レビュー
手持ちの「NScripter」製ゲームをChrome上でプレイ可能にするWebアプリ“NscPlayer”
ZIPファイルのドラッグ&ドロップでインストール、ゲームデータはローカルに保存
(2014/7/18 11:00)
“NscPlayer”は、ゲームエンジン「NScripter」製のゲームを「Google Chrome」上でプレイ可能にする無償のWebアプリ。作者のWebサイトから利用できる。
本Webアプリは同作者が先月公開した、「NScripter」製のゲームをChrome Apps化するフレームワーク「PNaCL ONScripter」がベース。ユーザーが手持ちのゲームを本アプリに登録(インストール)してプレイ可能になる。
なお本アプリは、あくまでゲームの実行エンジンがWeb上に実装されているというだけで、ゲームのデータは「Google Chrome」をインストールしたPCのローカルストレージに保存される。そのため、購入したゲームを意図せずインターネット上で再配布してしまうような心配はない。逆に言えばゲームをクラウド化するようなものではなく、ゲームをインストールしたPCでのみプレイ可能だが、「Google Chrome」が動作する環境ならLinuxやMacなどOSを問わず手軽に「NScripter」製ゲームをプレイできるのが特徴だ。
ゲームのインストールは、“インストール”のページ上へゲームをアーカイブしたZIPファイルをドラッグ&ドロップするだけ。フリーで配布されている「NScripter」製ゲームの多くは、ダウンロードした配布ファイルをそのまま利用できる。インストールが完了したら、“プレーヤ”のページに移動すればゲームをプレイ可能だ。
編集部で試用したところ、セーブ・ロードといったシステム画面の呼び出しにはもたつきを感じるが、テキストや画像の表示は快適に行えた。ただし作者によると、互換エンジンなので完全に同じ動作をするわけではなく、ゲーム作者が独自に導入したエフェクトなどは再生されないとのこと。そのほかマウスホイールに対応していないため、バックログの呼び出しが不便(ゲームによっては不可能)な点はやや辛いところだ。
ゲームを終了する際は、ゲーム自身の終了機能を使うか、[Shift]+[Q]キーで終了させる必要がある。「Google Chrome」のタブを閉じたりして強制終了すると、セーブしたデータを正常に呼び出せなくなるので注意が必要だ。なおセーブデータはエクスポート・インポートが可能。
そのほか、同時にインストールできるゲームは1つのみである点にも注意。ただし、ローカルデータは「Google Chrome」のユーザーアカウントごとに管理されるので、「Google Chrome」の設定画面でユーザーを増やすことで、同時に複数のゲームをインストールすることは可能だ。
総じて、Windowsユーザーが敢えて本Webアプリを使う必要性は高くないが、本アプリは「PNaCL ONScripter」の技術デモという側面も備えている。「PNaCL ONScripter」は公開以降のアップデートにより32bit環境でも150MB以上のゲームデータを扱えるようになったほか、Chrome ウェブストア以外でのゲーム配信にも対応しており、自作ゲームのWeb配信環境としても選択肢のひとつになり得るのではないだろうか。