週末ゲーム
第437回
超ボリュームの探索RPG「らんだむダンジョン」
アイテムとイベントの嵐! 100時間以上も遊べるRPGがここにある
2010年12月24日 11:34
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、膨大なアイテムとイベントの数でプレイヤーを圧倒的に惹きつける探索RPG「らんだむダンジョン」を紹介しよう。
宝箱を開けるのが楽しくて深みにはまっていく
「らんだむダンジョン」は、2Dトップビュー画面のフィールド探索型RPG。敵を撃破しながらひたすらダンジョンを潜っていくという実にシンプルな内容ながら、1,000を超えるアイテム、100以上ものイベント、キャラクターの習得するスキルやアイテムがもつ特殊効果が生み出す高度な戦術、ダンジョン内での出会いや別れ、どんどんと発展していく村などなど、とにかく恐ろしいまでの要素が詰め込まれ、プレイヤーを惹きつけて離さない。プレイすればするほど味が出るRPGとなっている。
舞台となるのは、ダンジョンに隣接して建てられた小さな村。魔王が猛威を振るっていたころは冒険者が数多く集まり活気があったものの、その脅威がなくなってからはほとんどの店が閉まるほど人が減っている。そこで、ファイターで主人公の“アナンタ”、プリーストの“シズナ”、トリックスターの“ベネット”という女3人組は村を活性化すべく、ダンジョンの探索をスタートする……というのがゲーム開始時の状態だ。もっとも、こういった背景の説明はそこそこで、いきなりダンジョンに放り込まれるように冒険は始まる。
“らんだむ”という名前から、ダンジョンの構造が自動で生成されるローグ系のゲームと思わせるが、このゲームは少々異なる。ダンジョンのマップ構造自体はいくつかのパターンで固定されており、ランダムなのはどのパターンが登場するのかと、宝箱の配置(これも一定のパターンはある)およびその中身だ。たとえば、地下1階から9階までは5種類のマップが登場。それぞれの階に到達したとき、5種類のうちどのダンジョンが登場し、どんな宝箱が配置されているかはランダムというわけだ。なお、ボスが登場する階層については、構造も宝箱の配置も固定されている。
このゲーム序盤の特筆すべき点は、テンポのよさだ。とにかく宝箱がたくさんあるので、どんどんアイテムや武器、防具が増えていき、それを試せる楽しさがある。敵との遭遇は、ダンジョン内を歩き回る敵に触れると戦闘画面に切り替わるシンボルエンカウント方式を採用。敵は主人公を見つけると近づいてくるものの、見つからずに進むのはカンタンだ。ひたすら宝箱を開く作業に没頭できる。とはいえ、ボスを倒すには敵を倒してレベルを上げる必要があるのはもちろん、レベルを上げないと宝箱からレアなアイテムがなかなか登場しない。自然にレベルアップしたくなるうまいシステムだ。
また、特定アイテムを入手したり特定レベルへ到達したあとで、村の宿屋に泊まるとショートコントのようなイベントが発生し、主人公たちの性格や関係が少しずつ見えてくるのが面白い。ゲーム開始時にいきなり多くの情報を与えられるのではなく、少しずつゲームの全体像が見えてくるため、さまざまな要素を楽しみながら、無理なくテンポよく進めていける。
戦闘はコマンド選択型で、行動の順番はステータスのひとつである俊敏性で決まる仕組みだ。コンピューターにコマンド選択を任せるオートバトルもあるので、余裕で勝てそうな敵なら自動化して戦闘時間を短縮できる。[Q]キーを押せば、さらに戦闘のスピードアップが可能だ。
また、戦闘を負けたことによるペナルティがないのもポイントだ。万が一全滅してもダンジョンの入り口に戻されるだけで、お金が減ったりアイテムを失うといったペナルティは一切なし。体力は“1”まで減っているので宿屋などで回復は必要だが、すぐに冒険を再開できる。さらに、ダンジョンに登場する敵は主人公たちのレベルに合わせて変化する。そのため、レベルアップのための経験値稼ぎはどの階層にいても苦労しないのも、テンポのよさにつながっている。
神は細部に宿る! アイテム解説文の凝り方はハンパではない
このゲームの面白さは多岐にわたるが、筆者としてイチオシしたいのがアイテムとその解説文だ。1,000種類以上存在するアイテムのほとんどにはいわゆる“元ネタ”があり、解説文にはそれをにおわせるような説明が情緒豊かに書かれている。元ネタは神話からアニメ、ゲーム、小説、SF、果てはネットのスラングまで多種多様で、それぞれの説明も面白いものばかり。もちろん真面目に設定や性能を説明しているものもあるが、“バールのようなもの”など、アイテム名からしてネタっぽいものは、説明文もノリツッコミのような内容。ちょっとした文章で面白がらせるのは、なかなかできるものではないが、このゲームの作者は1,000以上もそれをやり遂げている。解説文みたさにアイテム集めをしたくなる人も多いハズだ。
