週末ゲーム
第524回
丸いキャラ同士のワイヤーアクション「Teeworlds」
可愛らしい見た目とは裏腹な本格的オンライン対戦ゲーム
(2013/5/31 10:45)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、ワイヤーアクションが特徴のオンライン対戦ゲーム「Teeworlds」をご紹介する。
スピード感あふれるワイヤーアクション
「Teeworlds」は、Teeという丸いキャラクターを操って戦うサイドビューのアクションゲーム。オンライン対戦専用のゲームとなっており、現在のバージョン(0.6.2)ではクライアント・サーバーとも無料で公開されている。
Teeは左右の移動とジャンプが可能。ジャンプ後の空中でもさらに1回ジャンプができる。標準設定では[A][D]キーで左右移動、スペースキーでジャンプ。武器はマウスの左クリックで使用でき、攻撃する方向はマウスカーソルのある方向となる。つまり移動と攻撃方向が独立した操作になっている。
ここまでは普通のアクションという感じだが、本作の特徴は、右クリックでワイヤーを射出して移動できること。天井や壁にワイヤーを打ち込み、その場所へ自分をぐっと引き上げられる。ジャンプでは届かない高い場所に移動できるほか、ワイヤーを出したままにして天井に貼りついたり、ほぼ横方向に射出することで勢いをつけて移動するのに使ったりもできる。
さらに、ほかのプレイヤーにワイヤーを打ち込むと、そのプレイヤーを自分の近くに引っ張り込める。ワイヤーを使って重力に反した動きをしつつ、必要とあらば敵を引っ張って逃がさないようにして倒す、といったアクションが可能になっている。
このワイヤーを使ったアクションのおかげで、動きは不規則かつ高速になる。操作方法そのものはシンプルだが、移動はキーボード、攻撃方向はマウスという操作は最初は難しいと感じるかもしれない。慣れてくると高いところにもピョンピョンと自由に動けるようになってくるし、上級者は目にも止まらないスピードで移動しながら攻撃してくる。Teeの可愛らしさとは裏腹に、かなりスピード感のあるゲームになっている。
拾える武器の使いこなしがポイント
武器はピストルとハンマーを標準装備。ピストルは10発装填されており、離れた敵を攻撃できる。弾は時間経過で自動的に補充されるが、短時間に撃ち過ぎると弾切れを起こす。ハンマーは近くの敵を攻撃するためのもので、攻撃回数に制限はない。
それ以外の武器は、フィールド上に落ちているものを取ることで使用できる。いずれも強力だが、ピストルのように弾は自動的に補充されないので、使い切りになる。再度同じ武器を拾えば弾は最大まで再装填される。拾える武器の種類はマップごとに異なる。
ショットガンは前方に拡散する弾を発射する武器。ピストルより命中範囲が広いので、至近距離での撃ちあいに強い。ただし射程が短めなので、離れすぎないよう距離を保ちながら戦いたい。
ロケットランチャーは、着弾した場所で爆発する弾を撃てる。直接命中させてもいいし、着弾点から近い相手にもダメージが入る。射出後は山なりの軌道を描くので、うまくやれば段差を超えた先にいる敵を一方的に狙える。ただし着弾時の爆発は自分もダメージを受けるので、無闇に撃つのは危険な武器でもある。
レーザーは、撃った瞬間に一直線の攻撃を仕掛けられる武器。ほかの射撃武器は発射後の挙動が見える(と言っても見てから避けるのは至難の業)のだが、レーザーは一瞬で遠距離まで到達するので、遠距離でも敵を狙いやすい。
カタナは攻撃した方向にTeeが高速移動し、その途中にいる敵を一刀両断する武器。慣性を無視した移動と攻撃が一体になっており非常に強力だが、制限時間がある。取るとTeeの見た目が変わるので、誰かが取ったら効果が切れるまではなるべく近寄らないのが得策だ。しかし無敵になるわけではないので、カタナを取ったからといって調子に乗りすぎないこと。
武器はマウスホイールか数字キーで切り替えられる。弾切れに注意しつつ、状況に合った武器をすばやく選ぶことも求められる。
なおフィールドには武器のほか、体力を回復させるハートと、ダメージを吸収するシールドも落ちている。敵をうまく狙える腕前も必要だが、危なくなったら逃げて回復、余裕があればシールドを拾い、他人に取られる前に武器を拾う……といった戦術も重要になる。
3種類のゲームモードを用意
ゲームルールは3種類。DM(デスマッチ)、TDM(チームデスマッチ)、CTF(キャッチザフラッグ)。ルールはサーバー側で設定されるので、好みのルールのゲームサーバーを探して参加する。
DMは自分以外がすべて敵となり、倒した数を競うシンプルなゲームモード。初心者も気軽に参加できるので、最初はこれでゲームに慣れていくのがオススメ。ただし多数のプレイヤーが入り乱れて戦うので、状況を把握するのは一番難しいかもしれない。
