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「Gemini CLI」で“コンテキスト駆動開発”を実現する「Conductor」拡張機能

Markdownの仕様書・計画書を基にした継続的な開発を支援。プレビューとして提供

仕様(Specs)と計画(Plan)を定めてからAIにコーディングしてもらう“コンテキスト駆動開発”を実現する「Conductor」

 米Googleは12月17日(現地時間)、AIコーディングエージェント「Gemini CLI」のアップデートを発表した。「Conductor」と呼ばれる新しい拡張機能が、プレビューとして提供される。

 「Conductor」は、Markdownドキュメントで書かれた仕様書・計画書を中心に開発を進める“コンテキスト駆動開発”を実現する「Gemini CLI」拡張機能。事前の計画なしにチャットAIと相談しながら場当たり的なコードを量産する“チャット駆動開発”から脱却するためのツールで、すでに歴史と実績のあるプロジェクト(Brownfield)と相性がよい。プロジェクトのアーキテクチャー、開発のガイドライン、マイルストーンや目標といったドキュメントを整備し、それを“コンテキスト”(文脈)としてAIに理解させ、それに沿ったコードを生成させることができる。

 コンテキストの定義は、「Conductor」のセットアップ(/conductor:setup)で行う。プロダクトに関する情報、採用する技術スタック、開発スタイル(テスト駆動など)などがMarkdownドキュメントとして保存されるため、チーム内での意識統一にも役立つだろう。このセットアップ作業は、自分やチームメンバーが新しいコンポーネントや機能を実装する際にも実施する。

 それぞれの開発タスクは、“トラック”で管理する。すぐにコードを書き始めるのではなく、トラックを作成(/conductor:newTrack)して仕様(Specs)と計画(Plan)を生成し、計画が承認されて初めて実際の作業を実施(/conductor:implement)する流れだ。進捗もMarkdownドキュメントに記録され、いつでも中断・再開が行える。

それぞれの開発タスクは、“トラック”で管理

 こうしてコンテキストとしてのMarkdownドキュメントが整備されれば、新規メンバーの参加(オンボーディング)も容易になるだろう。AI開発ではアイデアを素早く具現化する手法が注目されがちだが、既存プロジェクトの改善、拡張、メンテナンスなども重要な課題だ。「Conductor」はその一つの解決策として期待できる。