週末ゲーム

第583回

見た目はシューティング、手触りは格ゲーなアクション「Cold Chord」

迫りくる弾幕を凍らせて破壊し、連続攻撃を叩き込め!

 『週末ゲーム』では、インターネット上でたくさん公開されているゲームの中から、編集部がピックアップした作品を毎週紹介していく。今回は、横スクロールアクションゲーム「Cold Chord」をご紹介する。

“硬直”がある対戦格闘的なシューティング風ゲーム

見た目はシューティングゲームだが、プレイ感は全く別物

 「Cold Chord」は、未来世界を舞台にしたファンタジーアクションゲーム。人体の未知領域エネルギーを超常現象として発現する“現象使い”達が、自らを兵器として扱う国家機関“国界”に対して反旗を翻し、“現象技術者保護協界”(通称“協界”)を設立。プレイヤーは“協界”に属する“現象使い”の1人となり、“国界”との戦いに挑む。

 本作は一見すると横スクロールシューティングに見える。開発においては、シューティングゲームの開発ツールである「シューティングゲームビルダー」が使われており、ベースは確かにシューティングゲームなのだが、実際のプレイ感はかなり違う。

 一般的なシューティングゲームと大きく異なるのは、攻撃の最中は移動ができなくなるという点だ。最初に選択できる4人のプレイヤーキャラクターは、それぞれ攻撃の種類は異なるが、いずれも攻撃中は移動ができない。格闘ゲームで言うところの、攻撃中から攻撃後の硬直があるのだ。

 敵はシューティングゲーム的に弾を撃ってくるので、そのままでは敵の攻撃を避けられない。かといって、足を止めて攻撃して、慌てて敵弾を避けて、また足を止めて攻撃する、というゲームでは単にストレスがあるだけだ。

 さあどうしよう……という答えは、本作には大きく分けて2つある。連続攻撃と凍結属性だ。

攻撃すると硬直が発生し、回避ができなくなる。普通のシューティングゲームのようにはいかない

攻撃と回避が渾然一体となる連続攻撃

複数の攻撃をキャンセルしつつ繋ぐ。見た目にも派手な連続攻撃

 本作の攻撃は通常攻撃と特殊攻撃に分けられる。通常攻撃は攻撃ボタンを押せば発動するもの。押したままにしていると別の攻撃へと移行し、数種類の攻撃が続けて発生する。ただし、通常攻撃を続けている間は一歩も動けない。

 特殊攻撃は、通常攻撃とは異なるタイプの攻撃が発生するもの。こちらはボタンを押したままで別の攻撃には派生しないが、上下左右の方向キーを入れながら押すと別の攻撃が発動するため、各キャラクターごとに5種類の特殊攻撃が用意されている。中には移動しながら放つ攻撃や、攻撃力はないが無敵時間が発生する特殊行動もある。

 通常攻撃と特殊攻撃5種は、いずれも攻撃に硬直時間が発生する。しかし、通常攻撃から特殊攻撃を放ったり、特殊攻撃から別の特殊攻撃を放ったりすると、前の攻撃の硬直時間を待たずに次の攻撃が発動する。格闘ゲームで言うキャンセルが使えるのだ。

 これを活用すると、攻撃と回避のメリハリが生まれる。例えば通常攻撃を放った後に敵の弾が近付いてきたら、続けて移動しながら放てる特殊攻撃を撃てばいい。そうすれば通常攻撃の硬直がキャンセルされ、さらに敵弾を避けることもできる。

 もちろん敵弾がなければ、通常攻撃を全て出し切ってから、さらに特殊攻撃で大ダメージを狙う連続攻撃も放てる。ただし1回の連続攻撃中に、同じ攻撃を二度出すことはできない(一度、何かしらの攻撃がストップすれば仕切り直し)ので、最後に出す攻撃の硬直だけは注意が必要だ。

 敵の弾幕の隙間から攻撃を仕掛け、敵弾が迫ったらすかさず移動攻撃へ繋いで避け、再び攻撃を仕掛ける……という流れが理想的。頭で考えているうちはなかなか連続攻撃にならないが、自分の中で定番の攻撃パターンができてくると、思った攻撃に繋げられるようになる。この辺り、格闘ゲームで新たなコンボを体に覚えさせる感覚に似ている。

通常攻撃はボタンを押し続けるだけで別の攻撃へと続いていく
特殊攻撃には移動を伴うものもある。無敵やワープが可能なものなら弾幕を抜けることも可能

敵弾を凍らせる無敵のアクション

ゲージを消費して発動するMIND DRIVE

 もう1つのポイントとなる凍結属性は、“MIND DRIVE”を展開することで使用できる。MIND DRIVEは、画面上にあるゲージを消費して発動するもので、発動後の一定時間、すべての攻撃に凍結属性を付加する。

