週末ゲーム

第533回

剣豪少女が魔物を払う3D剣戟アクション「巫剣神威控」

見かけによらず歯ごたえ満点。高速の斬り合い・見切りが熱い!

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームのなかから、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、少女が主人公の剣戟アクション「巫剣神威控(みつるぎかむいひかえ)」をご紹介する。

納刀すると敵が倒れる!可憐な少女剣士の3Dアクション

主人公の壬佐。見た目によらず剣の達人だ
魔剣を奪った鈴華。こちらも壬佐と同年代の少女

 「巫剣神威控」は、魔を払う力をもつ“巫剣”の少女、壬佐(みさ)が戦う3D剣戟アクションゲーム。かつて同門だった鈴華(すずか)が魔剣を奪って行方をくらましたため、壬佐は彼女と魔剣を追っているというストーリーになっている。ブレザーを着崩した、いかにも女子高校生といった身なりの壬佐が、華麗で激しい剣戟を繰り広げていく作品だ。なお、本作は同人ゲームとして頒布されており、執筆時現在は委託販売店などで購入可能。公式サイトでは、ステージ1まで収録した体験版も公開されている。

 ゲームでは壬佐と鈴香がいきなり戦うのではなく、まずは魔剣に吸い寄せられた異形の魔物達と戦うという形でステージが進んでいく。ゲームのフィールドは円形になっており、その外には出られない。フィールドの内部に雑魚敵が沸き出すように出現し、倒していくと次の敵が現れる。一定数の雑魚を片づけるとボスが登場し、それを倒せばステージクリア。別フィールドへの移動やアイテム収集の必要はなく、バトルに集中したデザインになっている。

 攻撃は刀と足技が基本になる。刀の攻撃は範囲が広く強力だ。目の前の敵を斬りつける攻撃だけでなく、地面を這うように移動しながら横薙ぎにしたり、力を溜めてから強烈な一撃を繰り出したり、敵の攻撃をいなしつつ大ダメージを与えたりと多彩な技をもっている。

敵は円形のフィールドに沸き出てくる
刀を使った攻撃はかなり派手で爽快。雑魚はまとめて斬り倒せる

 ただ、刀で敵を斬るごとに、画面上部にある刀ゲージが消耗していき、ゲージが0になると刀を使えなくなる。ゲージを回復する手段は2つあり、1つは足技を敵に当てること。足技は刀の攻撃に比べると範囲が狭く弱いが、当てるごとに刀ゲージが回復していく。

 もう1つは、刀を納めるアクションの“斬心”。敵は一定のダメージを受けると血を吹き出し、輪郭が赤く光る“出血状態”になる。この状態で斬心を行うと、出血状態の敵にダメージを与えられる。また斬心時は敵を攻撃した度合によって、刀ゲージと体力を回復できる。つまり、敵を斬って出血状態にした上で斬心を発動することで、刀の切れ味と体力を回復して、再び刀で斬りかかれるわけだ。

 斬心にせよ足技にせよ、刀ゲージの回復はかなり早いので、普通にプレイしている限りではあまり残量を気にすることはない。どんどん敵を斬り倒して、出血状態の敵を斬心で倒す。刀を納めると同時に敵が一斉に倒れるのは、なかなか爽快だ。

敵にある程度ダメージを与えると“出血状態”になる
刀を納める“斬心”で、出血状態の敵に大ダメージ

爽快な雑魚戦と、紙一重が続くボス戦

多彩な技とそれらの連携がスピード感と爽快感を生み出す

 バトルに注力したゲームだけあって、多彩なアクションが用意されている。先に書いた刀の攻撃は、通常の斬撃、移動しながらの薙ぎ払い、居合い切り、空中での斬撃の4種類がある。さらに足技は、前方の敵を連続で蹴るものと、敵を打ち上げるサマーソルト、空中から急降下する蹴り、敵のガードを崩す足払いの4種類。これに加えて、溜めてから繰り出す強力な技が2種類と、カウンター攻撃が2種類、そして斬心がある。またガードと回避、ダッシュもある。

