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「Firefox 53」が安定版に ~Project Quantumの成果を初導入、コンパクトテーマを追加
コントロールセンターを刷新、スタブインストーラーで64bit版を選べるように
2017年4月20日 13:32
Mozillaは19日、Webブラウザー「Firefox」の最新安定版v53.0を公開した。「Firefox 53」は、次世代ブラウザーエンジンの開発プロジェクト“Project Quantum”で得られた成果を初めて導入。Windows版で“Quantum Compositor”が有効化され、レンダリングの速度と安定性が向上した。
“コンポジター(Compositor)”は、ブラウザーで処理されるさまざまなグラフィックスレイヤーを1つのイメージへと合成する部分だ。新しい“Quantum Compositor”では、この部分が「Firefox」のメインプロセスから分離され、別のプロセスで動作するようになる。これにより、コンポジターがクラッシュしても「Firefox」や他のタブには影響が及ばなくなり、安定性が向上する。また、CPUではなくGPUで合成処理が行われるようになるため、レンダリングパフォーマンス向上も期待できる。
Mozillaによると、“Quantum Compositor”の導入でブラウザーのクラッシュが約10%削減されるとのこと。Intel、NVIDIA、AMDのグラフィックスカードを搭載するWindows環境がサポートされており、「Firefox」ユーザーの約70%がカバーされているという。
さらに機能面では、明暗2つの“コンパクト”なテーマが追加された。これは「Firefox Developer Edition」(旧「Firefox Aurora」、「Firefox 54」を最後に廃止)のテーマをベースにしたもので、“アドオンマネージャー”(about:addons)画面の[テーマ]タブなどから有効化可能。ユーザーインターフェイスのサイズを削減して、コンテンツエリアをより大きくとることができる。プライベートブラウジングでも軽量テーマが適用されるようになったのもうれしいポイントだ。
また、閲覧ページの安全性や許可されている権限をチェックできる“コントロールセンター”のデザインが改善。許可したプライバシー設定をシンプルに一覧できるようになったほか、[×]ボタンを押すだけで簡単に許可を取り消せるようになった。カメラやマイクなどのデバイスが一時的に許可されていると、アイコンが赤く明滅して知らせてくれるのもわかりやすい。また、通知ポップアップも改善されており、許可と不許可を見分けやすいデザインになった。
そのほかにも、リーダーモードにページの予想読了時間を追加。音声・動画コントロールのデザインが刷新された。新たに開かれたページにメディアが含まれていた場合、そのタブがアクティブになるまで再生が保留されるようになったのもパフォーマンス改善につながるだろう。さらに、Windows版のスタブインストーラーでは、[オプション]画面で32bit版と64bit版が選択できるようになっている。
なお、本バージョンではWindows XP/Vistaと32bit版Macのサポートが打ち切られた。延長サポート版「Firefox ESR」へ移行すれば、あと1年セキュリティ更新の提供が継続されるという。また、Linux版では“Pentium 4”や“AMD Opteron”以前の古いプロセッサーのサポートが終了している。
また、本バージョンでは39件の脆弱性が修正されているので注意。深刻度の内訳はMozillaの基準で4段階中最も高い“最高”が8件、2番目に高い“高”が20件、3番目に高い“中”が7件、最低の“低”が4件となっている。
「Firefox」はWindows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロード可能。Windows版は窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。