いまさら聞けないExcelの使い方講座

【Excel】セルを削除したら表のレイアウトが崩れた……エクセルの「削除」と「クリア」は別モノ?

 Excel(エクセル)は、仕事や普段の生活で使う機会の多い、最も身近なアプリケーションのひとつです。しかし、「イマイチよくわからないまま使っている」「実は少し苦手……」という人も多いのではないでしょうか? この連載では、いまさら人に聞けないけど、知っていれば必ず役に立つ、Excelを使いこなすためのノウハウを紹介します。

混同しやすい「削除」と「クリア」の操作

 Excelで入力したデータを消したいとき、リボンから「削除」と「クリア」のどちらを選べばよいか迷った経験はないでしょうか?

 操作を正しく選択しないと、思っていたのとは違う結果になってしまう場合があります。状況に応じて、正しく選べるようになりましょう!

「削除」はセルそのものが消える

 まず、「削除」がどのような操作かをご説明します。

 講堂にあるたくさんの椅子に、人が座っている状況をイメージしてみてください。

 その中の一人が退出することになったとき、空いたスペースができないように隣から1つずつ椅子をずらして詰めるのが「削除」です。

 講堂にある椅子をExcelのセルだと考えると、「削除」とはセルそのものが削除されることだといえます。セルが削除されると、隣にあったセルが1つずつずれることになります。

 実際にセルを削除するときには、どの方向にセルをずらすかを指定します。
 当番表(①)を例に考えてみましょう。

 「人事課」と入力されているセルを削除して、右側にある「製造課」「資材課」「営業課」などのセルを左にずらします。「人事課」と入力されたセル(②)を選択したあと、リボンの[ホーム]タブの[削除](③)から[セルの削除](④)を選択します。

 [削除]ダイアログボックスが表示されます。次は[左方向にシフト](⑤)を選択し、[OK](⑥)をクリックします。

 「人事課」と入力していたセルB4を[左方向にシフト]の方法で削除したことで、C4のセルがB4へ、D4のセルがC4へ、E4のセルがC4へと、B4の空白が埋まるように4行目のセルが1つずつ左方向に移動しました(⑦)。

「クリア」はセルの中にあったデータだけが消える

 では、「クリア」とはどのような操作でしょうか?

 先ほどと同じように、講堂の例で考えてみましょう。1人が席を立ったあと、空席になった椅子を講堂にそのまま残しておくこともできますね。これが「クリア」です。

 Excelに置き換えて考えてみると、セルそのものは残り、そのセルに入力されていたデータだけが消えるのが「クリア」です(厳密にいうと、クリアにも何種類かあり、これは「数式と値のクリア」にあたります。[Delete]キーを押すのと同じ結果になります)。

 先ほどの当番表の例と同じように、「人事課」と入力されたセル(①)を選択し、[Delete]キーを押します(②)。

 すると、選択したセルに対して「(数式と値の)クリア」が実行されて、「人事課」と入力されていたセルが空白になりました(③)。

 空白セルのように見えるので設定がまっさらになったように思ってしまいがちですが、「(数式と値の)クリア」のクリア方法では、セルに設定された書式はそのまま残ります。

「クリア」にはいろんな種類がある

 クリアできるものは、入力した数値だけではありません。書式やコメントなどもクリアできます。

 「クリア」の操作は、リボンの右側の[編集]グループから選択できます。クリアしたいセル(①)を選択したあと、消しゴムのような形をした[クリア]のアイコンの右にある[▼](②)をクリックすると、メニューが表示されて操作を選択できます。

【「クリア」の種類】
すべてクリア:セルに入力しているデータと、セルの書式やコメントもまとめて削除されます。
数式と値のクリア:セルに入力しているデータだけが削除されます。文字色や枠線、塗りつぶしなどのセルの書式は残ります。[Delete]キーを押したときと同じ結果です。
書式のクリア:セルの書式(字色や枠線、塗りつぶしなど)だけが削除されます。
コメントのクリア:セルに設定しているコメントだけが削除されます。
ハイパーリンクのクリア:セル内のデータに設定しているハイパーリンクが削除されます。

 フォーマットが決まっている表などで、入力した値だけを消したいときには「クリア」を選択するようにしましょう。「削除」を選択すると、フォーマットが崩れてしまいます。

操作を正しく選択してミスを減らそう

 「削除」と「クリア」がそれぞれどのような場面で使われることが多いかを最後にまとめます。

「削除」と「クリア」の使い分け場面例

「削除」の操作が使われる場面

・セルそのものが不要になり、他の場所でも内容が参照されていない場合

・不要になったセルに隣接した列・行の内容を、そのままの順でずらしたい場合

「クリア」の操作が使われる場面

・セルを残したまま、セルに入力された内容を変更したい場合

・フォーマットを崩したくない表の項目を修正したい場合

・セルに入力された内容は残し、特別に指定していた書式の設定だけを解除したい場合

 「削除」と「クリア」の違いがおわかりいただけたでしょうか。「削除」と「クリア」について正しく理解しておけば、どちらを選択すればよいか判断できますので、操作のミスも減りそうですね!