余裕がないときの心の整え方 特別出張版
休日なのに仕事のことが頭から離れない【禅マインドフルネス】
心と身体が健やかになる「あるある」
2016年12月9日 06:20
この集中連載では、医師であり禅僧の川野泰周氏がストレス社会の「あるある」問題の向き合い方について教えてくれる著書『「あるある」で学ぶ 余裕がないときの心の整え方(できるビジネス)』から抜粋した“心が折れるその前に、あなたの心を整える方法”を、心がざわつく年末に、短期集中連載というかたちで忙しいビジネスパーソンの皆さま、家庭を支える主婦の皆さま、将来を模索している学生の皆さまにお届けします。
休日なのに仕事のことが頭から離れない
きちんと休息していますか?
こんな休日を過ごしたことはありませんか?
「仕事の進ちょくが遅れていて、本当は休んでいる場合ではない」
「今月の営業ノルマが達成できてない」
せっかくの休みなのに、未解決の問題で頭がいっぱいいっぱい。職場には行かないものの、結局は仕事のことばかり考えているのです。
日々仕事に追われているビジネスパーソンにとって、休日でも頭から仕事のことが離れないということは珍しくはありません。実際、私のクリニックにもそのような状態でクタクタに疲弊しているビジネスパーソンがよく訪れます。
こんな患者さんを問診するときに、四つのRをチェックしてもらいます。
□リラクゼーション(Relaxation)
神経をしっかり休めていますか?
呼吸瞑想やアロマが効果的です。
□レスト(Rest)
体をしっかり休めていますか?
睡眠やマッサージ、ボディースキャン瞑想をしましょう。
□レクリエーション(Recreation)
遊んだり楽しんだり笑うことで気分を変えられていますか?
自分の趣味や気の許せる人と過ごしましょう。
□リトリート(Retreat)
普段の生活と離れて静養できていますか?
都会から離れて、森林セラピーを行います。
リトリートのすすめ
リトリートは旅行とは少し違います。禅的リトリートは、都会や日常から遠方へ離れて、山や高原、海岸などの施設に滞在し、非日常に身を置き瞑想するなど、心身を養生することです。
近年は全国の寺院やヨーガ教室などで主催している森林セラピー基地が各地に点在しているので、活用しない手はありません。
ただ、本格的なリトリートをするだけの時間的余裕がないという人もいるでしょう。ここではわざわざ遠方までに出掛けなくてもいい、プチリトリートを紹介しましょう。
自分だけのリフレッシュ空間
私も、自宅から数分で行ける場所に自分だけのリトリート空間を持っています。目の先に工業地帯が広がるなんのへんてつもない埠頭(ふとう)ですが、そこに身を置いて瞑想することで頭の中をリフレッシュすることができます。
プチリトリートに最適な場所は次の条件です。
- 他人の視線を感じない場所
- 他人から話しかけられない場所
- 海、川、山、植物など自然を感じられる場所
たとえば自宅のベランダに花壇がある人はそこでもかまいません。また通勤通学の途中に自然豊かな公園がある人は、そこでもいいでしょう。
そういった空間を身近で見つけて、ほんの数分でいいので瞑想してみましょう
目の前の景色を全身で楽しむ
禅問答に用いられる『碧巌録(へきがんろく)』という書物にこんな禅語があります。
その昔、雲門(うんもん)禅師という高僧が、秋風に吹かれ葉の散りゆく樹々を見て
「体露金風(たいろきんぷう)(目の前に広がる心地良い風景を体一杯に楽しむ)」
と答えました。丸裸の樹々に清々しい秋風が吹く様子を人の存在にたとえたと解釈すれば、
「人間関係のしがらみや、心内を巡る雑念から解放されたとき、金色の風が通り抜けるような境地に至るのだ」
と言うことを教えてくれているように思えるのです。
限界を感じる働き方を続けると、必ず心は壊れます。そうなる前に四つのRであなたの心と体を回復してください。
【POINT!】 |
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・四つのRをチェックする |
・リトリートに参加してみる |
・自分だけのプチリトリートを見つける |