TDMはプレイヤーが2チームに分かれて倒した数を競うもの。DMとは違い、プレイヤーの半数は味方になるので、まとまって動いたり、味方を支援したりと戦略が重要になる。ゲームモードとしてはあまり人気がないが、初心者にも遊びやすいルールなので、プレイしている人を見つけたら入ってみてほしい。
CTFもチーム戦だがちょっと特殊で、敵陣にある旗を自陣に持ち帰ることで高得点となるルール。相手の旗を持ってこなければ勝てないが、自陣の旗を取られたら負けてしまうので、攻めと守りの戦術やバランスが求められる。DMに次ぐ人気があるが、ルールが複雑なだけあって、上級者が多い印象だ。
ゲームの始め方
公式サイトからダウンロードしたプログラムは日本語に対応していない。とはいえゲーム自体がシンプルだし、ゲームプレイに英語力は不要なのでご心配なく。
ゲームを起動すると、インターネット上にあるゲームサーバーがリストアップされる。参加者数やルールもここで確認できる。誰も参加していないサーバーも多いので、参加人数で並び替えて、参加者はいるがまだ空きがあるサーバーを探すのがいい。より快適にプレイしたいなら、なるべくPing値の低いサーバーを選ぶといいだろう。筆者の感触では、Pingが200未満のサーバーなら概ね違和感なくプレイできる。
入りたいサーバーがあったら、リストをダブルクリックすれば参加できる。ゲームには、人数に空きがあればいつでも途中参加できる。
1人用のゲームモードは用意されていないが、無人のサーバーに接続すれば、操作の練習はできる。あるいはサーバーを立てるためのプログラム「teeworlds_srv.exe」が同梱されているので、これを起動し、サーバーをlocalhost(自分のPCのこと)と指定してプレイすれば、誰もいない環境で操作を練習できる。
ゲームのルールはサーバー側で設定できる。自分の遊びたいルールを指定したいとか、日本国内の友達と遊びたいということなら、先述のサーバープログラムを自分で動かすといい。設定方法は公式サイトに英語でのガイドがあるほか、日本語でガイドを書いているWebサイトもある。
MODでさらに世界が広がる、本格的な対戦アクション
本作にはマップエディターが内蔵されており、オリジナルのマップを作成できる。オリジナルマップを使っているサーバーを選ぶと、そのマップが自動的にダウンロードされるので、プレイヤーは特に意識する必要はない。
またMODと呼ばれる、ほかのユーザーが制作した拡張データもある。これを導入することで、先述のルールとは違うゲームもプレイできる。こちらは事前にプログラムをダウンロードする必要があるが、敵を倒すのではなく、いち早くゴールを目指すレース形式のものなど、ほぼ別のゲームになっているものもある。基本の3ルールに慣れてきたら手を出してみるのもいいだろう。
本作は見た目からカジュアルな印象を受けるが、ゲーム自体はスピード感があり、ビジュアルからは想像できない激しいアクションになっている。オンラインゲームに詳しい人なら気づいたと思うが、ゲームシステムは3DのFPSをベースにしており、ゲームの手触りも、動きながらシビアな照準を求められるFPSをプレイしている時のものに近い。上級者と当たると手も足も出なかったりするのも“それっぽい”感じがする。
最初は対戦でもなかなか思うように敵を倒せないはずだが、そこはもう対戦ゲームの宿命として頑張るしかない。ただ本作の場合は倒されても瞬時に復活できるし、トリガーハッピー状態でバンバン撃っているだけでも結構楽しいゲームなので、ストレスはほとんどない。今はそれなりに動けるようになった筆者も『あれこれ研究した』というより『遊んでいるうちに慣れた』という感覚だ。
また、多くの方の心配事はゲーム内容ではなく、プレイヤーが世界中から集まってきていることだろう。とはいえ本作はチャットが必要なゲームではなく、ルールに則って戦えばばいいだけなので、国籍を気にせず気軽に遊んでいただきたい。Pingさえ低ければ幸せにプレイできる、と断言できる。
楽しく遊べたら、終了後に『GG(Good Gameの略)』と一言書けば国際交流もばっちり。相手がロシア語で喋っていたりすることもあるが、通じるはずなので気にせずどうぞ。
ソフトウェア情報
- 「Teeworlds」
- 【著作権者】
- Magnus Auvinen 氏
- 【対応OS】
- Windowsなど(編集部にてWindows 8で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(寄付歓迎)
- 【バージョン】
- 0.6.2(13/05/01)