週末ゲーム
第555回
絶妙なゲームバランスの本格派アクションゲーム「アクションモグラ」
昔懐かしいスタイルを珍妙なキャラクターで現代風に仕上げた大作
(2014/4/11 10:24)
『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、ニコニコ動画にて開催された自作ゲームの祭典“ニコニコ自作ゲームフェス3”でも注目を集めたアクションゲーム「アクションモグラ」をご紹介する。
- ニコニコ自作ゲームフェス(ニコニコ自作ゲームフェス) - ニコニコチャンネル:ゲーム
- http://ch.nicovideo.jp/indies-game
ビームを放つスーパーモグラが戦うアクション
「アクションモグラ」は、フィールドの敵や仕掛けを突破して進むアクションゲーム。主人公は記憶喪失の二足歩行モグラと、中年男性のような妖精(?)。女性が誘拐されるのを偶然見た2人が女性を助け出すところから物語が始まる。カタコトな日本語でアバウトに受け答えるモグラと、言うことは真面目なのに自分では何もしない妖精のペアは、見た目以上に妙で脱力系の取り合わせだ。
とはいえ主人公のモグラはかなり強い。武器はパンチを繰り出すと発生する衝撃波のようなもの。攻撃ボタンを連打すれば連続して打ち出せるし、ボタンを押したままにして溜めてから離すと強力なビームも出せるスーパーモグラだ。この攻撃とジャンプを駆使してフィールドにいる敵を倒し、障害物を越えていく。フィールドの最後にいるボスを倒せばステージクリア(ボスがいないステージもある)。
最初はこの攻撃とジャンプしかできないのだが、ゲームを進めると新たな技(操作)やサブウェポンを入手し、できる行動が増えていく。それらを使うことで次のステージへの入り口を見つけ出し、先のステージを目指す。
たとえば壁から横っ飛びする三角飛びを覚えると、これまで上れなかった場所にも行けるようになる。ただ、どこに次のステージへの道があるかはノーヒントなので、“どこで何をすれば道が開けるか”を見つけ出すのにも頭を使う。一度行ったステージは何度でもやり直せるので再度見回して探すことになるが、怪しいところは見つけたときにメモしておくと手間なく進めるだろう。
難しいが達成感のあるゲームバランスが秀逸
技やサブウェポンは新たなステージを見つけ出すだけでなく、フィールドを突破するための必須テクニックにもなる。スライディングを覚えれば立って進めない小さな隙間を通れるようになるし、爆弾で壁を壊したり、時間を止めるサブウェポンで先へ進めるようになる場所も。他にも村にいる元冒険家が、応用的な操作をアドバイスしてくれたりもする。
後半のステージでは複数の技やサブウェポンを併用したり、タイミングよく切り替えたりしないと攻略できない。シビアな操作を求められる場面も多く、アクションゲームとしてはなかなか手ごわい。敵や罠に当たってライフがなくなったり、フィールド外に落下したりするとミスになるが、セーブポイントから何度でもリトライが可能。いわゆる死んで覚えるタイプのゲームだ。
難しいフィールドでは、数十秒から数分にわたって僅かなミスも許されない、集中力を求められる場所もあって、かなり神経を使う。ただ突破してしまえばセーブポイントが現れるところが多く、一度クリアした難所を何度も繰り返しプレイさせられるというストレスは少ない。1つ1つ難所を乗り越えていく達成感をしっかりと味わえる。
全体の難易度は高めだと感じるのだが、何時間も詰まって先に進めない、というような場所もなかった。一見ものすごく理不尽な場所もいくつかあるのだが、突破方法を考えて何度も試していれば、そのうち何とかなるという手ごたえがある。この奇跡的と感じるほどのゲームバランスが本作の最大の魅力だ。ただ難しいだけでなく、プレイヤーの感覚まで実によく考えられている。
また技などが増えると、以前のステージで行けなかった場所へも行けるようになり、新たな発見がある。技を駆使して到達できる難所には、最大HPを増やすアイテムや新たなサブウェポンが置かれており、それを見つけて入手するのもゲームの目的の1つだ。さらに、敵を倒して入手できるお金を使って、攻撃力や防御力などを強化できる。クリアには必須ではないが、これらの成長要素も本作の重要な面白さになっている。
ボリュームもたっぷりで隙のない大作
フィールドにある仕掛けに加え、ステージの最後にいるボスも曲者ぞろい。主人公より圧倒的に大きく、猛烈な攻撃を仕掛けてくる。雑魚はほとんどがボタン連打や溜めビームで簡単に処理できるのだが、ボスはごり押しでは難しい。しかし壁を無視して斜めに飛ぶブーメランなど、各ボスに効果的なサブウェポンがあるので、それらを駆使すれば意外と簡単に倒せるようになっている。ここも一種の謎解きのようなものだ。
ゲームを一通りクリアすると、ボスと連続で戦うボスラッシュステージが開放される。これまで戦ったボスが登場し、すべて倒すとそのタイムが記録され、オンラインランキングにアップロードすることも可能。
物語にも見所がある。最初は村人を救い出すのが目的なのだが、それだけでは終わらない。最後の最後、スタッフロールが流れた後にまで謎が残っている。すべての要素を見るのはかなり苦労するが、『最後までやりきった!』という気持ちよさを感じさせてくれる。とくにファミコン世代の人には、ノーヒントで進む手探り感のあるアクションも懐かしく、最後まで心地よい歯ごたえとして感じられるはずだ。
本作の想定プレイ時間は5時間以上とされている。筆者はアクション系は得意なので5時間もあればクリアできるだろうと高をくくっていた。実際にやってみると1回のミスで即死してやり直しになる場所が多く、とにかく集中力を使う。リトライが無限だからとダラダラやっていると、プレイヤー自身の疲労で全然進めなくなってくる。結果、筆者はすべてクリアするのに10時間以上かかってしまった。1日1時間ずつのつもりで、少しずつ遊ぶことをオススメしておきたい。
とはいえ、思いのほかボリュームがある、という意味でもよくできたゲームだ。基本的にはオーソドックスなアクションゲームだが、隙のない、遊んでからわかる完成度の高さがあり、キャラクターもモグラと妖精を始めとした濃い面々が揃っていて飽きさせない。アクションが好きな方はもちろん、苦手な方も少しずつでいいので遊んでみていただきたい。
ちなみに作者サイトでは、本作の商品化が決定されたというコメントがあった。現在はフリーソフトとして公開されているが、今後どういう扱いになるのかは不明なので、気になる人は早めにダウンロードしてはいかがだろうか。
ソフトウェア情報
- 「アクションモグラ」
- 【著作権者】
- クロボン 氏
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7/8
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.3(14/04/09)