#モリトーク

第102話

OpenTypeフォントの裏技

 窓の杜の読者なら、Windows用フォントがTrueType形式とOpenType形式の2種類であることは知っているはず。でも、OpenTypeフォントに特殊な機能が隠されていることを知っている人は少ないかもしれない。

「DiaPro」

 たとえば、電車時刻表の記号を収録するフォント「DiaPro」は、OpenTypeの特殊機能である“合字”を取り入れている。隣接する複数の文字をひとつの文字へ結合する合字の仕組みを応用することで、「DiaPro」は特定の文字列をまったく別の文字、つまり時刻表の記号へ置き換える。

 具体的に説明すると、“ぐりーんしゃしていせ”までは通常の文字列と認識されて、“ぐりーんしゃしていせき”となった途端にひとつの記号へと変化する、トリッキーなフォントというわけだ。このとき、テキストデータは“ぐりーんしゃしていせき”のまま。

「AutoComma」

 せっかくなので、OpenTypeの特殊機能がわかるフォントをほかにも紹介しておこう。「AutoComma」は極めてシンプルなデザインの数字フォントであると同時に、魔法のような数字フォントでもある。4桁以上の数字を印字したとき、3桁ごとに自動でカンマを挿入してくれるのだ。

 しかも、小数点以下の数字はその対象とせず、フォントだけでこれを実現している。その不思議な感覚を体験すると、無駄に数字をタイプして遊んでしまう。ただ、合字を活用する「DiaPro」と同じく、組み合わせるアプリケーションによっては動作しないのが残念。

(中井 浩晶)