週末ゲーム

第534回

豪華声優陣が参加する3Dアクション「マジカルバトルフェスタ・魔法少女☆星咲いおん」

可愛いキャラ達が駆け引き重視のド派手な対戦型バトルを展開

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、魔法少女が主役の3Dアクションゲーム「マジカルバトルフェスタ・魔法少女☆星咲いおん」をご紹介する。

 なお、本作は同人ゲームとして頒布されており、執筆時現在は委託販売店や通販などで購入可能。公式サイトでは体験版も公開されている。

魔法少女達が競技会で本気のバトル!

主人公の星咲いおん。魔法少女以外の何者でもないストレートなキャラクターだ

 「マジカルバトルフェスタ・魔法少女☆星咲いおん」は、13歳の魔法術士“星咲いおん”を主人公とした3Dアクションゲーム。魔法少女というイメージ通り、イラストは可愛らしく描かれており、ゲーム内のビジュアルもややデフォルメされた印象の3Dモデルになっている。他の登場人物もアニメ調の可愛い見た目で、パステルカラーが目立つ明るいテイストにまとめられている。

 そんなビジュアルとは裏腹に、ゲームの中身はかなりハードな対戦型アクション。いおんを始めとした登場キャラクター達は、一流魔導士である“神聖魔導士”を決めるための競技会“マジカルバトルフェスタ”に参加し、他の魔導士達と魔法バトルを繰り広げる……というのが本作の舞台設定だ。

 登場キャラクターはすべて魔導士ということになるが、純粋な魔法少女もいれば剣で戦う少女もいるし、音楽を操る美男子、馬鹿でかいハンマーを振り回すオッサンキャラまでいて、計12人のキャラクターは多彩で個性的。最初はストーリーを進めていくことになるが、一通りクリアすればどのキャラクターも使えるようになる。

12人の個性的なキャラクターが登場。ゲームを進めれば、すべてプレイヤーキャラクターとして操作できる

 魔導士達は自らが手にする武器で近接攻撃を行う他に、魔力を放射する遠距離攻撃も可能。さらに魔導士は“魔導機”と呼ばれる支援ユニットを使用でき、それに特定のフォーメーションを組ませることで、攻撃や防御のサポートとして使えるのが特徴だ。

 さらにはキャラクターや魔導機を一時的に強化する“オーバードライブ”と“チェインドライブ”、その状態から発動できる必殺技など、多彩なアクションが可能。派手なグラフィックスと合わせて、激しい戦いが繰り広げられる。

ゲームはスピード感のある3Dアクション。キャラクターの周りにいくつも浮いているものが“魔導機”だ

バリエーション豊かなアクションで駆け引きが熱い!

まずは通常攻撃のコンボから。アタックとフォースを組み合わせれば、これだけでも結構戦える

 本作の面白さは、多彩なアクションと、それによる3D空間での駆け引きにある。まず通常攻撃となるアタック(近接攻撃)とフォース(遠距離攻撃)には、連打しているだけで繋がるコンビネーションが用意されている。コンビネーションのパターンはキャラクターごとに異なるが、アタック数回からフォース数回へと連携するものが多い。またこの2つの攻撃は、ボタン長押しでチャージ攻撃に移行するので、これをコンビネーションの締めにできる。

 攻撃される側はガードが可能で、敵の攻撃を防いでから反撃するというのが基本だ。コンビネーションを食らってしまった場合は、吹き飛ばされて宙に浮いたタイミングでジャンプボタンを押すことで受け身(空中で姿勢を立て直せる)を取れる。本作では受け身を取らずに落下してダウンしても無敵にならず、さらに追撃を受けてしまう。相手の攻撃を避けられるタイミングで受け身を取るのが重要だ。

 逆に敵にガードされた時には、攻撃を止めてその場から高速移動するステップで距離を取ることもできる。この辺りが基本的な駆け引きで、ここまで覚えれば戦いの形になるだろう。ちなみに、主役のいおんは通常攻撃が弱めなので、少々扱いにくいことは覚えておいてほしい。

敵の攻撃を受け止めるガードと、敵に吹き飛ばされた時に体制を立て直す受け身。これを覚えると駆け引きのある戦いになる

 ここからは本作の特徴的な部分だ。魔導機を使ったフォーメーションは、キャラクターの能力を高めてくれたり、魔導機自体が敵に追加攻撃を行ったりしてくれる。フォーメーションにはいくつかの種類があり、好みのフォーメーションを3つまでセットして使い分けられる。ただしフォーメーションを使うとゲージを消費し、さらに魔導機自体を攻撃されるとこのゲージが減少してフォーメーションが崩されてしまう。発動する種類とタイミングを誤ると、フォーメーションが無駄になってしまうこともある。

