#モリトーク

第92話

ブックマークと閲覧スタイル

 Webレンダリングエンジン“Blink”への移行と同時にブックマーク機能を廃止した「Opera」が、それを正式に復活させた。ブックマークといえば、Webブラウザーに搭載されていて当たり前の機能であり、『復活』と表現するのは何とも不思議な感覚だ。

ブックマーク機能が復活した「Opera 19」

 Opera社は当初、セッション復元機能の使用頻度が高いことなどをブックマーク廃止の理由として挙げ、強化された“スピードダイヤル”機能を提案したものの、わずか1カ月後に“Developer”チャンネルでブックマーク機能を復活させている。その後の正式実装までは半年近くもかかっているので、Opera社自身が迷っているのかもしれない。

 こうして「Opera」のブックマーク機能は復活したが、『これじゃない』といった意見も挙がっており、完全に復活したとはまだ言えないようだ。ちょうどよい機会なので、Webブラウザーのブックマーク機能について見直してみたい。

 ブックマーク機能の用途は、お気に入りのWebサイトを日々閲覧する“巡回”と、あとで読みたいWebページを一時的に保存する“メモ”に分かれる。また、そのユーザーインターフェイスはツールバー型とサイドバー型、Webブラウザーによってはサイドバーが用意されていないこともある。

サイドバーを利用可能な「Sleipnir 5」

 そして筆者は、これらの用途とユーザーインターフェイスには最適な組み合わせが存在すると考えている。たとえば、巡回のためにブックマーク機能を多用する場合、フォルダを最大限に活かせるサイドバーの方が効率的だ。逆に言えば、サイドバー非搭載の環境で大量のWebサイトを巡回すると、クリックの回数が何倍にも増えてしまう。

 ただし、Webサービスや他のアプリケーションも活用するなら、巡回目的のブックマークをRSSリーダーやTwitterへ置き換えられるので、ブックマークの登録件数を減らすことができる。すると、サイドバーのスペースは無駄になるので、ツールバーだけでも十分だろう。

「Headline-Reader Lite」

 つまり、ブックマーク機能の使い勝手はWeb閲覧のスタイルに直接的な影響を与え、その使い方には各ユーザーの好み・習慣が顕著に表れるのではないだろうか。言い換えると、ブックマークの使い方とWeb閲覧時の習慣を再検討することで、自分でも気付かなかったスタイル、これまで試してこなかったスタイルを見出せるかもしれない。

 自分の習慣に合ったWebブラウザーを探すもよし、Webブラウザーの機能に合わせて自分の習慣を変えるもよし、ブックマークの使い勝手をそのきっかけとして捉えてみてはどうだろうか。不完全な印象の「Opera」でも、人によってはベストな環境になりえる。

 ちなみに、最新バージョンでブックマーク用のサイドバーを利用できる主要なWebブラウザーは「Internet Explorer」「Firefox」「Sleipnir」「Lunascape」の4つ。また、非Web型のRSSリーダーが必要なら、先日バージョンアップしたばかりの「Headline-Reader Lite」がオススメだ。

(中井 浩晶)