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尾州コットンの「AKRacing BISHU」を2週間使ってみた ~柔らかな手触りと、頼れる座り心地

長い作業やAIへの口述入力も快適、そして、そのまま一息……

AKRacing BISHU。Premiumシリーズをベースに、尾州産のコットン生地を採用した。

 筆者はライターなので、仕事の大半をPCの前で過ごしている。作業の区切りがついたと思って時計を見ると、椅子に何時間も座っていたという日も珍しくない。

 最近はさらに、趣味のバイブコーディングにハマっている。生成AIに作りたいものを伝え、出てきたアプリを試し、気になるところを直していると、つい時間を忘れてしまう。これまでなら仕事を終えてリビングでテレビを見ていた時間にもPCへ向かうようになり、椅子に座っている時間は以前より明らかに長くなった。

 これだけ長時間座って作業するとなると、毎日身体を預ける椅子の重要性も増してくる。

自室で2週間使ってみた

 今回、そんな筆者の仕事に、そしてプライベートに2週間使ってみたのが、AKRacingの新製品「AKRacing BISHU」だ。オフィス向けチェアのPremiumシリーズをベースに、尾州で織ったコットン100%の生地を張った、2026年10月8日発売のモデルだ。原稿執筆やバイブコーディング、仕事の合間の休憩まで、普段どおりの使い方で座り心地と機能を確かめた。

自室になじむ見た目と、尾州コットンの柔らかな手触り

 長時間座ることを前提に作られたゲーミングチェアには以前から興味があった。ただ、50代になり、自室に置く椅子には機能性だけでなく、落ち着いた見た目や身体に触れたときの質感も気になるようになった。一般的なゲーミングチェアは、鮮やかな配色やつるりとした合皮を採用したものが多く、なかなか導入するきっかけがなかった。

 そこに登場したのがAKRacingのBISHUだ。

 AKRacingは言わずと知れたゲーミングチェアの有名ブランドだが、実はオフィスユーザーを対象とする「オフィスチェア」シリーズ、ゲーマー以外を想定し、インテリアへの調和を意識した「ライフスタイルチェア」シリーズ、不特定多数が利用する映画館やスポーツ施設などを想定した「ファシリティチェア」シリーズといった幅広いシリーズを擁しており、今回のBISHUはこの「ライフスタイルチェア」シリーズに属する。

 そんな筆者がBISHUを見て最初に惹かれたのが、ブルーやネイビー、グレー、ベージュを組み合わせたストライプ柄だ。形そのものにはAKRacingのゲーミングチェアらしさがあるものの、落ち着いた色合いと布地の風合いで大きく印象は変わる。実際に自室へ置いてみても主張が強すぎず、周囲の家具にも自然になじむ。

ブルーやネイビー、グレー、ベージュの糸がつくるストライプ。コットンならではの柔らかな手触りも魅力。

 さらに気に入ったのが、毎日身体に触れる張地の感触だ。手で触れるとコットンらしい柔らかさがあり、座ったときも合皮とは違うさらりとした肌当たりが心地いい。

 尾州は愛知県一宮市を中心に岐阜県西濃まで広がる日本有数の織物産地で、英国のハダースフィールド、イタリアのビエラと並ぶ「世界三大毛織物産地」の一つ。BISHUでは、毛織物の産地として知られる尾州で、あえてコットン100%の生地を製作。見た目はもちろん、触れたときの感覚まで含めて、これなら毎日使いたいと思える仕上がりとなっている。

 また、ゲーミングチェアの張地として一般的なPUレザーは、素材の特性上、経年劣化による加水分解が避けられない。AKRacingの製品では、高耐久のPUレザーが利用されており、モデルによっては10年使用相当のテストにパスしたとうたわれているが、コットンならばそもそも加水分解による劣化はない。こうした心配が不要なのもコットンのメリットだ。

コットンらしい柔らかい生地。合皮とは違うさらりとした肌当たりが心地いい。
ランバーサポートには「尾州」をアピールする刺繍がある。

 座面には高反発ウレタンフォームを使い、座面幅は38cm、奥行きは51cm。座ると適度な張りがあり、身体をしっかり受け止めてくれる。背もたれに体重を預けても、華奢な椅子に座ったときのような不安がない。体重が90kg近くある筆者でも、座面や背もたれに安心して身体を預けられた。

 荷重制限は150kgで、本体重量は25.5kg。実際に座ると、数字から受ける印象どおり、どっしりとした安定感がある。原稿を書くときは少し前寄りに座り、考えをまとめるときには背中を預ける。作業中に何度も体勢を変えても落ち着いて座っていられた。

 筆者は原稿を書き続けていると、いつの間にか腰が座面の前へずれ、背中を丸めた姿勢になりがちだ。そこで役立ったのが、付属のランバーサポートだった。腰のくぼみに当たる位置へ合わせると、背もたれとの隙間を埋めるように腰を後ろから支えてくれる。背中まで背もたれに預けたままキーボードへ向かいやすく、長時間の作業でも姿勢が崩れにくかった。

原稿執筆中の着座姿勢。ランバーサポートに腰を預けると、背もたれまで使って座りやすい。

6画面を見上げるときも、生成AIと話すときも姿勢を変えられる

 筆者のデスクでは、27インチのディスプレイを3枚ずつ2段に並べ、計6画面を使っている。多数のウィンドウを開いたまま複数の作業を並行するため、原稿を書いている最中にも、資料を確認するたびに下段から上段へ何度も視線を移す。