 また、攻撃を当てたり、逆に食らったりすることで“オーバードライブゲージ”が溜まり、MAXになると全能力が上昇する“オーバードライブ”を発動できる。この状態では、大ダメージを与える大技“オーバーフォース”を使用可能だ。

 さらにフォーメーション発動時には“チェインゲージ”が溜まり、これがMAXになると“チェインドライブ”を発動できる。こちらは発動中にフォーメーション効果と魔導機の攻撃力が上昇する。

魔導機を使ったフォーメーションは、複数ある中から選択して使用する。発動中は魔導機の周りにラインが現れ、フォーメーションが視覚的にも表現される

 そして“オーバードライブ”と“チェインドライブ”を同時に発動させると、全能力が大幅に上昇する“アルティメットドライブ”になる。この状態では全身に激しいオーラのようなものが現れ、一部のキャラクターは外見まで変化。さらにこの状態に限り使用できる“アルティメットフォース”は、敵を拘束し、一方的に大ダメージを与える超必殺技となっている。

 他にも敵の攻撃を受ける瞬間にガードして、逆に相手にダメージを与える“ジャストガード”など、上級テクニックも用意されている。そして忘れてはならないのが、これらのアクションはほとんどがワンボタンで発動できることだ。複雑なコマンドは一切なく、技のチョイスと発動させるタイミングがすべてを決める、シンプルながら強い駆け引きのあるゲームになっている。

“アルティメットドライブ”状態では、“オーバーフォース”や“アルティメットフォース”などの大技を使える。当たれば一方的に大ダメージを与えることが可能

個性的な登場キャラクターに豪華声優陣を起用

人気声優が声を担当。ゲームをしっかり盛り上げてくれる

 本作について語る際には、豪華な声優陣についても触れておかねばならない。同人ゲームではあるが、多数の人気声優が声を当てている。声優陣を列挙すると、三上枝織さん、小林ゆうさん、原由実さん、佐藤聡美さん、本多真梨子さん、島﨑信長さん、井口裕香さん、間島淳司さん、伊藤静さん、前野智昭さん、岩崎征実さん、上坂すみれさん。アニメやゲームが好きな人なら、名前を知っている声優が何人もいるはずだ。

 キャラクターボイスは、バトル中のボイスに加えて、バトル前と後の会話シーンでも使われている。フルボイスにはなっていないが、決めゼリフなど重要な言葉はきちんと声が当てられている。陳腐な表現だが、声によってキャラクターに命が吹き込まれたという感触がある。

 本作のストーリーは、主人公のいおんだけでなく、すべてのキャラクターに用意されている。ステージ数(シナリオの長さ)はキャラクターごとに異なるし、1つ1つもそれほど長いものではないが、そのキャラクターの抱える背景もよく見える内容で、キャラクターやゲーム世界への愛着も沸くような丁寧な作りだ。

 ゲームモードはストーリーモードの他に、フリー対戦モードやオンライン対戦機能も搭載。バトル形式も1対1の対戦だけでなく、最大4人でのバトルロイヤルやチームバトルも可能となっている。

 最初は操作の種類が多く、見た目によらずハードな3Dアクションに手を焼くかもしれないが、基本的な操作さえ覚えれば、駆け引きの部分が存分に楽しめる。通常攻撃の攻防もあれば、“アルティメットフォース”を使われたら効果が切れるまでひたすら逃げるといった展開もあり、ただのじゃんけん的な三すくみや反射神経勝負ではない戦術的な楽しみもある。

 3Dフィールドを駆け回るスピード感があり、多彩な技は攻防のメリハリがあり、フォーメーション選びなどのカスタマイズ性もありで、全体としての完成度に隙が無い。アクションゲームファンならば、シングルプレイ・対戦とも十分満足できる内容だ。

デモシーンはフルボイスではないが、各キャラクターの個性がよく表現されていて、なかなか楽しい内容になっている

ソフトウェア情報

「マジカルバトルフェスタ・魔法少女☆星咲いおん」
【著作権者】
飛翔システム
【対応OS】
Windows XP/Vista/7(編集部にてWindows 8で動作確認)
【ソフト種別】
パッケージ販売 2,940円(税込み)など(体験版あり)
【バージョン】
1.02(13/08/30)

(石田 賀津男)