 凍結属性が付加された攻撃は、敵弾を凍らせることができ、凍った敵弾は当たり判定がなくなる。敵本体は一部を除いて当たり判定がないため、敵弾さえ消せれば安全度はぐっと高まる。またMIND DRIVE発動中は無敵状態になるので、発動中はとにかく弾を凍らせることと敵を倒すことだけ考えればいい。

 さらにMIND DRIVEは、通常攻撃や特殊攻撃をキャンセルできる。その上、MIND DRIVEを発動した時点でそれまでの攻撃情報がリセットされる。通常攻撃をMIND DRIVEでキャンセルし、すぐに再び通常攻撃を出すといったことも可能だ。

 凍らせた敵弾を攻撃すると破壊でき、得点とともに“EXTRA DRIVE”ゲージが溜まる。EXTRA DRIVEゲージが満タンになると、MIND DRIVEの発動中のみEXTRA DRIVEを発動可能だ。EXTRA DRIVEは発動すると数秒間無敵となり、その後、大ダメージを与えられる超必殺技が発動。EXTRA DRIVEゲージは凍った敵弾の破壊かEマークのアイテムを取ることでしか回復せず、一度発動すると全EXTRA DRIVEゲージを消費してしまうので、文字通りの超必殺技だ。

 MIND DRIVEゲージは時間とともに回復するほか、Mマークのアイテムを取得することでも回復する。使用回数に制限はあるものの、回復は比較的早いので、EXTRA DRIVEゲージを溜めることも兼ねてどんどん使っていくと、攻略に役立つだけでなくプレイ感もより爽快になる。

MIND DRIVEは敵弾を凍らせて無効化するだけでなく、一時的ながら無敵にもなる。緊急回避と攻撃強化の両面で使える
凍らせた敵弾を破壊すればEXTRA DRIVEゲージが溜まる。満タンになれば強力な超必殺技も使用できる

難しさの先にある、上達後のプレイに酔う作品

操作にクセがあるため、思ったように操作できるようになるまでが難しい

 本作の操作はキーボードとゲームパッドの両方に対応しているが、比較的複雑かつタイミングがシビアなので、ゲームパッドでのプレイが推奨されている。

 プレイヤーキャラクターは、オールラウンダーの“コヲル”、遠距離特化の“セツリ”、近距離特化の“パウダー”、遠近切り替えができる“ユーフォルビア”と、それぞれタイプが異なる。

 敵に接触してもダメージにならないとはいえ、至近距離から放たれる弾を避けるのは硬直があるため難しいので、近距離向けのキャラクターは必然的に難易度が高めになる。特に雑魚の掃除がいきなり難しくなるので、最初は遠距離系の攻撃が使えるキャラクターがオススメ。

 ただ近距離攻撃は攻撃力がかなり高いので、移動系の特殊攻撃やMIND DRIVE・EXTRA DRIVEの活用、敵の行動パターンを覚えるなどすればかなり強力。ボスも短時間で倒せるので、飛躍的にスコアが伸びる。

 またキャラクターごとにシナリオも異なる。三枚目なノリのキャラクターも多いのだが、終盤になるとシリアスな展開になってくる。“国界”、“協界”といった世界観の作り方もユニークだし、その詳細が各キャラクターごとに断片的に見えてくる辺りも、プレイしていて先が気になるうまい演出になっている。

 ゲームとしてはダメージを5回受けるとゲームオーバーになり、コンティニューは10回まで。各ステージの序盤と終盤に各種アイテムを落とす敵が出るのでライフは回復できるのだが、終盤には凍結属性必須の苛烈な弾幕になることも多く、難易度はかなり高い。特に硬直とキャンセルという要素を理解するまでは、ゲームプレイに違和感を覚えることだろう。

 これはシューティングではなくアクションだよ、ということを頭に入れつつ、連続攻撃と凍結攻撃をうまく狙って出せるように少しずつ練習してほしい。画面を埋め尽くす弾幕の中、無敵移動でスペースに出ながらMIND DRIVEで一掃、と狙った操作ができるようになると、自分が空間をコントロールする爽快感が得られる。プレイヤーの上達がゲームを面白くするという、噛めば噛むほど味が出る仕上がりの作品だ。

近距離が得意なキャラクターは扱いが難しいが、慣れれば爆発的な攻撃力が実に爽快
かなりハードな攻撃も多い。パターンと対処法を覚えて的確に反撃したい
舞台設定やストーリーもユニーク。全キャラクターでプレイして堪能してほしい

ソフトウェア情報

「Cold Chord」
【著作権者】
the backstage SUCCEED こなわさび 氏
【対応OS】
Windows XP/Vista/7(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00(14/12/20)

(石田 賀津男)