杜のVR部

第69回

Oculus Rift製品版同梱タイトル「Lucky's Tale」を早速プレイ

第一世代のVRゲームの面白さが詰まった3Dアクションゲーム

 3月28日にいよいよ発売されたPC向けのVRヘッドマウントディスプレイ“Oculus Rift”の製品版。生産の遅れにより出荷が全世界的に遅れてはいるが、徐々に到着が見込まれる。

 すでにプレイできるローンチタイトルは50近く。そのうち3Dアクションゲーム「Lucky's Tale」とシューティングゲーム「EVE: Valkyrie」の2作品は予約した場合同梱される。今回は、「Lucky's Tale」のレビューをお送りしたい。

「Lucky's Tale」PV

友達を救い出す旅に出る物語

 「Lucky's Tale」の主人公はキツネのラッキー。さらわれてしまった仲良しの友達を助けに行くという物語だ。操作はコントローラーを利用するシンプルなもので、移動、ジャンプのほかには[X]ボタンないし[Y]ボタンでしっぽを振って攻撃するのと、ジャンプ中に左トリガーボタンを押すとヒップドロップするくらい。広々としたフィールドを進んでいく。

仲良しの友達がさらわれてしまう。説明は英語だが、描写を見ているだけで何となくのストーリーはわかるので問題なしだ
もふもふの尻尾に思わず見とれる

 ラッキーの可愛らしい動きと、もふもふの尻尾、そして適度にスリルのあるアクション。3Dアクションゲームとして普通に楽しく遊べる作品になっている。1ステージあたりのクリア時間も初見であれば5~10分はかかり、ステージ数もしっかりと揃っている。また、同じステージで違う楽しみ方をするために、ストーリーモードのクリア後は“タイムアタック”と“赤コイン探し”が別モードとして選べるようになる。特にタイムアタックはのんびりとプレイできるストーリーモードに対して、とにかくスピード重視の展開になるため緊張感満点だ。

ついつい慎重に進んでしまうストーリーモード。ストーリーが進むにつれてステージのギミックも敵もより骨の折れるものになってくる
ストーリーのクリア後に追加で選べるモードは2種類だ。ゲームを全クリアしなくてもステージごとに選択できる

 また、ステージを開放していくためにストーリーモード以外もプレイしなければいけなくなっており、やや単調になってしまいがちなテンポにメリハリが付いている。とはいえ、ストーリーを連続して最後まで追えないという点ではストーリーへの没入を損なってしまっており、どう評価をするかは難しいところ。

VRだからこその“楽しさ”

 スーパーマリオのような比較的ゆるやかな3Dアクションゲームである「Lucky's Tale」は、VRで体験することによって圧倒的に楽しくなる、というのがプレイしてみての筆者の結論だ。その理由を紹介していこう。

 VRでは、どちらを向いてもゲームの中だ、そのため、プレイヤーの“ゲーム内世界に存在している”感覚に直結する。いわゆるプレゼンス(実在感)と呼ばれているものだが、このプレゼンスにはゲーム設計者の腕前が試されていると言っても過言ではない。

 このゲームで、プレイヤーはラッキーの後ろからついていく存在。いわゆるカメラかと思いきや、ラッキーは時々こちらを見てくる。また、ステージ内のギミックに頭を突っ込むと干渉できるため、どうやらただのカメラではないようだ。ラッキーの冒険をサポートし、彼を導く存在としてゲーム内世界に確かに存在しているという感覚がさらに強くなる。

こちらを見てくるラッキー。Riftはポジショントラッキングが可能なため、色々な方向からラッキーを見られるが、目線はしっかりこちらを向いている
ラッキーを好きな角度と好きな距離感で見られるのも面白さのひとつ

 そして、上下の高低差のあるステージで感じられるのが“見上げる、見下ろす”といった動作。モニター内のアクションゲームでこのような動作を行う際はスティックを倒すだけなのが当たり前だが、VRの中では、実際に頭を動かすことになる。

上からトゲ付きの丸太が転がってくる坂道を登るシーン。ラッキーと一緒に上を見上げる

 他にも、カメラの動きがラッキーのふわふわした動きと同じようにふわふわと動くので一体感があったり、頭を動かして覗き込まないとわからない場所にアイテムが隠されていたりと、VRだからできる“楽しさ”が詰まっている。

 この「Lucky's Tale」はXbox Oneのコントローラーによる操作で座ってプレイするため、実際に手を動かして物を掴んだり、歩いたりするゲームではない。そしてゲームの仕組みは既存のゲームジャンルである3Dアクションゲームと何ら変わっていない。そう見ると目新しさに欠けるため、面白くないのではないか……と考えてしまいがちだが、そんなことはない、というのが筆者の結論だ。

 Oculus Rift製品版のローンチタイトルである本作は、ある意味第一世代のVRゲームと言っても良いのではないかと思う。3Dアクションゲームの世界に入って、楽しめるようにするにはどうするか、そういった課題に向き合い、VRだからこそ実現できることを丁寧に積み上げてきたことが感じられる仕上がりになっている。

 Oculus Riftの予約購入者は無料でダウンロードできることになっており、すでにOculus Home上では購入済みとなるよう処理が行われている。開発者版であるOculus Rift DK2でもプレイできるので、VRでの3Dアクションゲームに関心がある人には、ぜひ試してみてもらいたい一作だ。

ソフトウェア情報

「Lucky's Tale」
【著作権者】
Playful
【対応OS】
Windows
【対応ハードウェア】
Oculus Rift製品版(Oculus Rift DK2でも動作確認済)
【ソフト種別】
同梱ソフト
【バージョン】
1.0.1

評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-MICRO im550PA6-SP2
【CPU】
インテル Core i7-4790K プロセッサー(4コア/4.00GHz/TB時最大4.40GHz/8MB スマートキャッシュ/HT対応)
【メモリ】
16GB PC3-12800 (8GB×2/デュアルチャネル)
【グラフィックボード】
AMD Radeon R9 Fury X(4GB)
【fps】
90fps

(もぐらゲームス:すんくぼ)