髏の仮面をつけた暗黒魔道師で、屍を操る屍霊術が得意という設定が示すように、ダークな雰囲気が漂うシリアスな物語が展開する。

 主人公以外にも生まれつき体が腐敗する奇病の男やオーガの血を引く亜人、同性愛者の罪人など、自軍にはわけありの人物が集う。ストーリー展開も3つの勢力をマルバスが巧みに崩していく策謀を中心に進むなど、ダークファンタジーの世界観を大切にした作風が本作の魅力だ。

 システム面の特徴は、ユニットが主人公をはじめとする“英雄ユニット”と名も無き“兵士ユニット”に大きく分けられていること。英雄ユニットは強力だが単独でしか行動できず、兵士ユニットは弱いものの最大4人の兵士を集めて1つのユニットを組むことが可能。複数の兵でユニットを形成したときは前衛2人、後衛2人という振り分けとなり、後衛は弓や魔法でしか攻撃できないが逆に敵の直接攻撃を受けない。

 兵士には装甲兵など前衛向きのユニットと、弓兵など後衛向きのユニットが用意されている。移動力の異なる兵士を組み合わせてユニット化した際は、ユニット全体の移動力が一番遅い兵士のものに引っ張られる形になるので、組み合わせには注意が必要だ。

ユニットの強化は資金で行う。兵士ユニットは系統ごとにまとめて強化可能だユニットの強化は資金で行う。兵士ユニットは系統ごとにまとめて強化可能だ

 ユニットには経験値の概念がなく、ステージクリア後に獲得できる資金を消費してレベルを上げていく。英雄ユニットは単体で、兵士ユニットは正規兵系、屍霊術式系など種別ごとにレベルを上げる仕組み。使わないユニットや系統はレベルを上げなくてもいいので、好みのユニットをレベルアップさせていけばいいだろう。

 ユニットは、それぞれ極端な能力差がある。騎兵など移動力が高いユニットはほかのユニットの倍ほどの距離を移動でき、石弓兵や術法兵など射程の長いユニットは移動距離以上の長射程をもつ。また、防御も白兵、射撃、魔法という3種類の耐性があり、弱点を突いた攻撃や、耐性のあるユニットで強いユニットの進行を阻止するといった戦術が勝利の鍵となるだろう。

 さらに、一部の英雄ユニットは範囲攻撃ができる“砲撃魔法”を使用可能。これはMPを消費するだけでなく、魔法ごとに決められたターン数だけその場で動かずに力を溜める“チャージ”という行動が必要で、“チャージ”は移動すると無効となってしまう。敵の行動を見越して効果的に使おう。

移動距離が長いユニットはとことん長い。奇襲戦法に有効だ移動距離が長いユニットはとことん長い。奇襲戦法に有効だ

広範囲を攻撃できる“砲撃魔法”は大軍を相手にする場合は必須の手段広範囲を攻撃できる“砲撃魔法”は大軍を相手にする場合は必須の手段

力押しは通用しない! 戦術を練って多彩なステージを攻略しよう

主人公の髑髏面は役立つ能力を多数もつ主力ユニット主人公の髑髏面は役立つ能力を多数もつ主力ユニット

兵士ユニットの編成は前衛・後衛の相性を考えて行おう兵士ユニットの編成は前衛・後衛の相性を考えて行おう

 本作は全20ステージで、ステージ3までは自軍の編成がなく、強制出撃ユニットのみで戦うことになる。最初は難易度も低めなので、ある程度ユニットの性能を把握しつつ戦ってみよう。主人公のマルバスは強制出撃も多く、HPを回復する魔法や砲撃魔法を使えるので、主力として戦術を組み立てるといい。その場合、魔道師はHPと防御力が低いので、ほかの英雄ユニットや兵士ユニットで防衛ラインを組み、安全確保することが重要となる。これは射程の長い攻撃をもつユニットを運用する際の基本となるので覚えておこう。

 また、白兵戦を得意とするユニットだけで力押しする戦い方は、序盤からすでに通用しない。本作においてユニットは消耗品であり、倒されると敗北となるユニット以外は生き残らせる必要はないのだが、敵の増援がエンドレスで出現するステージも多く、戦力温存は必須だ。

 しかも、ユニット同士の戦闘前に、どれだけダメージを与えられ、どれだけダメージを受けるかは大まかにしか把握できない。よほどユニットの戦力差がない限り、確実に敵を倒せるか判別がつかないのだ。ゆえに戦闘は可能な限り手堅く、反撃を受けない射撃や魔法などの間接攻撃でダメージを与えていく戦い方がお勧めだ。

 間接攻撃にはユニットや森などを飛び越えて攻撃できる弓や魔法と、それらを越えることができない石弓など直線的なものの2種類がある。直線的なものは射程が長いが地形によっては運用が難しいので、出撃前にマップを確認して相性を見極めよう。

 また、敵ユニットの進行を阻止する壁役はHPと防御力の高いユニットが適任だが、それでも兵士ユニットの場合、敵の英雄ユニットにはほぼ一撃で倒されてしまう。兵士ユニットは1人から4人までの範囲で自由に分離・集合できるので、1人ずつバラして壁として並べるのも有効だ。

黄色の範囲が敵の視界。視界を逃れて隠密行動をするステージもある黄色の範囲が敵の視界。視界を逃れて隠密行動をするステージもある

 本作はステージ構成がユニークで、通常の戦闘のほかにも、敵の視界に入らないように隠密行動をする“潜伏ステージ”や、自軍の敵となる陣営のユニットで戦うステージなどもある。レベルアップさせるユニットを任意に選べるため、さまざまな編成を楽しむことも可能だ。戦闘結果が正確に計算できないのでシミュレーションRPGに慣れた人は感覚の違いを感じるかもしれないが、戦術シミュレーションでは結果の読めない部分を戦術でねじ伏せていくのが醍醐味でもある。そのあたりの違いを意識しながらプレイしてみてはいかがだろうか。

【著作権者】
京大マイコンクラブ ProjectKeiチーム
【対応OS】
Windows 2000/XP
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.01(09/02/14)
【ファイルサイズ】
67.6 MB

(藤井 宏幸)