レビュー
多機能が魅力のターミナルエミュレーター「RLogin」
ウィンドウ分割からスクリプトまで、あらゆる機能を搭載
(2014/2/10 10:32)
「RLogin」は、SSH1/2など各種プロトコルに対応したターミナルエミュレーター。タブ形式で複数の接続を同時に処理する機能やスクリプト機能など、さまざまな機能を備えている。Windows 2000/XP/Vista/7および64bit版のVista/7に対応するフリーソフトで、作者のWebサイトからダウンロードできる。
一昔前は高価なネットワークデバイスへの接続によく用いられたターミナルエミュレーターだが、近年はBSDやLinuxなどUnix系OSの普及により、多くの場面で使われるようになった。これまで数多くのフリーソフト・シェアウェアがリリースされてきたが、多機能性を重視する方に試してほしいのが「RLogin」だ。ソフト名にも用いられているrloginのほか、TelnetおよびSSH1/2プロトコルに対応する。
ファイル転送もSFTPに加え、X/Y/ZModemやKermitプロトコルをサポートしている。正直なところ後者のファイル転送プロトコルはパソコン通信が衰退してから使わなくなって久しいものの、FTPサーバーを立てていないマシンにTelnet接続する際のファイル転送に便利だ。
ターミナルエミュレーターの多くはUnix系OSへの接続を主体としているため禁欲的なUIになるのが一般的だが、「RLogin」はマウス関連のオプション設定が豊富なのも魅力の1つだ。
マウスホイールによるスクロール動作なども設定できるが、個人的に便利に感じたのは、ファイルをウィンドウ内へドラッグ&ドロップした際に、SCPプロトコルによるファイル転送を実行できる点。SSH2接続時に限られるが、Windows上で編集したファイルを、そのままUnix系OS上に移して作業を続ける場面などで効果的だ。FTPやSambaといったサーバーをあらかじめ用意しなくて済むのもうれしい。
また、今回「RLogin」を試用して感心したのが、ウィンドウの分割機能だ。これは、同一の接続を複数のペインに分割するものと、異なる接続を別のペインへ表示する2種類の機能が用意されている。Unix系OSの場合、GNU screenなどを使えば単独の接続で複数のターミナルを操作することは可能だが、「RLogin」のようにウィンドウを複数に分割した方が直感的で操作しやすい。
とくにテキストエディターでスクリプトを編集しながら結果を別途確認する場合や、任意のアプリケーションによる動作結果のログをtailコマンドなどで確認したい場合に便利だった。ちなみに異なる接続へ同様の入力を送信するブロードキャスト機能も備えている。
なお、フォントサイズは初期設定で1行あたりの文字数から自動調整されるが、オプションからフォントサイズを固定することも可能で、画面左右の余白も設定できる。また、配色も“グリーン”や“アンバー”といったテンプレートが用意されているので、往年のIBM PCやVAXといったコンピューター風のアレンジも楽しめる。ウィンドウ背景の透過や背景画像の表示も可能だ。
「RLogin」がユニークなのは、複数のタブを開いた状態でタブバーに2秒以上マウスオーバーすると、開いているタブの上にマウスオーバーしたタブの画面を重ねて透過表示する機能を備えている点。あまり利用する場面が想定できないが、diffコマンドを使うほどではないような、ちょっとした内容を見比べる際に活躍するかもしれない。
この他にもスクリプト機能や、キー入力の記録と再生を組み合わせたマクロ機能など、すべてを列挙するのが難しいほど多くの機能を備えている。ターミナルエミュレーターが必要とする基本的な機能も万全だ。
ただし、オプションの“右ダブルクリックだけでクリップボードからペーストする”を有効にすると単独の右クリックメニューが動作しなくなるなど、気になる点もいくつか見受けられた。
とはいえ「Tera Term」や「PuTTY」といった既存のターミナルエミュレーターに物足りなさを感じている方にとって、「RLogin」が素晴らしい選択肢となるのは間違いない。なお、各種設定やSSHの鍵暗号などはレジストリに保存されているため、アンインストール時は“HKEY_CURRENT_USER\Software\Culti\RLogin”キーの削除をお勧めする。
ソフトウェア情報
- 「RLogin」
- 【著作権者】
- Culti 氏
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vistaおよび64bit版のVista/7(編集部にてWindows 8.1で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 2.15.9(14/02/01)