【第398回】
アクションシューティングゲーム「Erst Kerf」体験版
FPS、シューティング、RPGの要素をあわせもつユニークなアクションゲーム
(09/12/18)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、見下ろし型画面ながらFPSの操作方法を取り入れたアクションシューティングゲーム「Erst Kerf」の体験版を紹介しよう。
PCのアクションにはFPS操作が最適なのでは!?と思わせる操作性が特徴
「Erst Kerf」は、独特の操作性が特徴のステージクリア型アクションシューティングゲーム。現在は3面までプレイできる体験版が公開されており、完成版は今月末に開催される同人誌即売会“コミックマーケット77”で頒布予定となっている。頒布内容の詳細は、作者のWebサイトで確認してほしい。
序盤のストーリーは、遺跡考古学を専攻する王立中央大学の院生で主人公となる少女“リズ”が、遺跡調査に出たまま連絡がつかなくなってしまった“オースマン教授”と同級生の“ラーハ”を探すために遺跡の探索を開始するというもの。
ステージは3Dで描かれているが、画面構成は斜め上から見下ろした2D型とアクションRPG風だ。フィールド上にいる敵を倒しながら全方向へ自由に動き回り、仕掛けが散りばめられた遺跡を探索していくゲーム展開もアクションRPGに近い。しかし戦闘は基本的に飛び道具だけとシューティング風で、さらに操作はキーで移動しマウスで射撃するFPS風となっている。バラバラのジャンルが混ざっているのだが、そのどれもがうまく融合しているのが一番の見どころ。ストーリーもしっかり作られており、少しずつ明らかになっていく遺跡の秘密も興味深い。
基本的な操作方法は、[W][A][S][D]キーをカーソルキーに見立てて前後左右へ移動(カーソルキー自体も利用可能)、マウスで照準、マウスの左右クリックで魔法による攻撃、スペースキーまたはマウスのホイールクリックで装備画面の表示となっている。重要なのは画面右に表示されるステータスで、魔法で攻撃するためには集中力を示す“Force”と魔法力を示す“Magic”のどちらか、または両方を消費する。どちらも時間経過で回復するが、ゼロの状態では魔法が使えなくなってしまうのだ。
装備できる魔法は最初から5種類あり、マウスの左右クリックそれぞれに好きなものを割り当てられる。Magicの消費がゼロ、Forceもほとんど消費しないため連射できる“Line”、MagicもForceもそこそこ消費するが敵弾を防げるバリアを展開する“Guard”のほか、追尾弾や近接戦闘用の魔法なども用意されている。
隠れて進むかひたすら戦うか選べるのが楽しい
リズは全方向にスクロールするフィールド上を自由に動き回れるが、ステージの目標地点は画面右上に表示されるコンパスで示されており、目標地点に到達するとボス戦という流れだ。敵弾に当たると画面右側に表示される“Shield”が減り、Shieldがゼロの状態でさらに被弾すると“Life”が減る。Lifeがゼロになると残機を1つ失い、残機をすべて失うとゲームオーバーだ。被弾してもいきなりLifeは減らないのがポイントで、Shieldは時間経過で回復するため、敵の攻撃にさらされてもある程度はしのぐことができる。
敵と敵弾は画面右のレーダーに表示されるので、画面外の敵も認識が可能だ。操作方法はFPSと同じであるため、弧を描くように動いて、敵弾を避けながら側面や背後に回り込むテクニックが使えるのも面白い。
ステージ攻略におけるポイントは、ひたすら戦闘するのか、隠れて進むのか選ぶこと。敵はリズを発見すると攻撃を仕掛け、さらに仲間を呼び集めるため、挟みうちになることも多い。弾幕系シューティングのような弾避けが楽しめるものの、ゲームオーバーになるリスクも高くなる。一方で、ステージは遺跡であるため隠れる場所が多く、敵になるべく見つからずにステージの最後まで到達することも可能だ。クリアだけを目指すなら隠れながら進むのがベターだが、一度発見されてしまうと、これまで逃してきた敵も含め対処しきれない数の敵が押し寄せてくるというリスクもあるのが難しいところ。
装備する魔法の使い分けもポイント。筆者のオススメは、1つはForceとMagicをほとんど消費せずに使えるLineで決まりとして、問題はもう1つ。隠れながら進むのであれば、威力は弱いが壁の後ろからでも敵に攻撃を飛ばせる追尾弾の“Oct”が有効で、攻撃重視ならば正面に威力の高い魔法を飛ばす“Spear”が便利。なお、体験版でもステージクリアによって魔法が増え、増えた魔法は次回以降のプレイ時も利用可能。自分のプレイスタイルにぴったりの魔法を探すのもまた楽しいところだ。
本作は、さまざまなゲームジャンルの要素を取り入れ、それをうまく料理しているというのが一番の印象だ。遺跡を探る楽しさ、シューティングゲームのスリリングさに加え、装備する魔法を変えられるというRPG的な要素もある。これらのジャンルが好きな人はもちろん、普通のアクションゲームやシューティングゲームでは満足できないという人も、プレイしてみれば意外な楽しさを感じられるハズだ。
- 【著作権者】
- ホワイト・シルエット、ssi 氏
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista
- 【ソフト種別】
- 体験版
- 【バージョン】
- -(09/12/10)
- 【ファイルサイズ】
- 19MB