また、装備することでオーバードライブ(以下、OD)技という特殊なスキルを繰り出せるアイテムがあるのもゲームを盛り上げる。OD技には、斬撃や打撃など武器の系統によって使える汎用技と、特定アイテムを装備すると使える固有技がある。基本的にどれも強烈な攻撃力や効果のあるモノばかり。これもアイテム集めに熱が入るポイントだ。また、アイテムと関係なく利用できるキャラクター固有のOD技も用意されており、戦術の基本となるものが多い。
戦闘の奥深さも楽しさの1つ。本作には炎、冷、雷、水、風、地、暗黒、神聖、疫病、斬撃、打撃、投擲、格闘、刺突と実に多くの攻撃属性と暗闇、沈黙、混乱、睡眠、麻痺、スタンという状態異常があり、敵との戦いではこれらを考慮する必要がある。敵の炎耐性が高ければ炎による攻撃が効きにくく、逆にこちらが炎耐性を高める防具などを装備していれば、敵が炎を使った攻撃をしてきてもダメージは少ないといった具合だ。状態異常についても、各状態への耐性を高めるアクセサリや、敵を各状態に追い込む効果のあるスキル・武器などが存在している。
ザコ戦では、それほど攻撃属性や状態異常を考える必要はないが、大切なのはボス戦だ。たとえば徹底して斬撃ばかりしてくるボスならば、斬撃耐性のある防具をしっかりと準備して挑むなど、戦略が勝敗を分ける。ボス戦では逃げられないので、一度は全滅を覚悟して、どのような攻撃をしてくるのか試すつもりで挑むのがいいだろう。
さらに、ゲーム進行のため撃破が必須なボス以外にも、難敵は数多く登場する。特定のマップには倒すと大金をもらえる賞金首がいるほか、通常の敵に混ざってレアモンスターが出現することも。これら強力な敵は、多くの経験値を稼げるのに加え、レアなアイテムを入手できるチャンス。ちなみに、賞金首は倒せる目安となるレベルが示されており、そのレベル以下で倒すとボーナスで経験値やアイテムがもらえるという仕組みだ。腕に自信があるならどんどん挑戦していきたい。
主人公たちの役割がしっかり決まっているのもポイントだ。アナンタは物理攻撃と高い防御力が特徴で、自分に敵の攻撃を集中させるスキルにより壁役もこなす攻防の要。シズナは回復だけでなく攻撃魔法も得意とする魔法のエキスパートだ。ベネットは敵の攻撃力を下げたりザコ敵を一撃で倒せたりと特殊なスキルを数多くもち、サポートから攻撃役まで幅広く活躍できる。
豊富なイベントも見どころ。主人公たちのボケとツッコミの応酬をはじめ、ダンジョンで出会った冒険者たちとのイベントもあり、冒険者として一皮むけるために奮闘する男、自らの宿命を知ることになるツンデレ娘など、笑いもあればほろりと泣けるような話まで実に幅広い。村の住人にもイベントが用意されており、だんだんと村全体の個性がにじみ出てくるのも楽しいところ。アイテムの解説文と同じく、作者のセンスが光る。宝箱を開ける楽しみ、解説文を読む楽しみ、ボスを倒す楽しみ、それによって起こるイベントを待つ楽しみと、本当に驚くほど多彩な面白さが詰まっている。
このほかにも、宝くじを引いたり、作物を育てたり、複数のアイテムを合成して別のアイテムを作成するなど、紹介しきれない要素はまだまだある。ダンジョンのボリュームもたっぷりで、メインのダンジョンだけでも地下数十階あり、クリアまでは20~30時間はかかる。しかも、その後にも“裏ダンジョン”が控えており、アイテムのコンプリートまで目指すとすれば、100時間以上はタップリと遊べるだろう。初公開は昨年だが今でも継続的にバージョンアップされており、すでに多くのファンをもつ本作。まだプレイしたことのない方は、ぜひとも年末年始の休みを使ってどっぷりと漬かっていただきたい。とにかく面白いと素直にオススメできる、完成度の高いゲームだ。
ソフトウェア情報
- 【著作権者】
- はむすた 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows XP/Vistaで動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.41e(10/12/19)
- 【ファイルサイズ】
- 本体241MB、最新版パッチ77.2MB