使ってわかるAI PC

第118回

NPUで音声をテキストへ変換。プッシュトゥトークの無料音声入力ツール「OpenWritr」

CPU/GPUに負荷をかけないのでゲーム中のテキストチャットにピッタリ

「OpenWritr」の設定画面

NPUでどのソフトにも音声入力

 「OpenWritr」は、音声をテキストに変換して文字入力ができるソフト。Snapdragon X EliteのNPUを使った処理が可能で、CPUに負荷をかけずに音声入力ができる。

 特徴は、ショートカットキーを押している時だけ音声入力を受け付けるプッシュトゥトークの仕組みを採用していることと、フォーカスしているアプリに入力結果を送るためソフトを選ばず音声で文字入力できる点だ。

「Whisper」で日本語が使用可能

Microsoft Storeからダウンロードできる

 本ソフトはMicrosoft Storeから無料でダウンロードが可能。NPUのほかCPUでの動作も可能なので、Windows 11であれば利用できる。なおNPUを利用したい場合は、Snapdragon X Eliteが必要で、Snapdragon X Plusなどの下位モデルでは動作しない。

 起動するとタスクトレイに入り、入力待ち状態になる。設定画面はタスクトレイアイコンを右クリックして[Settings]を選べば表示される。

タスクトレイアイコンから設定を開く

 初期設定では、音声をテキストに変換するAIモデルとしてCPUで動作する「Parakeet TDT v3」が使われている。欧州中心の25言語に対応しているが、残念ながら日本語には対応していない。

 そこで設定画面から、NPU専用の「Whisper Large v3 Turbo」を選ぶ。初めて使う際には約2GBの追加ダウンロードが必要で、しばらく待つ必要がある。こちらは日本語に対応している。ユーザーが話した言語を自動で認識するので、言語設定などを行う必要はない。

「Whisper Large v3 Turbo」で日本語が使える

 「Whisper Large v3 Turbo」のダウンロードが終わったら、ショートカットキーを押してみよう。初期設定では[Ctrl]+[Windows]キーとなっている。押すとポンと音が出て、押している間は入力待ちの状態になる。

 押したまま話し続けて、話し終わったらショートカットキーを離す。するとフォーカスしている画面に、話した音声がテキストとして入力される。「メモ帳」を開いておいて、「OpenWritr」に話しかけると、音声を認識してテキストが入力される、といった具合だ。

「メモ帳」に音声で文字入力のテストをしてみた。漢字変換もできている

 この時の処理にはNPUが使われており、CPUやGPUにはほとんど負荷はかかっていない。NPUの使用率もそれほど高いわけではなく、余裕を持って処理できている。

NPUの使用率はそれほど高くない

 本ソフトはあくまで音声のテキスト化だけを行うツールなので、専用のUIに結果を出力するような仕組みではない。そのためどんなソフトにでも入力できるのが強みだ。例えば、ゲームパッドで遊ぶゲームの最中、ショートカットキーを押して音声入力すれば、キーボードを叩かずにテキストチャットの入力が可能だ(チャットを送信する操作は必要だが)。

ゲームのチャットにも音声で文字入力が可能

 使用中はAIモデルをメモリに展開した上で常駐させておくことにはなるが、「Whisper Large v3 Turbo」でも2GB程度なので、そこまでメモリに厳しいというほどではない。日本語認識の精度も高く、漢字変換も高精度で行う。マイク入力の質が高ければ、かなり早口でしゃべってもしっかり認識してくれる。

 NPUを使うことで、他の処理を妨げることなく実行できるのも強みと言える。先のゲームの例だと、CPUやGPUのリソースを食わないのは重宝する。何と組み合わせて使えば便利になるのかはアイデア次第だ。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身。金沢工業大学 工学部情報工学科卒。

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜で連載『石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』』(AKIBA PC Hotline!に移動)、『使ってわかるCopilot+ PC』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/