杜のVR部

第66回

VR対応で劇的な進化を遂げた『手を動かせる』コントローラー“Leap Motion”

低価格で実現可能なVR用ハンドコントローラーとして増す存在感

 Oculus Riftなどの登場で一躍、家庭レベルでも普及が始まろうとしているVR。頭を動かすとその通りに視界が変わっていくことで、我々はVRをまるで現実のように錯覚し、そこにいる感覚(実在感)を得るようになる。

 そこからさらに踏み込んで実在感を増すのが“手を動かす”こと。“手を動かせる”コントローラーとしてOculus Riftの初期から注目を集めてきたデバイス“Leap Motion”が新たなソフトウェアにより進化し、これまで以上にVRに適した高精度なデバイスになった。

Leap Motionコントローラー

Leap Motionが直面していた課題

 Oculus Rift向けにはOculus Touchが、PlayStation VR向けにはPS Moveコントローラーが、HTC Vive向けにはSteamVR コントローラーがそれぞれ対応しており、各VRHMDのユーザーはVRの中で手を動かすことができるようになる。

 これらのアプローチはいずれも手にデバイスを持って、その動きをトラッキングするというものだ。しかし手に何も握らず手の動きをトラッキングする方法も模索されている。

 その代表的なデバイスがLeap Motion。赤外線センサーを搭載し、手の位置や指の動きをトラッキングするというもの。もともとはPCの操作を直感的に行うために登場したデバイスだが、Oculus Riftとの組み合わせにより、VRの中で手を動かすことを可能にするコントローラーとして開発者の注目を集めてきた。

 しかし、手に握るデバイスと比べると精度には疑問を感じざるをえないというのが実際のところだった。手のトラッキングがすぐに外れてしまったり、指の動きが意図しないものになってしまったりといった問題があり、そしてより高精度かつ広範囲のトラッキングが求められた。

 デバイスの限界かとも思われがちだったが、今回新たにLeap MotionがリリースしたVR特化のフレームワーク「Orion」はこれまでのLeap Motionと一線を画すものだ。ハードウェアは同じものながら、ソフトウェア側の変更により、ここまで精度が上がるというのは驚嘆せざるを得ない。

Orionの機能を紹介する公式動画

 無料配布されているデモ「Blocks」を例に、Orionによってどのようなことが可能になったか紹介していこう。

VR内のブロックを投げたり、突っついたり、そしてブロックを生み出すことも

 この「Blocks」はVRの中でブロックを使って遊ぶデモソフトだ。Orionで生まれ変わったLeap Motionの特徴をあますところなく体験することができる。

 起動するとさっそく自分の手が出現し、目の前にいるカエルのようなガイドキャラクターに従ってチュートリアルが展開する。目の前にある手の動きは非常に滑らかで、ロストせずにしっかりと認識を続けている。

広げても認識される手

 ガイドに手を振ったり、親指を立てると先に進むようなデザインになっている。ただ親指を立てているだけなのに楽しい。

親指を立てて、グッ!

 この「Blocks」でできるのは、ブロックを触ること、掴んで投げること、そしてブロックを作ること、また重力を操作しブロックを浮かせること。

 その行動のいずれも違和感なくできるが、とくに印象的なアクションをいくつか紹介しよう。まずはブロックを作る動きだ。ブロックを作る際は両手でそれぞれ輪っかを作り、それを広げて大きさを決定する。両手の指が複雑に近付く瞬間も混同することなく手が認識され、好きなだけブロックを作ることができる。まるで魔法使いか錬金術士にでもなったかのような気分だ。

ブロックを掴んで投げたり
輪っかを作って広げると……
ブロックの大きさを決められる

 また、ブロックの形を決める際は、左手を裏返すと手の周りに3種類のアイコンがパレットのように出現し、右手で突っつくと決定することができる。指の先をしっかりと認識することがわかる。

ブロックの形を決めるメニュー、近未来的でワクワクする
両手を上に向けると無重力状態に

 筆者は、先述したOculus Touchなどの3種類のコントローラーをいずれも体験している。指の1本1本を認識し、現実と同じ手の動きを実現するLeap Motion Orionのハンドトラッキングはこれらに並ぶまさに第4の選択肢となりうるレベルの体験だ。今後の活用に期待したい。

ソフトウェア情報

「Blocks」
【著作権者】
Kip
【対応OS】
Windows(Oculus Runtime for Windows 0.8で動作確認済)
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK2およびLeap Motion
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
-

Oculus Rift DK2版評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-MICRO im550PA6-SP2
【CPU】
インテル Core i7-4790K プロセッサー(4コア/4.00GHz/TB時最大4.40GHz/8MB スマートキャッシュ/HT対応)
【メモリ】
16GB PC3-12800 (8GB×2/デュアルチャネル)
【グラフィックボード】
AMD Radeon R9 Fury X(4GB)
【fps】
75fps
【ヘッドホン】
Creative Sound Blaster EVO Zx