自室で使用中。27インチディスプレイを3枚ずつ2段に配置。下段で作業し、上段には参照する資料や生成AIの画面を表示している。

 上段の資料をじっくり読むときに目線だけを上げると、首を反らした状態が続いてしまう。そんな場面では、座面と背もたれの角度を保ったまま椅子全体を後方へ傾けられるチルト機能が使いやすかった。

 座面左側のレバーでチルトのロックを解除すると、背中を預けたときに座面と背もたれが一緒に傾き、身体を起こせば元の位置へ戻るようになる。背もたれの角度そのものを変えるリクライニングとは違い、上段を見るたびに設定を変える必要がなく、作業中でも姿勢を切り替えやすい。

左側のレバーでチルトのロックを切り替え、右側のレバーで座面高を調整する。

 身体を後ろへ預けたときには、頭を預ける大判ヘッドレストが気持ちよかった。上段を見るために首だけを反らした姿勢を保つ必要がなく、ヘッドレストで頭と首を支えたまま資料を追えるのもいい。ディスプレイを上下に配置していたり、高い位置にサブディスプレイを置いていたりする人にも、この使い方は合いそうだ。

大判のヘッドレスト。ディスプレイを上下に配置していたり、高い位置にサブディスプレイを置いていたりする人には特に便利。

 座面の高さは35~42cmの範囲で調整でき、右側のレバーで上下させる。こちらは作業中に頻繁に変えるものではなく、足裏が床につき、キーボードへ自然に手を伸ばせる高さに最初に合わせておけばいい。

自由な姿勢でAIに口述入力

 最近は生成AIへの口述入力が増え、PCで作業するときの姿勢も以前より自由になった。原稿の論点を整理したり、次に調べたいことを指示したりするときは、キーボードに手を置いている必要がない。椅子に座っている時間そのものは長くなったが、文字を打つ、資料を読む、AIに話しかけるといった作業に合わせて、姿勢を変えることが増えている。

 こうなると、椅子側も一つの姿勢に合わせるだけではなく、身体の動きについてきてくれる方が使いやすい。4Dアームレストは高さ、前後、左右、回転を調整できるので、キーボードに向かうときは机との高さを合わせ、背中を預けて口述入力するときは腕を置きやすい位置へ動かせる。手元ですぐ調整できるため、作業を切り替えるたびに大がかりな設定をする必要もない。

4Dアームレストは高さ、前後、左右、回転を調整でき、作業姿勢に合わせて位置を変えられる。

 口述入力中は背もたれに身体を預けるだけでなく、ときには座面の上であぐらをかいて話すこともある。

 AIに話したあと、身体を起こして回答を読み、そのままキーボードで修正するといった具合に、入力方法と一緒に姿勢も次々と変わる。こうした使い方をしてみると、長時間座れることだけでなく、そのとき楽な姿勢へ無理なく移れることも、仕事用の椅子では大切だと感じた。

口述入力中は座面の上であぐらをかくことも。キーボードから手を離せると、作業中の姿勢にも自由が利く。

180度のリクライニングで、その場を休憩場所に変える

 仕事の合間に身体を伸ばしたくなったら、背もたれを大きく倒せる。BISHUが継承したPremiumシリーズのリクライニングは最大180度。好みの角度で止められるため、軽く背中を預ける姿勢から、ほぼ横になる姿勢まで調整できる。

背もたれを深く倒して休憩。大判のヘッドレストが頭を広く支えてくれる。

 これまでは疲れると2階の仕事部屋を離れ、1階のリビングまで降りて横になっていた。BISHUでは、椅子の背もたれを倒すだけで、その場でかなりしっかり休める。作業をいったん止めて目を閉じ、また机に向かう。そのために階を移動しなくて済むのは、思った以上にありがたい。

 初めて大きく倒したときは、まだ倒れるのかと驚いた。上段の画面を見るために少し傾けるのとは、身体の預け方がまるで違う。大判ヘッドレストも枕みたいに頭を支えてくれるのが快適だ。デスクの前でこれだけ姿勢を変えられると、短い休憩を取ること自体が気軽になる。

 毎日使う道具としては、長く使える作りかどうかも気になるところ。AKRacingはチェアの品質管理について、JIS規格に基づく座面・背もたれの5万回の耐久性試験をはじめ、脚部やキャスター、クッションの試験を公表している。BISHUにも150kgの荷重制限と最大5年間の製品保証が設定されている。

 こうした試験や保証は、仕事用の椅子を長く使ううえで安心材料になる。実際に2週間使ってみても、体重を預けたときに脚部や背もたれが頼りなく感じる場面はなかった。触れたときはコットンの柔らかさがあり、座ればしっかり身体を支えてくれる。この柔らかな肌当たりと頑丈さの組み合わせも気に入った。

犬が飛び乗ってきて総重量100kgオーバーでもびくともしないタフさが頼もしい。

 市場想定売価は自分で組み立てるモデルが7万9800円、組立済みモデルが9万4800円。25.5kgの椅子を2階の仕事部屋へ運ぶ手間や組み立てる手間を考えると、購入時には搬入経路や設置場所も確かめておこう。

 今回、2週間にわたって昼も夜も座り続けたが、とても快適。もちろん、腰が痛くなるようなことはまったくない。以前は前傾姿勢気味になりがちだったのだが、BISHUにしっかりと背中を預けることで、腰の負担は軽減したようにも感じる。

 原稿執筆に集中しているときも、上段の画面を見ながら考えるときも、疲れて休憩する際も、BISHUはそれぞれの時間に合わせて姿勢を変えられ、身体をしっかり支えてくれた。長時間のデスクワークに使う一脚を探しているなら、ぜひBISHUに座って快適さを体感してほしい。