#モリトーク

第60話

Webブラウザー遍歴

 前回、前々回、Webkit/Blinkへ移行した「Opera」の話題を取り上げた。それは筆者にとって、Webブラウザーに求める機能や、乗り換えのタイミングを改めて考える機会にもなった。筆者はこれまで、メインのWebブラウザーとして「Opera」を利用したことがない。ところが、今後の進展によっては「Opera」への乗り換えを検討したいと思っている。それはなぜか、まずは筆者のWebブラウザー遍歴を簡単に紹介したい。

「Sleipnir」v1シリーズ

 Webブラウザー遍歴の始まりは、「Internet Explorer」から「Sleipnir」への乗り換えだった。その当時v1シリーズだった「Sleipnir」は、タブ切り替え機能を搭載した人気Webブラウザーのひとつで、筆者もそのタブ切り替え機能に惹かれて移行した。また、カスタマイズ性の高さや、マウスジェスチャー機能なども魅力的だった。

 2回目の乗り換えは、「Sleipnir」からの「Firefox」だ。そのきっかけはパソコンの買い替えだったが、拡張機能の探求にハマっていく。とくに、インターフェイスも変えてしまうタイプの拡張機能を好んだ。つまり、カスタマイズ性の高さが乗り換えの理由であり、筆者の基本的な好みは「Sleipnir」を常用していたときから変わっていない。

 3回目の乗り換えもまた、パソコンの買い替えがきっかけとなり、現在もメインのWebブラウザーとして使い続けている「Google Chrome」に辿り着く。ただし、「Firefox」と「Google Chrome」を併用していた期間が1年くらいあったと記憶している。というのも、「Google Chrome」は「Sleipnir」や「Firefox」と比べてカスタマイズ性が低い上、ブックマーク用のサイドバーが存在せず、筆者の好みではなかったのだ。

 しかし、「Google Chrome」にはその欠点を補って余る利点があり、「Firefox」を手放して「Google Chrome」に落ち着いた。その利点とは第一に、大量のタブを開いても動作が安定していることだ。また、乗り換え後のバージョンアップで追加された、ユーザープロファイルの切り替えも筆者にとって大きな利点となった。同一Webサービスでのアカウント切り替えが容易だからだ。

 三大Webブラウザーである「Internet Explorer」「Google Chrome」「Firefox」は現在、コモディティ化が年々進み、よくも悪くも安定期に入っている。その結果、Webブラウザーの乗り換えを積極的に考える機会が減ってしまったところ、そこに「Opera Next 15」が登場したというわけだ。そして筆者にとっての「Opera Next 15」は、バージョンアップやリニューアルによる期待というよりも、Google社が「Google Chrome」をリリースしたときのようなインパクトを感じさせる。

 正直なところ、既存ソフトのバージョンアップとして「Opera Next 15」を見た場合、旧バージョンに搭載されていた機能が揃っていないため、乗り換え先の候補とはなりえない。しかし、新作のWebブラウザーとして「Opera Next 15」を見ると、その印象は一変する。むしろ、その未完成なところが今後を期待させ、それを見守りたいという、オンラインソフトの真髄を思い出させてくれた。またBlinkの登場は個人的に、「Sleipnir」の魅力を再認識する機会ともなり、Webブラウザーの乗り換えを検討する時期が久しぶりに到来している。

「Opera Next 15」
「Sleipnir 4 for Windows」Blink Engine Preview Build

(中井 浩晶)