杜のVR部
第21回
あの月面着陸を再現して学習するためのVRコンテンツ「The Apollo 11 VR Experience」
VRを使った体験型の教育コンテンツがKickstarterで目標を達成し、開発中
(2015/4/7 16:54)
第11回で紹介した太陽系の惑星を巡る体験型VRコンテンツ「Titans of Space」は、学習教材としてのVRコンテンツの可能性を感じるものだった。
その開発者が、次に教育用VRコンテンツとして開発を進めているのが、今回紹介する「The Apollo 11 VR Experience」(以下、「Apollo 11」)だ。このコンテンツでは、1969年に行われたアポロ11号の月面着陸の様子を、ロケット発射の瞬間から地球に帰ってくるまで体験することができる。先の「Titans of Space」が宇宙をテーマにした理科の教材だとしたら、この「Appolo 11」は社会の教材ということになるだろう。
2015年3月にKickstarterで3万ユーロ(執筆時現在のレートで約390万円)の目標金額を達成し、本格的な開発に入っている。現在公開されているのはデモ版だが、その雰囲気を十分に体験することができる。さっそく内容を紹介していこう。
当時の資料と音声で実現した“当時の状況を肌で感じる”VR
起動すると、ケネディ大統領が月面着陸に向けた演説を行っているシーンから始まる。プレイヤーは部屋でその様子を見ているという設定だ。現時点ではまだ日本語字幕はついていないが、その力のこもった演説と最後に彼が繰り返す『We choose go to the moon.(我々は月を目指すことにした)』という言葉には当時のアメリカの宇宙開発への熱気を感じることができる。
次はロケット発射前のシーンで、搭乗する宇宙飛行士の当時の言葉を、ロケットに近付きながら聞くことになる。いよいよ搭乗だ。
そして、最後にいよいよ発射の瞬間となる。カウントダウンと、成層圏を抜けるまでのシーンでは、徐々に上がっていく高度計など、当時の船内に居るような感覚になる。もちろん、椅子に座った状態で体験した場合、発射時の振動に合わせて椅子が動いたり、そもそも身体が上を向いている姿勢などの再現はできないが、それでも十分、当時の緊張感とミッションが一定程度再現されているように感じた。
この作品が、歴史的瞬間を見事に再現している理由は、Oculus Riftを使っているからだけではない。当時の音声と資料を使っていることで、リアリティを増している。ひび割れそうな管制塔の声と船長の落ち着いた報告。そして高度が上がるにつれて徐々に遠くなっていく地球の様子など、ともすれば違和感に繋がりかねないディテールが丁寧に表現されている。
月面着陸の瞬間は今後開発されるということなので、どの程度再現されるのか完成が非常に楽しみだ。
なお、本作の開発を進めているImmersive VR Educationは、この「Appolo 11」に続いて第一次世界大戦や中世の黒死病時代を体験するコンテンツを開発中。教育向けVRコンテンツ「VR Education」の開発を進めていきたいとしている。今後のコンテンツにも期待したいところだ。
ソフトウェア情報
- 「The Apollo 11 VR Experience」
- 【著作権者】
- Immersive VR Education Ltd.
- 【対応OS】
- Windows
- 【対応ハードウェア】
- Oculus Rift DK2
- 【ソフト種別】
- 体験版
- 【バージョン】
- 1.01
評価PCスペック(参考)
- マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-NOTE i790SA1
- 【CPU】
- Core i7-4700MQ 2.40GHz
- 【メモリ】
- 16GB(増設)
- 【グラフィックボード】
- GeForce GTX870M
- 【fps】
- 75fps
- 【ヘッドホン】
- Creative Sound Blaster EVO Zx
- Immersive Virtual Reality Education
- http://immersivevreducation.com/
- The Apollo 11 Virtual Reality Experience - Education VR by David Whelan - Kickstarter
- https://www.kickstarter.com/projects/1436197736/the-apollo-11-virtual-reality-experience-education