週末ゲーム

第584回

戦略シミュレーションゲーム「ヴァーレントゥーガ」特集 第1回

根強い人気を誇る「ヴァーレントゥーガ」。その注目の派生作品「LostTechnology」の魅力を紹介

「ヴァーレントゥーガ」
「LostTechnology」

 「ヴァーレントゥーガ」とは、魔王の復活を契機に、人間やさまざまな種族の間で戦乱が巻き起こる大陸を舞台とした戦略シミュレーションゲームだ。大軍同士のぶつかり合う大迫力の戦い、そして戦乱に翻弄されるキャラクターたちが織り成す物語が特徴となっている。本作は、以前にも本連載にて紹介した。

 こちらの記事で取り上げてから2年、本作は以前よりもさらに進化した形で人気を高めている。そこで今回は、このゲームの今の姿を特集形式で全3回に渡って紹介していきたい。初回となる第1回は、「ヴァーレントゥーガ」の概要を改めて紹介し、そしてプレイヤーによって作られた派生作品「LostTechnology」の魅力をお伝えする。

プレイヤーによるシナリオ制作もできるフリーゲーム「ヴァーレントゥーガ」

 「ヴァーレントゥーガ」は、大陸のすべてを自国の領土とすることを目的とするゲームだ。領土を広げるためには他国の領土に攻め込み、戦いに勝つ必要がある。そのためゲームパートは、国家間の外交や軍編成、戦いの要となる人材雇用などを行うターン性の“戦略パート”、そして他国の領地に攻め込んだ時に発生する軍団同士の戦いをリアルタイムに操作する“戦術パート”に分かれている。

戦略・戦術という2つのパートを上手く操作し、大陸統一を目指す
大威力の必殺技で敵軍をなぎ倒し、戦況を一気に変えることも可能だ

 RTS形式の戦闘場面である“戦術パート”では、大軍を操作するという規模の大きさも魅力だが、特徴的なのは軍団を率いる指揮官ユニットなどが使える“必殺技”だ。これにより、兵力の差で不利な状況であっても必殺技で逆転を狙うなど、ピンチの打開も可能となっているのだ。

 また本作の大きな特徴は、プレイヤーの手でまったく新しい派生作品を作れる“ゲーム制作ツール”の側面も持っていることだ。シナリオ作成はもちろんのこと、ゲーム中で使えるコマンドの追加など、ゲームバランスや一部システムにも手を加えることができる。派生作品の作風はファンタジーが多めだが、なかにはSFやロボット物といった作品も作られている。

 ここからは、そんな「ヴァーレントゥーガ」の派生作品のなかでも特に注目したい大作「LostTechnology」を紹介しよう。

美麗なイラストや物語が楽しめる派生作品「LostTechnology」

 「LostTechnology」の舞台は、古き良きファンタジー世界の雰囲気を感じつつも、かつて高度な文明が存在したときの武器、道具、知識……などが“ロストテクノロジー”として残っている“スキアパレリ大陸”。そこで巻き起こる戦乱を切り抜け、大陸を統一することが目的となる。

シナリオ・システム・グラフィック……すべてが高いクオリティでまとまった派生作品だ

 制作スタッフとしては、かつてWeb上でムーブメントとなった音楽ゲーム「BM98」にて楽曲を公開していたCranky氏が音楽を手がけ、鳩に恋する乙女ゲーム「はーとふる彼氏」の玻都もあ氏がシナリオの一部を担当するなど、非常に豪華なスタッフとなっている。今後はゲーム中に喋るキャラクターボイスも入れる予定とのことで、さらに期待がかかる作品だ。

本作のイラストレーターであるアガハリ氏による美麗なキャラクターイラストも魅力

 「LostTechnology」の基本的なシステムは、戦略と戦術の2パートに分かれた「ヴァーレントゥーガ」とほぼ同じものだ。大陸に存在するさまざまな国や勢力からプレイヤーが操作する国を選ぶことができ、領土を広げていくにつれて物語が進むという形式になっている。今回は、全12勢力のうち2つの物語を紹介しよう。

