杜のVR部

第55回

Gear VRの発売とともにリリースされた日本向けのVRコンテンツ5本を一挙紹介!

ついに日本で製品版のVRデバイスが登場

 12月18日、いよいよVRの世界が幕を開けた。Oculusとサムスンが共同開発したVRヘッドマウントディスプレイ(VRHMD)、Gear VRの製品版が発売されたのだ。2016年前半に一斉に発売されるPC、PS4向けのVRHMDに先行する形での発売となった。

 北米では11月末に発売されていたが、日本でも発売となったこともあり、海外製のコンテンツだらけだったアプリストアOculus Storeには日本向けのコンテンツが配信された。

 今回は、Gear VR発売と同時に配信されたアプリと、やはり国内発売を意識してその1週間前に配信された国産アプリ、合わせて5本を一気に紹介したい。

 Gear VR向けのOculus Storeには、毎週5~10本のアプリが新たにアップロードされている。そのほとんどがゲームだ。しかし、今回紹介するうちゲームは1本のみ。既存のコンテンツやデバイスと連携するものや、既に存在するキャラクターのコンテンツを楽しめるものとなっている。

撮影即体験。360度カメラとの手軽な連携「THETA S VR」

 まず1本目は「THETA S VR」。リコーが11月に発売した360度カメラ“RICOH THETA S”と連動しているアプリだ。Gear VRを装着したまま360度撮影を行い、撮った静止画をそのままVRで体験することができる。

 “RICOH THETA S”は、税込み4万円強で家電量販店等にて購入できる360度カメラ。これまでのモデルと比べても、画質は静止画が5K近くとなり、全体的に性能向上したモデルとなっている。フルHDサイズで動画撮影も可能。

 フレームで空間を切り取る従来のカメラと異なり、空間そのものを撮影する360度カメラで撮影したものの鑑賞には、PCやスマートフォンなどの平面のモニターは適しているとは言えない。VRで360度頭を動かしてこそ、まさに体験できるのだ。「THETA S VR」はその可能性を簡単に感じさせてくれる。ハードウェアが必要にはなるが、注目のアプリだ。

操作は簡単。THETA SとWi-Fi接続後、アプリを起動したら目の前のTHETAのマークに目線を合わせてタップするだけ
すぐに撮影した360度静止画を体験することができる
「THETA S VR」
【メーカー】
XVI Inc.
【開発者】
XVI Inc.
【対応ハードウェア】
Gear VR
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.0

ニコニコ動画をどんな体勢でも「niconico VR」

 日本ならではのコメントが流れる動画配信サービス、ニコニコ動画。「niconico VR」は、ニコニコ動画そしてストリーミングであるニコニコ生放送を、VR内の大画面で見ながら楽しめるというもの。第46回で紹介した「Netflix」などと異なるのは、コメントが自分を囲むように視界全体を流れること、そして手元を見ようとすると端末のカメラが起動し、飲み物を手に取るなどの行動が可能なことだ。ニコニコユーザーにはたまらない。

コメントが視界を流れる。寝転がっても見えるのが素敵
手元を見ようと目線を下げるとカメラが起動する
「niconico VR」
【メーカー】
DWANGO Co.,Ltd.
【開発者】
DWANGO Co.,Ltd.
【対応ハードウェア】
Gear VR
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.0

VRライブの可能性を感じさせる「Unity-chan! Candy Rock Star Live Stage!」

 ゲームエンジンUnityのマスコットキャラクター・ユニティちゃん。そのライブをVRで楽しむことができるのがこのアプリ「Unity-chan! Candy Rock Star Live Stage!」。目の前でユニティちゃんが一曲歌って踊ってくれる。

 ユニティちゃんがかわいいという感想はさておき、最大の特徴は実は視点切り替えにある。ライブを体験中に側面にあるタッチパッドをタップすると固定カメラの位置が複数表示され、目線を合わせてタップするとその視点に移動できるというもの。さまざまな場所にある固定カメラを飛び移って、色々な角度からライブを体験できる。ユニティちゃんの足元からローアングルを楽しむもよし、真上から見下ろすもよし、遠くから見守るもよし。カメラの位置を変えるだけで色々と楽しめることがわかるだろう。

歌って踊るユニティちゃんはかわいい
カメラの場所を選ぶ
「Unity-chan! Candy Rock Star Live Stage!」
【メーカー】
Unity Technologies Japan
【開発者】
Unity Technologies Japan
【対応ハードウェア】
Gear VR
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.04

ゲームセンターのガンシューティングに近い感覚を味わえる「MORTAL BLITZ VR - Escape The Darkness」

 今回日本向けに配信されたアプリのうち、唯一のゲームがこちら。韓国のゲームメーカーSkonecが開発した本格派のFPSだ。近未来の世界で、モンスターに襲われた研究所を敵を倒しながら脱出するというガンアクション。VRにしてしまうと酔いやすい一人称視点だが、酔わないようにさまざまな工夫がされている。また移動は固定のポイントを動くため、ゲームセンターのガンシューティングに非常に近い感覚になるのも特徴だ。開発を手がけたSkonecはセガのアーケードゲームの開発にも携わっており、そういった素地がある会社から満を持してVRで遊べるFPSが出たということになる。日本語にも完全対応している。

次々と襲い来るモンスター。操作はシンプルに攻撃と防御のみ。難易度はそれなりに高い
“実績”も多く用意されている。今回公開されたのはエピソード1とのことなので、続編の公開にも期待だ
「MORTAL BLITZ VR - Escape The Darkness」
【メーカー】
Skonec Entertainment
【開発者】
Skonec Entertainment
【対応ハードウェア】
Gear VR
【ソフト種別】
ダウンロード販売 9.99米ドル
【バージョン】
1.0.6

日本発の360度体験を海外に発信する「VR Cruise」

 Gear VRで体験できる日本発の360度動画の配信プラットフォーム。海外ではすでに“Vrse”、“Jaunt”など複数のプラットフォームがあるが、日本発のコンテンツを集めたものとしては初となる。体験できるコンテンツはまだ少ないが、今後の拡充にも期待したいところだ。現時点で体験できるものとしてのオススメは、“初音ミクVR Special LIVE”。初音ミクが目の前で歌って踊るだけでなく、目を合わせてくれる。他にも原爆投下直後の広島や東日本大震災直後の様子を収めたパノラマ画像を見ることもでき、日本で起きた出来事を伝える試みがみられる。

メニュー画面。体験できるコンテンツは4つとまだ少ない
初音ミクのライブは必見
「VR Cruise」
【メーカー】
eje
【開発者】
eje
【対応ハードウェア】
Gear VR
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.0.1

いよいよ製品版VRが本格的に登場する2016年に向けて

 2015年最後の“杜のVR部”となる今回は、Gear VRの日本向けコンテンツを紹介してきた。Gear VRの発売に続き、2016年前半にはPC向けにOculus RiftとHTC Vive、PS4向けにPlayStation VRが登場し、VRの普及が始まる年となる。本連載では引き続き最新動向をチェックするとともに、VRを十二分に楽しめるイチオシのコンテンツを紹介していきたい。

(もぐらゲームス:すんくぼ)