 すべての攻撃を使いこなせなければクリアできないというわけではないが、斬撃と足技の使い分け程度は求められる。本作では斬撃を放った後に若干の隙(硬直時間)があるのだが、斬撃に続いて足技を使うことで、この隙を消して連続攻撃ができる。足技の途中で斬撃に切り替えることも可能なので、交互に使えばずっと敵を攻撃し続けられる(背後から殴られたりはするので油断大敵だが)。

 慣れてくれば、いろんな攻撃を連携して使えるようになる。薙ぎ払いで接近してから通常斬撃、そこからサマーソルトで敵を浮かせて空中での斬撃、さらに急降下の蹴りで追撃……といったコンボもを出すのも意外と簡単だ。とにかく違う技を出してやることで隙がなくなる、ということを頭に入れておけば、華麗な連続技を簡単に繰り出せるようになるだろう。ちなみにガードやカウンターも隙を消すのに使えるので、敵の攻撃にも対処できる。

 雑魚に対しては、広範囲の攻撃を連携させてバッサバッサと切り倒していくのが爽快だ。ただステージの最後に登場するボス戦ではそうはいかない。1発のダメージが大きい上に、範囲が広い攻撃も多い。真正面から斬り合っても絶対に勝てないので、敵の動きをよく見てパターンを覚えた上で、ギリギリのタイミングで回避し、その隙を突いて攻撃するのが基本だ。

 攻撃は敵も味方もかなりスピーディーなので、アクションが苦手な人は相当苦労するかもしれない。とくにボスは雑魚とは異次元の強さで、最初は全く歯が立たず、途方に暮れてしまう。しかしそれだけに、リトライを繰り返して動きを見切り、一瞬の動きに反応してカウンターを決められるようになれば、爽快感は抜群。剣戟アクションの醍醐味を存分に味わえる。

雑魚はとにかくノンストップで斬りまくり
足技も絡めて刀ゲージを回復すれば完璧
ボスは逆に敵の動きをよく見て、避けたりカウンターを決めたりして反撃する
隙を見つけて大技を決めるのが爽快感抜群

やり直し時に残せる強化要素もあり

スキルは覚えた後も強化が可能

 プレイヤーの腕が非常に重要なゲームではあるが、キャラクターもスキルを会得・強化することで成長する。先に述べた斬撃や足技も、最初は基本技しか使えないが、敵を倒すことでポイントが得られ、それを使うことでスキルが解放される。強化についても同様で、ポイントを消費することでレベルアップする。

 強化は一時停止中のメニューや、ステージクリア後のメニューでいつでも可能。気に入った技があれば、その技をどんどん強化していけば、攻略もぐっと楽になる。ほかに体力や刀ゲージも増やせるので、確実に強さの底上げができる。

 途中で敵が強くてどうしても先に進めないと思ったら、セーブデータから“GAME RESTART”を選べば、スキルを強化した分は残したまま、ゲームを最初からやり直せる。ゲームクリア後のデータも次のプレイに引き継げるので、最初は難易度EASYでクリアし、それからNORMALやHARDをプレイすることも可能だ。

 強化できるとはいえ、すべてのスキルを最高レベルにしてもボスと真正面から斬り合って勝てるほど強くはなれず、やはり最終的にはプレイヤー自身が敵の動きを見切って動かねばならない。とくに難易度をHARDにすると、序盤から敵が強力で気の抜けない戦いになる。

 女子高校生風のキャラクタービジュアルを見ると、何となくカジュアルに遊べるのかと思ってしまうが、ステージ1のボスから結構な勢いで心を折ってくれる。しかしアクションゲーム好きにとっては、スピード感と爽快感があり、しっかりした歯ごたえもあるゲームだと感じられるはずだ。ぜひその点に期待してプレイしてみて頂きたい。

セーブデータからの再開時に“GAME RESTART”を選ぶと、強化を残したまま最初からプレイできる。アクションが苦手な人にも一応の救いがある形
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ソフトウェア情報

「巫剣神威控」
【著作権者】
ZENITH BLUE
【対応OS】
Windows XP/Vista/7/8
【ソフト種別】
パッケージ販売 1,980円(税込み)など(体験版あり)
【バージョン】
1,0,0,0

(石田 賀津男)