レビュー

IBM拡張文字まで網羅。手書きのかわいらしさを残す正統派楷書体「takumi書痙フォント」

太文字・細文字それぞれに等幅フォント版とプロポーショナルフォント版を用意

「takumi書痙フォント」v1.00

 「takumi書痙フォント」は、丁寧に手書きされた楷書体フォント。ひらがな・カタカナ・英数字およびJIS第一・第二水準漢字を収録した無償のTrueTypeフォントで、作者のWebサイトから“DLmarket”経由でダウンロードできる。

 作者がペンタブレットを利用して書いたオリジナルフォント。楷書体の手書きフォントは少なくないが、小学校の教科書などでよく目にする“教科書体”寄りのフォントが多い。しかし、教科書体は教育向けにアレンジされたもので、筆書きの影響を色濃く残す本来の楷書とは少し離れている。一方、「takumi書痙フォント」は本来の“楷書体”寄りの字形で書かれており、たとえば糸偏の下部分は三点で書かれている。

 このような字体は優美だが、教科書体に慣れた目から見ると少し古風で堅苦しく感じられることもある。しかし、本フォントは手書きゆえの微妙な画の震えやゆがみ、アンバランスさのためか、そのような印象を一切与えない。ペンタブで書かれているためかハネやハライに乏しい点も、むしろ丁寧でかわいらしい雰囲気を醸し出している。フォーマルなところとカジュアルな部分のバランスが、本フォントの魅力だ。

 また、収録されている漢字が豊富であることも本フォントのうれしいポイント。JIS第一・第二水準漢字に加え、6日のアップデートでIBM拡張文字が追加されており、少し珍しい地名や人名の表記にも対応している。さらに罫線にはオリジナル絵文字が割り当てられている。晴れ・雨などのお天気関連のものが中心で、どれもかわいらしい。テキストのアクセントとして活用してみてはいかがだろうか。

 なお、本フォントには本文・見出し・強調に便利な太文字と、繊細でオシャレなイメージの細文字が用意されている。それぞれに等幅フォント版とプロポーショナルフォント版があり、用途に応じて使い分けることが可能だ。商用・非商用、使用する媒体や目的などへの制限も特にないので、幅広いシーンで役立ちそうだ。

ソフトウェア情報

「takumi書痙フォント」
【著作権者】
takumi 氏
【対応OS】
Windows 95以降など(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.00(15/12/06)

(樽井 秀人)