【第436回】
高速進行型フリーシナリオRPG「魔界王伝」
テンポのよいスピーディな進行を楽しもう
(10/12/17)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、選び抜いた良作を毎週紹介していく。今回は、戦闘から移動まで、あらゆるものがハイスピードで進むRPG「魔界王伝」を紹介しよう。
ハイスピードに進行するRPG
「魔界王伝」は魔人、魔族、魔導機兵、悪魔といった人ならざる6人の主人公から1人を選び、魔界を舞台に冒険を繰り広げるRPG。画面構成は2Dトップビューのフィールド探索型で戦闘はコマンド選択型と、基本システム自体はオーソドックスな作りとなっている。プレイヤーは、自分以外の主人公格5人やそのほか18人の登場人物達と出会い、最大4人のパーティを組みながら、魔神復活を巡る戦いの1ページに名を連ねることになる。
ゲームの進行はプレイヤーが酒場の依頼を受ける形式で、自由な進め方が可能。一応、物語の根幹となる“本部依頼”というイベントはあるものの、どこへ行き、何をするかは自由。酒場で依頼を受けて物語を進める以外にも各地にあるダンジョンを発見して探索してもいいし、ひたすら賞金首を狙って戦い続けてもいい。多数あるレアアイテムを集めたり、珍しい登場人物を仲間にすることを追求するのも冒険のひとつの形だと言えるだろう。
自由度もさることながら、本作の最大の特徴は“何もかもが速い”ということだ。たとえば戦闘では、1ターンごとの処理が恐ろしく速い。コマンド決定の[Z]キーを押し続けるとおよそ3秒で1ターンの攻防が終了し、2ターン目の入力が始まるほどだ。もちろんじっくり考えて行動決定することも可能だが、フィールド上のモンスターとの戦闘はほとんどこの高速戦闘で片付いてしまう。
速いのはそれだけではなく、レベルアップも速い。序盤はほぼ1戦するたびにレベルが上がり、ガンガン強くなっていく。さらに、移動速度も[Z]キーを押しながら移動すると高速化され、アクションゲームもビックリの速さに。また、敵との戦闘はフィールド上を動き回るモンスターのシンボルと接触すると始まるのだが、“逃げる”は固定のボス戦以外は必ず成功し、その上モンスターシンボルは消えるという、めんどくさければ逃げまくって進むこともできる仕様となっている。
だが、何より驚きなのはクリアまでの速さだ。とくに意識せずにプレイした筆者のクリアタイムは4時間弱! にもかかわらずパーティメンバーのレベルは80台と、何かの間違いのようなスピードでゲームが進行したのである。もちろん、これは本作が“短い”のではなく、“速い”から4時間でクリアできてしまったのだと言える。仲間にできるキャラクターやアイテムの種類、マップの広さ、ダンジョンの数などは普通のRPGよりむしろ多いほどだ。これほどRPG慣れした人間にとって快適なゲームはそうそうお目にかかれない。
主人公を変えて繰り返しプレイし、さまざまなパーティ編成を楽しもう
本作の面白いところは、総勢24人もいるパーティメンバー候補によるパーティ編成だ。主役となる6人をはじめ、どのキャラクターも能力、習得スキルが極端で組み合わせにより戦い方が大きく変わってくる。物理、魔法ともに攻撃特化の魔人ジウノンテ、物理攻撃、物理防御に特化され、敏捷性が極端に低い魔導機兵ヤミンシー、魔法特化の霊体シュルツ、数少ない回復魔法の使い手である水棲魔族エミノスなど、どのキャラも得意分野は滅法強く、ほかはさっぱり、という感じだ。
また、RPGでは常識とも言えるアイテムの使用が、1つしかない装備品の“袋”を装備した者しか使えないため、メンバー各自が回復アイテムで回復、といったことができない。アイテム担当も1人に絞ってパーティ構成を考えなければならないのだ。レベル上げが必要ないほどガンガンレベルが上がるのでそうそう全滅することはないのだが、ボス戦などきっちり戦うべき場面ではパーティの強さが問われるし、低レベルクリアや最速クリアを目指す場合は重要な要素になるだろう。
ストーリーについては、主人公6人それぞれをクリアしていくことで断片が組み合わさって全体像が見えてくる形式となっている。短時間でクリアできるため、複数のキャラクターでクリアすることにより魔神復活の物語をさまざまな視点から体験する、というのが本作の正しい楽しみ方だろう。繰り返しプレイでも、その都度パーティメンバーを変えたり、探索する場所を変えたりすることで新鮮味を落とさずに遊べる。ここに自由度が活きてくると言えるだろう。
まずは10分でいいからプレイして、この圧倒的なテンポのよさを体験してみてほしい。こんなに上がっちゃっていいの? というレベルアップのペース、次々と習得していく技や術、自由度の高さ。どれをとっても市販のゲームではちょっと考えられないスピード感で、気付けばあっという間にクリアまでたどり着いているはず。もちろん、初プレイで行ける場所をくまなく巡り、時間をかけて遊ぶことも可能だ。本作をプレイすれば、自分がどちらのスタイルが好みなのかよくわかるかも?
- 【著作権者】
- NERAD
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows XPで動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.04(09/09/09)
- 【ファイルサイズ】
- 26.6MB