“皇女と家臣の物語”と“裏組織の暗躍”、見ごたえある2つのストーリーを紹介

 まずはスキアパレリ大陸の中央に位置する国家“ライナルト帝国”のストーリーを紹介しよう。前皇帝である祖父の死によって帝位に就いた14才の少女“アグネス”。しかし帝国の家臣たちの興味は、自分たちの保身のみ。そんな腐敗していく国家の中で、アグネスのことを思う唯一の人物は、皇帝の護衛である近衛騎士団長“ディートハルト”だけであった。帝国が戦乱に巻き込まれていく中、二人はいかなる運命を辿るのか……。

前皇帝の死により皇帝となったわがままな少女“アグネス”
アグネスに振り回される近衛騎士団長“ディートハルト”
帝国に愛想を尽かし出国を考えるも、家臣に利用されるだけのアグネスを見捨てることができないディートハルト。しかし、次第に彼の周りに怪しい影が……

 ライナルト帝国のストーリーはルートが2つに分岐するものとなっており、特にある条件を満たすことで入ることのできるルートは、皇帝と家臣というしがらみを越えた二人の物語が描かれる。無知な君主だったアグネスが普通の女の子として人生をやり直すストーリーとなっており、その感動的な結末はぜひ見届けてほしい。

特殊なルートでは、王族という役割から解放されたアグネスとディートハルトを中心とした物語が展開
裏組織の幹部にしては天真爛漫すぎるペトラ。それが魅力となり周りには好かれているようだ

 また、特殊なゲームルールが追加されるために少し難易度が高いが、“組織アルカトラズ”のシナリオも印象深いものとなっている。裏組織の幹部であるが底抜けに明るい性格で好かれる女の子“ペトラ”と、歴史の裏を暗躍するペトラの仲間たち3人の物語が描かれる。

 “呪われた血族”として迫害されてきたが、今ではペトラに忠誠を尽くすリザードマン“ウィッシュボーン”、日々自室に篭り怪しい研究を行っている科学者“ディーナ”、ペトラやディーナたちをクールに見守る暗殺者の女性“エーヴリル”。仲間たちは他人にあまり関心を持たず影の世界を生きてきたが、ペトラと関わることで絆を深めていき、物語は段々と心温まるものとなっていく。

出会ったばかりの頃は“部下”としてペトラに接していた仲間たちだが、次第に公的な立場を超えた“家族”の関係となっていく

プレイヤーの手で時代を切り開け!歴史的な合戦を体験するモードも

 「LostTechnology」は、こういったシナリオモードのほかに、“正史”モードが用意されているのが特徴だ。こちらはゲーム世界の中で実際に起こった“歴史を変えた重要な合戦”を体験することや、国家間の外交・会談の一幕を見ることができるモードとなっている。歴史に大きく関わる事件や合戦へ実際に触れることで、“LostTechnology”の物語をより深く楽しめるようになっているのだ。海戦や防衛戦、撤退戦など、さまざまなシチュエーションの戦いを切り抜けよう。

大軍に包囲された城をどう守り抜くか!? 戦乱の流れを変えた戦いを、プレイヤーの手で勝利に導こう
国家間の策略や駆け引きが行われる会談シーン。勢力間の思惑が垣間見え、物語の背景をより深く味わうことができる

次回は「ヴァーレントゥーガ」をより楽しむための攻略術を紹介!

 今回紹介した「LostTechnology」は、勢力ごとの魅力あふれる物語や、ゲームの中の歴史で実際に起こった合戦を体験できるシステムがウリの作品だが、「ヴァーレントゥーガ」のシステムに初めて触れるプレイヤーには戸惑うことや難しく感じることも多いかもしれない。

 そこで、特集の第2回となる次回は初心者のプレイヤーに向けて、難易度が易しめの勢力“クーニッツ騎士団”を例に取り、攻略方法をプレイガイド形式で紹介しよう。

ソフトウェア情報

「ヴァーレントゥーガ」
【著作権者】
ななあし 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
6.50(15/01/10)
「LostTechnology」
【著作権者】
CB-SXF6 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.01i(14/09/30)

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